え?私、悪役令嬢だったんですか?まったく知りませんでした。

ゆずこしょう

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あの方

私悪役令嬢だったんですか?初耳です。

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あれから数日経ち、私に対する噂話が減るどころかどんどん内容が酷くなっていった。

初めはドロシー様に可愛らしいイジメをしているという感じの内容だったが、今では何故か私がドロシー様からトーマス様を奪ったという話になっていた。

私がトーマス様を無理やり婿にしたとかそういう内容だ。
おかげで「顔だけの令嬢」とか色々いわれるようになった。そもそも無理やり婿にと推薦してきたのはハマー家だったし、私はそこまでトーマス様に興味がない。学院に来てからはいつも幼馴染という人と一緒にいたから余計に興味がなくなったのだ。
確かに初めの頃は注意していたけど、もう注意するのすら面倒くさい。

「いつの間にかまた噂が広がったようだね。」隣に座りながらマーティン様が話しかけてくる。
「えぇ。あなたが教えてくれなければそもそも私の話だとは気づかなかったんですけど、私の話だと聞いてからは色々辻褄があってスッキリしました。まぁ、数日は現実逃避していましたが…」遠い目をしながらマーティン様と話す。

それにしてもいつになったら噂話がなくなるのか、噂の出所を探すところから始めているもののなかなかわからない。まぁ、1番は本人が言っている可能性が高いけど。相手はもしかしたら悲劇のヒロインにでもなったつもりなのかもしれない。

「そういえば、最近また妙な話を聞いたんだよ。なんでも君の婚約者が悲劇のヒロインになりきっていてね。君のことを悪役令嬢と呼んでいるそうだよ。もしかして本とかに出てくるのかな?」

授業中小さい声で話しかけてくるマーティン様。

「え?いつの間にか悪役令嬢にされている!?」

柄にもなく授業中に大声を出してしまい、先生含めたクラス全員がこちらを見る。
そんな姿を見てマーティン様は笑っていた。

「すみません。なんでもないです。」椅子に座りながら授業を止めてしまったことを謝罪した。

ミーナがこちらを見ながら「大丈夫?」と聞いてきたので「大丈夫。ごめんね。」と返しておく。マーティン様をみるとまだお腹を抱えて笑っていた。何がそんなに面白いのか。私は全く面白くない。取り敢えず今は授業に集中してまた放課後考えることにした。

⟡.·*.··············································⟡.·*.

放課後になると私はいつも通りミーナ達と別れて1人図書室に向かおうとあるいていると、前から見たことある人が現れた、トーマス様だ。トーマス様が1人でいるのは珍しい。一応婚約者なので挨拶だけする。
「トーマス様。お久しぶりです。こんなところで会うなんて珍しいですね。何かございましたか?」

「いや、お前に言っておきたいことがあってきたんだ。」

「はい、なんでしょうか?」
言いたいことがあるとのことだったので話を聞くために一度動きをとめた。

「お前がドロシーをいじめていると聞いた。そんなに俺のことが好きなのか!?好きだから一緒にいるドロシーのことをいじめるんだろう?さらに俺とドロシーの仲を引き裂こうとしているんだって?お前がそんな最低なやつだなんて思ってなかったよ。俺とドロシーはただの幼馴染だ。こんなに干渉されるなんてもう限界だ!この場をもって婚約は破棄させてもらいたい。」

一瞬頭の中が真っ白になった。
ま、待って欲しい。婚約破棄はいいがこんな公衆の面前でしかも人がたくさんいる中でこいつ何を言っているんだ?ドロシーとの仲を引き裂く?いやいやいや、そもそもお前への気持ちはとっくの昔に冷めてめますが?私が好きだなんてどの口が言っているのか。開いた口が塞がらない。


取り敢えず言い返すと火に油を注ぎそうだったので、
「わかりました。このお話はお父様にお伝えさせていただきお父様から返事させていただきます。」と伝えた。今はこの嫌な雰囲気となっているところを切り抜ける方が先だ。

お父様とお母様に伝えるのが一番辛いのにと思いながら取り敢えず今日も図書室には寄らずまっすぐ家に帰りお父様宛に手紙を書いた。

あぁ、本が読みたかったな。


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