4 / 77
あの方
あの方
しおりを挟む
図書室の前で一度人と話してから少し変わったことがある。
毎回図書室に行くたびに以前話した人に声をかけられるようになったとことだ。最近では授業中も隣に座ってくることが多い。
まぁ、特に邪魔されているわけではないので気にせずに授業を受けているけど、やたら顔が整っているからかチラチラこちらを見る人が増えて気が散る。
隣に座った人は全く気にしていないようだけど。
「シアの隣に座っている方。最近いつもシアの隣に座るけど知り合いなの?」ミーナが耳打ちしてくる。
「それが全く誰かわからないのよ。ミーナは誰か知ってるの?どこかで会ったことあるかしら…私あまり交友関係広くないからわからない方多いのよね。」
本当に誰なのかわからずミーナに聞いてみる。ミーナは吃驚した顔で、「本当に知らないの!?」と聞いて来た。
本にしか興味がない私は基本仲良くならない限り顔を覚えられないのだ。
「まったく知らないわ。」
「そ、そうなのね…。生徒会書記のマーティン・ルミナー様よ。」
あぁ、だから見たことあるのかと納得した。生徒会長と副会長は確か3年生だったけど書記と会計は同じ学年にいたのを忘れていた。
「ミーナありがとう!やっと思い出したわ。」
手を取って感謝の気持ちを伝えると本当にシアは興味がない人のことはまったく覚えないんだからと呆れられた。
授業が終わりミーナと挨拶をして図書室に行こうと準備を始める。
「今日も図書室に行くのかい?」
隣に座っていても今まではまったく話しかけてくることがなかったのに珍しい。
「えぇ。図書室はいろいろな本が置いてありますし勉強になりますので。では失礼いたします。」
立ち上がると何故かマーティン様も立ち上がる。きっと生徒会室に行くのだろうとミーナに挨拶をして私は図書室へ向かった。
歩いていると何故か後ろをついてくるマーティン様。
「あの、なにか?」そう声をかけると面白そうに「いやなんでもない。僕も図書室に行こうと思ってね。」と返ってきた。
まぁ、図書室はみんなのものだ。別に誰が図書室に行こうと関係ないだろう。
そして歩いていると今日もいつもと同じようにあの方の話が耳に入ってくる。今日のあの方は何をしたのかと噂話を聞いてみると後ろからくすりと声が聞こえた。そういえばこの人がいたことをすっかり忘れていた。
「やっぱり気になるんだね。」
「気になるというよりはあの方って暇な方なんだなといつも思ってて。聞きたくなくても入ってくるのでついつい今日は何したのかなと思ってしまいました。」
素直に伝えると「あの方が誰かまだ気づいていなかったのか」とボソリと言っている声が聞こえた。
「もしかして、あの方についてご存知なのですか?本当にすごい暇な方ですよね!」
そう話していると今度は大き声で笑われる。何がおかしいのだろうと首を傾げていると
「あの方は、君のことだよ。」
耳元でつぶやかれた。
私はびっくりし過ぎて口をぱくぱく動かす。
「まるで魚みたいだね!」そう言って笑いながら図書室の中に入って行った。
毎回図書室に行くたびに以前話した人に声をかけられるようになったとことだ。最近では授業中も隣に座ってくることが多い。
まぁ、特に邪魔されているわけではないので気にせずに授業を受けているけど、やたら顔が整っているからかチラチラこちらを見る人が増えて気が散る。
隣に座った人は全く気にしていないようだけど。
「シアの隣に座っている方。最近いつもシアの隣に座るけど知り合いなの?」ミーナが耳打ちしてくる。
「それが全く誰かわからないのよ。ミーナは誰か知ってるの?どこかで会ったことあるかしら…私あまり交友関係広くないからわからない方多いのよね。」
本当に誰なのかわからずミーナに聞いてみる。ミーナは吃驚した顔で、「本当に知らないの!?」と聞いて来た。
本にしか興味がない私は基本仲良くならない限り顔を覚えられないのだ。
「まったく知らないわ。」
「そ、そうなのね…。生徒会書記のマーティン・ルミナー様よ。」
あぁ、だから見たことあるのかと納得した。生徒会長と副会長は確か3年生だったけど書記と会計は同じ学年にいたのを忘れていた。
「ミーナありがとう!やっと思い出したわ。」
手を取って感謝の気持ちを伝えると本当にシアは興味がない人のことはまったく覚えないんだからと呆れられた。
授業が終わりミーナと挨拶をして図書室に行こうと準備を始める。
「今日も図書室に行くのかい?」
隣に座っていても今まではまったく話しかけてくることがなかったのに珍しい。
「えぇ。図書室はいろいろな本が置いてありますし勉強になりますので。では失礼いたします。」
立ち上がると何故かマーティン様も立ち上がる。きっと生徒会室に行くのだろうとミーナに挨拶をして私は図書室へ向かった。
歩いていると何故か後ろをついてくるマーティン様。
「あの、なにか?」そう声をかけると面白そうに「いやなんでもない。僕も図書室に行こうと思ってね。」と返ってきた。
まぁ、図書室はみんなのものだ。別に誰が図書室に行こうと関係ないだろう。
そして歩いていると今日もいつもと同じようにあの方の話が耳に入ってくる。今日のあの方は何をしたのかと噂話を聞いてみると後ろからくすりと声が聞こえた。そういえばこの人がいたことをすっかり忘れていた。
「やっぱり気になるんだね。」
「気になるというよりはあの方って暇な方なんだなといつも思ってて。聞きたくなくても入ってくるのでついつい今日は何したのかなと思ってしまいました。」
素直に伝えると「あの方が誰かまだ気づいていなかったのか」とボソリと言っている声が聞こえた。
「もしかして、あの方についてご存知なのですか?本当にすごい暇な方ですよね!」
そう話していると今度は大き声で笑われる。何がおかしいのだろうと首を傾げていると
「あの方は、君のことだよ。」
耳元でつぶやかれた。
私はびっくりし過ぎて口をぱくぱく動かす。
「まるで魚みたいだね!」そう言って笑いながら図書室の中に入って行った。
2,305
お気に入りに追加
4,468
あなたにおすすめの小説
ご存知ないようですが、父ではなく私が当主です。
藍川みいな
恋愛
旧題:ご存知ないようですが、父ではなく私が侯爵です。
タイトル変更しました。
「モニカ、すまない。俺は、本物の愛を知ってしまったんだ! だから、君とは結婚出来ない!」
十七歳の誕生日、七年間婚約をしていたルーファス様に婚約を破棄されてしまった。本物の愛の相手とは、義姉のサンドラ。サンドラは、私の全てを奪っていった。
父は私を見ようともせず、義母には理不尽に殴られる。
食事は日が経って固くなったパン一つ。そんな生活が、三年間続いていた。
父はただの侯爵代理だということを、義母もサンドラも気付いていない。あと一年で、私は正式な侯爵となる。
その時、あなた達は後悔することになる。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
妹に全てを奪われるなら、私は全てを捨てて家出します
ねこいかいち
恋愛
子爵令嬢のティファニアは、婚約者のアーデルとの結婚を間近に控えていた。全ては順調にいく。そう思っていたティファニアの前に、ティファニアのものは何でも欲しがる妹のフィーリアがまたしても欲しがり癖を出す。「アーデル様を、私にくださいな」そうにこやかに告げるフィーリア。フィーリアに甘い両親も、それを了承してしまう。唯一信頼していたアーデルも、婚約破棄に同意してしまった。私の人生を何だと思っているの? そう思ったティファニアは、家出を決意する。従者も連れず、祖父母の元に行くことを決意するティファニア。もう、奪われるならば私は全てを捨てます。帰ってこいと言われても、妹がいる家になんて帰りません。
【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。
みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」
魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。
ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。
あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で運命的な出会いをする。
【2024年3月16日完結、全58話】
転生したら使用人の扱いでした~冷たい家族に背を向け、魔法で未来を切り拓く~
沙羅杏樹
恋愛
前世の記憶がある16歳のエリーナ・レイヴンは、貴族の家に生まれながら、家族から冷遇され使用人同然の扱いを受けて育った。しかし、彼女の中には誰も知らない秘密が眠っていた。
ある日、森で迷い、穴に落ちてしまったエリーナは、王国騎士団所属のリュシアンに救われる。彼の助けを得て、エリーナは持って生まれた魔法の才能を開花させていく。
魔法学院への入学を果たしたエリーナだが、そこで待っていたのは、クラスメイトたちの冷たい視線だった。しかし、エリーナは決して諦めない。友人たちとの絆を深め、自らの力を信じ、着実に成長していく。
そんな中、エリーナの出生の秘密が明らかになる。その事実を知った時、エリーナの中に眠っていた真の力が目覚める。
果たしてエリーナは、リュシアンや仲間たちと共に、迫り来る脅威から王国を守り抜くことができるのか。そして、自らの出生の謎を解き明かし、本当の幸せを掴むことができるのか。
転生要素は薄いかもしれません。
最後まで執筆済み。完結は保障します。
前に書いた小説を加筆修正しながらアップしています。見落としがないようにしていますが、修正されてない箇所があるかもしれません。
長編+戦闘描写を書いたのが初めてだったため、修正がおいつきません⋯⋯拙すぎてやばいところが多々あります⋯⋯。
カクヨム様にも投稿しています。
幼馴染が夫を奪った後に時間が戻ったので、婚約を破棄します
天宮有
恋愛
バハムス王子の婚約者になった私ルーミエは、様々な問題を魔法で解決していた。
結婚式で起きた問題を解決した際に、私は全ての魔力を失ってしまう。
中断していた結婚式が再開すると「魔力のない者とは関わりたくない」とバハムスが言い出す。
そしてバハムスは、幼馴染のメリタを妻にしていた。
これはメリタの計画で、私からバハムスを奪うことに成功する。
私は城から追い出されると、今まで力になってくれた魔法使いのジトアがやって来る。
ずっと好きだったと告白されて、私のために時間を戻す魔法を編み出したようだ。
ジトアの魔法により時間を戻すことに成功して、私がバハムスの妻になってない時だった。
幼馴染と婚約者の本心を知ったから、私は婚約を破棄します。
希望通り婚約破棄したのになぜか元婚約者が言い寄って来ます
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢ルーナは、婚約者で公爵令息エヴァンから、一方的に婚約破棄を告げられる。この1年、エヴァンに無視され続けていたルーナは、そんなエヴァンの申し出を素直に受け入れた。
傷つき疲れ果てたルーナだが、家族の支えで何とか気持ちを立て直し、エヴァンへの想いを断ち切り、親友エマの支えを受けながら、少しずつ前へと進もうとしていた。
そんな中、あれほどまでに冷たく一方的に婚約破棄を言い渡したはずのエヴァンが、復縁を迫って来たのだ。聞けばルーナを嫌っている公爵令嬢で王太子の婚約者、ナタリーに騙されたとの事。
自分を嫌い、暴言を吐くナタリーのいう事を鵜呑みにした事、さらに1年ものあいだ冷遇されていた事が、どうしても許せないルーナは、エヴァンを拒み続ける。
絶対にエヴァンとやり直すなんて無理だと思っていたルーナだったが、異常なまでにルーナに憎しみを抱くナタリーの毒牙が彼女を襲う。
次々にルーナに攻撃を仕掛けるナタリーに、エヴァンは…
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
誤解なんですが。~とある婚約破棄の場で~
舘野寧依
恋愛
「王太子デニス・ハイランダーは、罪人メリッサ・モスカートとの婚約を破棄し、新たにキャロルと婚約する!」
わたくしはメリッサ、ここマーベリン王国の未来の王妃と目されている者です。
ところが、この国の貴族どころか、各国のお偉方が招待された立太式にて、馬鹿四人と見たこともない少女がとんでもないことをやらかしてくれました。
驚きすぎて声も出ないか? はい、本当にびっくりしました。あなた達が馬鹿すぎて。
※話自体は三人称で進みます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる