11 / 77
あの方
ドロシーという女とトーマスという男
しおりを挟む
ルイス視点
レンに言われてドロシーという女を調べはじめた。できるならパトリシア嬢について調べるほうが楽しそうだと思ったが、こればかりはクラスが一緒だから仕方がない。
ドロシー・ワーグナー(16)ワーグナー男爵の三女だ。ワーグナー家は最近準男爵から男爵になったと聞いている。準男爵だったこともあり領地などは持っていない。ワーグナー家が男爵家になった理由はドロシーの父親が大商人の息子でお金にものを言わせたと聞いている。言ってしまえば成り上がりというやつだ。
ドロシーはクラスでは結構嫌われている。目に見えたいじめはないが、やたらと婚約者のいる人に近寄っていくのだ。見た目は赤い髪色にピンクの瞳。ぽてっとした唇。男が好きそうな体型をしている。見た目も恐らくかわいい部類には入るだろう。
ただ、あれは女性に嫌われるタイプだ。甘ったるい声で話しかけてきたり胸を押し付けてきたりするからだ。
そしてトーマス先輩が教室に来ていないときは他の男性に話しかけている。それを他の女生徒は白い目で見ているのだ。
「またやってるよ・・・」
「っていうかトーマス先輩もあの方の婚約者なのに、なんであんな女がいいんだろうね。」
意外にもこのクラスにはパトリシア嬢のファンが多かったりする。特に女性受けがいい。結構さばさばした性格だし(見た目からそう思われている)、いつも挨拶を返してくれるし、誰とでも分け隔てなく接してくれるからだ。
まぁ、話を聞いた限り分け隔てなくというよりは、「どこかで話したことあったかしら?」とか思ってそうだけど...あとは婚約者が別の女性と歩いていても焼きもちすら焼いていないからだ。これについては恐らく気づいていないか、興味がないんだと思う。
僕は、レンから調べるように言われたこともあり、ドロシー嬢を観察していた。
僕が見ていることに気付いたのか、ドロシー嬢はちらちらとこちらを見てくる。頼むから遠くから見ているだけでいいんだ。話しかけないでいただきたい。
というのも、香水のにおいがきつく近くにいるだけで吐き気がしてくるくらいだ。
「本当にどうしてトーマス先輩はこんな人が好きなんだろう。」と不思議に思った。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
クライン視点
レンフォード様に言われた通り、トーマスという男について調べてみた。見た目は侯爵家ということもあり、まぁまぁ整った顔立ちをしている。髪は短くしており、金髪に黄色い瞳だ。背も結構高めだ。明るく話しやすい性格をしていると思う。ぱっと見は浮気をするような男には見えない。
ハマー侯爵家はとても古くからある貴族の家系だ。ただ、このハマー家結構お金に困っているらしい。最近トーマスのお兄さんに継がせて、両親は領地にいるということだったが、それもお金が無くなってきたからだと聞いている。今はトーマスのお兄さんが頑張ってお金を工面しようとしているのだ。
色々な話に耳を傾けていたところ、面白い話が入ってきた。トーマス的には顔はパトリシア嬢、性格はドロシー嬢が好きらしい。それを聞いていてとことんくずだなと思った。
そしてお金問題だ。どちらに転んでもお金が入ってくるように動いているそうだ。恐らく賠償金の話だな。
ドロシー嬢はちょっと頭が悪そうなところがあるため、理解せずに付き合っている可能性が高い。そして、パトリシア嬢に関しては気持ちが離れて行っていると気づいたからこそ早めに婚約破棄にもっていって損害賠償をもらおうとしているのだろう。この間の人前で婚約破棄について話している時点で、周りへ周知させるのが目的だったんだと思う。
「とことんくずだな」
そう思いながら、僕はレンフォード様に今日聞いた内容を伝えた。
レンに言われてドロシーという女を調べはじめた。できるならパトリシア嬢について調べるほうが楽しそうだと思ったが、こればかりはクラスが一緒だから仕方がない。
ドロシー・ワーグナー(16)ワーグナー男爵の三女だ。ワーグナー家は最近準男爵から男爵になったと聞いている。準男爵だったこともあり領地などは持っていない。ワーグナー家が男爵家になった理由はドロシーの父親が大商人の息子でお金にものを言わせたと聞いている。言ってしまえば成り上がりというやつだ。
ドロシーはクラスでは結構嫌われている。目に見えたいじめはないが、やたらと婚約者のいる人に近寄っていくのだ。見た目は赤い髪色にピンクの瞳。ぽてっとした唇。男が好きそうな体型をしている。見た目も恐らくかわいい部類には入るだろう。
ただ、あれは女性に嫌われるタイプだ。甘ったるい声で話しかけてきたり胸を押し付けてきたりするからだ。
そしてトーマス先輩が教室に来ていないときは他の男性に話しかけている。それを他の女生徒は白い目で見ているのだ。
「またやってるよ・・・」
「っていうかトーマス先輩もあの方の婚約者なのに、なんであんな女がいいんだろうね。」
意外にもこのクラスにはパトリシア嬢のファンが多かったりする。特に女性受けがいい。結構さばさばした性格だし(見た目からそう思われている)、いつも挨拶を返してくれるし、誰とでも分け隔てなく接してくれるからだ。
まぁ、話を聞いた限り分け隔てなくというよりは、「どこかで話したことあったかしら?」とか思ってそうだけど...あとは婚約者が別の女性と歩いていても焼きもちすら焼いていないからだ。これについては恐らく気づいていないか、興味がないんだと思う。
僕は、レンから調べるように言われたこともあり、ドロシー嬢を観察していた。
僕が見ていることに気付いたのか、ドロシー嬢はちらちらとこちらを見てくる。頼むから遠くから見ているだけでいいんだ。話しかけないでいただきたい。
というのも、香水のにおいがきつく近くにいるだけで吐き気がしてくるくらいだ。
「本当にどうしてトーマス先輩はこんな人が好きなんだろう。」と不思議に思った。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
クライン視点
レンフォード様に言われた通り、トーマスという男について調べてみた。見た目は侯爵家ということもあり、まぁまぁ整った顔立ちをしている。髪は短くしており、金髪に黄色い瞳だ。背も結構高めだ。明るく話しやすい性格をしていると思う。ぱっと見は浮気をするような男には見えない。
ハマー侯爵家はとても古くからある貴族の家系だ。ただ、このハマー家結構お金に困っているらしい。最近トーマスのお兄さんに継がせて、両親は領地にいるということだったが、それもお金が無くなってきたからだと聞いている。今はトーマスのお兄さんが頑張ってお金を工面しようとしているのだ。
色々な話に耳を傾けていたところ、面白い話が入ってきた。トーマス的には顔はパトリシア嬢、性格はドロシー嬢が好きらしい。それを聞いていてとことんくずだなと思った。
そしてお金問題だ。どちらに転んでもお金が入ってくるように動いているそうだ。恐らく賠償金の話だな。
ドロシー嬢はちょっと頭が悪そうなところがあるため、理解せずに付き合っている可能性が高い。そして、パトリシア嬢に関しては気持ちが離れて行っていると気づいたからこそ早めに婚約破棄にもっていって損害賠償をもらおうとしているのだろう。この間の人前で婚約破棄について話している時点で、周りへ周知させるのが目的だったんだと思う。
「とことんくずだな」
そう思いながら、僕はレンフォード様に今日聞いた内容を伝えた。
2,186
お気に入りに追加
4,468
あなたにおすすめの小説
ご存知ないようですが、父ではなく私が当主です。
藍川みいな
恋愛
旧題:ご存知ないようですが、父ではなく私が侯爵です。
タイトル変更しました。
「モニカ、すまない。俺は、本物の愛を知ってしまったんだ! だから、君とは結婚出来ない!」
十七歳の誕生日、七年間婚約をしていたルーファス様に婚約を破棄されてしまった。本物の愛の相手とは、義姉のサンドラ。サンドラは、私の全てを奪っていった。
父は私を見ようともせず、義母には理不尽に殴られる。
食事は日が経って固くなったパン一つ。そんな生活が、三年間続いていた。
父はただの侯爵代理だということを、義母もサンドラも気付いていない。あと一年で、私は正式な侯爵となる。
その時、あなた達は後悔することになる。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
妹に全てを奪われるなら、私は全てを捨てて家出します
ねこいかいち
恋愛
子爵令嬢のティファニアは、婚約者のアーデルとの結婚を間近に控えていた。全ては順調にいく。そう思っていたティファニアの前に、ティファニアのものは何でも欲しがる妹のフィーリアがまたしても欲しがり癖を出す。「アーデル様を、私にくださいな」そうにこやかに告げるフィーリア。フィーリアに甘い両親も、それを了承してしまう。唯一信頼していたアーデルも、婚約破棄に同意してしまった。私の人生を何だと思っているの? そう思ったティファニアは、家出を決意する。従者も連れず、祖父母の元に行くことを決意するティファニア。もう、奪われるならば私は全てを捨てます。帰ってこいと言われても、妹がいる家になんて帰りません。
転生したら使用人の扱いでした~冷たい家族に背を向け、魔法で未来を切り拓く~
沙羅杏樹
恋愛
前世の記憶がある16歳のエリーナ・レイヴンは、貴族の家に生まれながら、家族から冷遇され使用人同然の扱いを受けて育った。しかし、彼女の中には誰も知らない秘密が眠っていた。
ある日、森で迷い、穴に落ちてしまったエリーナは、王国騎士団所属のリュシアンに救われる。彼の助けを得て、エリーナは持って生まれた魔法の才能を開花させていく。
魔法学院への入学を果たしたエリーナだが、そこで待っていたのは、クラスメイトたちの冷たい視線だった。しかし、エリーナは決して諦めない。友人たちとの絆を深め、自らの力を信じ、着実に成長していく。
そんな中、エリーナの出生の秘密が明らかになる。その事実を知った時、エリーナの中に眠っていた真の力が目覚める。
果たしてエリーナは、リュシアンや仲間たちと共に、迫り来る脅威から王国を守り抜くことができるのか。そして、自らの出生の謎を解き明かし、本当の幸せを掴むことができるのか。
転生要素は薄いかもしれません。
最後まで執筆済み。完結は保障します。
前に書いた小説を加筆修正しながらアップしています。見落としがないようにしていますが、修正されてない箇所があるかもしれません。
長編+戦闘描写を書いたのが初めてだったため、修正がおいつきません⋯⋯拙すぎてやばいところが多々あります⋯⋯。
カクヨム様にも投稿しています。
幼馴染が夫を奪った後に時間が戻ったので、婚約を破棄します
天宮有
恋愛
バハムス王子の婚約者になった私ルーミエは、様々な問題を魔法で解決していた。
結婚式で起きた問題を解決した際に、私は全ての魔力を失ってしまう。
中断していた結婚式が再開すると「魔力のない者とは関わりたくない」とバハムスが言い出す。
そしてバハムスは、幼馴染のメリタを妻にしていた。
これはメリタの計画で、私からバハムスを奪うことに成功する。
私は城から追い出されると、今まで力になってくれた魔法使いのジトアがやって来る。
ずっと好きだったと告白されて、私のために時間を戻す魔法を編み出したようだ。
ジトアの魔法により時間を戻すことに成功して、私がバハムスの妻になってない時だった。
幼馴染と婚約者の本心を知ったから、私は婚約を破棄します。
希望通り婚約破棄したのになぜか元婚約者が言い寄って来ます
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢ルーナは、婚約者で公爵令息エヴァンから、一方的に婚約破棄を告げられる。この1年、エヴァンに無視され続けていたルーナは、そんなエヴァンの申し出を素直に受け入れた。
傷つき疲れ果てたルーナだが、家族の支えで何とか気持ちを立て直し、エヴァンへの想いを断ち切り、親友エマの支えを受けながら、少しずつ前へと進もうとしていた。
そんな中、あれほどまでに冷たく一方的に婚約破棄を言い渡したはずのエヴァンが、復縁を迫って来たのだ。聞けばルーナを嫌っている公爵令嬢で王太子の婚約者、ナタリーに騙されたとの事。
自分を嫌い、暴言を吐くナタリーのいう事を鵜呑みにした事、さらに1年ものあいだ冷遇されていた事が、どうしても許せないルーナは、エヴァンを拒み続ける。
絶対にエヴァンとやり直すなんて無理だと思っていたルーナだったが、異常なまでにルーナに憎しみを抱くナタリーの毒牙が彼女を襲う。
次々にルーナに攻撃を仕掛けるナタリーに、エヴァンは…
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
誤解なんですが。~とある婚約破棄の場で~
舘野寧依
恋愛
「王太子デニス・ハイランダーは、罪人メリッサ・モスカートとの婚約を破棄し、新たにキャロルと婚約する!」
わたくしはメリッサ、ここマーベリン王国の未来の王妃と目されている者です。
ところが、この国の貴族どころか、各国のお偉方が招待された立太式にて、馬鹿四人と見たこともない少女がとんでもないことをやらかしてくれました。
驚きすぎて声も出ないか? はい、本当にびっくりしました。あなた達が馬鹿すぎて。
※話自体は三人称で進みます。
【完結】お父様。私、悪役令嬢なんですって。何ですかそれって。
紅月
恋愛
小説家になろうで書いていたものを加筆、訂正したリメイク版です。
「何故、私の娘が処刑されなければならないんだ」
最愛の娘が冤罪で処刑された。
時を巻き戻し、復讐を誓う家族。
娘は前と違う人生を歩み、家族は元凶へ復讐の手を伸ばすが、巻き戻す前と違う展開のため様々な事が見えてきた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる