え？私、悪役令嬢だったんですか？まったく知りませんでした。

あの方

あの方の噂さは果たして本当か？ ？？？視点

傍観していようと思ってから数日。思っている以上に噂は回っていた。

「最近さー、あの方の噂がどんどん過激になってきてるんだよねー。」

マーティンが足を組みながら話しかけてくる。

「あぁ、僕のクラスまで話が結構くるよ。まぁ、信じている人の方が少なさそうな感じがするけど、あの光景も見ちゃってるしね。」
マーティンの話に乗るルイス。そういえばマーティンはパトリシア嬢と同じクラスだったか。ルイスは違った気がするが…
「あの光景って何だ？」

「レンは学年違うもんねー。僕のクラスにあの方の婚約者トーマス先輩の幼馴染がいるんだよ。よくトーマス先輩クラスに来て幼馴染と帰ったりしてるんだよね。まぁ、本当に幼馴染なのかわからないけどさ。」
お菓子を一口つまみながら話す。

だいたい生徒会の4人は昔からの顔馴染みでみんな名前で気兼ねなく呼び合う。まぁ、真剣な話とかしてる時やちゃんとしたところではきちんとするけど、こう言った関係は悪くないと感じている。

「そういえばマーティンはあの方と同じクラスじゃん。マーティンこそどうなの？」

2人の会話にそれとなく耳を傾ける。

「俺はたまに話すよ。あの方は見てて飽きないからね。最近だと隣の席に座ってる。笑っちゃったのがさ、周りの人に俺のこと誰？って聞いててさー。レンと一緒にいるし生徒会にも入ってるから知らない人いるんだって逆にびっくりしたんだよね。」

マーティンは特に女性と話すことを嫌がっていつも逃げ回っているくらいなのに、隣の席に座っているなんて珍しいこともあるもんだなとおもいながら聞いていると、今まで黙っていたクレインが急に話し始めた。

「あの方はパトリシア令嬢でしたっけ。そういえばこの間、婚約を破棄するってトーマスという人が騒いでましたね。」

みんなが急に静かになる。
いや、クレイン。ここまであえて名前を出さずに話してたのに何で急に名前なんて出すんだ。そして婚約破棄ってなんだ。
皆急展開に頭がついて行っていないようだった。少しの間沈黙が流れ、話し始めたのはマーティンだ。

「クレイ。それ本当？」

「はい。私がたまたま廊下を歩いていたら急に大きな声で話し始めたんですよ。」
クレインはその時あったことを話し始めた。ドロシーはあくまで幼馴染なのに俺のことが好きだからっていじめるなんて最低だ的な話だったそうだ。

「パトリシア嬢の顔は少し面白かったですね。何の話しているんだろう？って顔されてましたよ。取り敢えずお父様達にお伝えしてから話し合いましょうって言ってました。」

いや、クレイよ。端折りすぎだろう。そう思ったが面白いところだけ伝えたかったのだろう、もう少し詳しい話が聞きたいとおもいながら私は3人の話を聞いた。

「そういえば噂の話って本当なのかい？」一番気になったことを聞いてみる。

「いや、絶対嘘でしょ。そもそも本人はドロシー令嬢の顔すら知らないよ。名前も最近知ったくらいだし。ただあるとすれば賠償金とかそっち狙いかなと俺は思ってるよ。」
確かにハマー家は侯爵の割にお金に余裕がないと聞くし、そのわりに煌びやかな生活を送っていると聞く。

「ちょっと調べてみる必要がありそうだな。」

独り言を呟くとニヤニヤした顔でみんなが見てくる。

「レンにしては気にかけてるの珍しいな。」
「だってここまで話が大きくなってるんだ。気になるだろ？」
確かに僕が気にするのは珍しいかもしれない。
「それに一応生徒会長としてやることはやっておかないとな。」

あまり面倒ごとには首を突っ込みたくないと思いながら、色々調べてみることにした。