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建国祭
その後。
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建国祭が終わって1ヶ月が経った。
この1ヶ月は大きな変化はなく、とても平和な時間を過ごすことができていた。
あれから、アポロやアーテリアの話は聞かないので、二人で一緒にいるのかそれとも別々でいるのかは全然わからない。
ただ言えるのは2人もこの国にはいれなくなったと聞いているのでとこか違う国にでも言ったのではないかと思う。
まぁ、私からしたら二人の顔が見えないだけでありがたいものだ。
エリス、ヘシオネリア、プロメティオスはそれぞれ別の地に送られた。どちらにしても処刑になることが決まっているため、返済が終わるまでは強制労働者として扱われることになるだろう。
そして、他の保守派についてだが…大きな関わりがあったというものは多くなかったため、罰金のみで済むところがほとんどだそうだ。
ヘシオネリアやプロメティオスはなんでこんなことを起こしたのか、何となく理解はできるがエリスだけは未だにわからなかった。
親の仇なのか…
保守派として守りたいものがあったのか…
お金が欲しかったのか…
様々な憶測が飛んだが、結局のところ何が原因かはわからずじまいだった。
建国祭は成功とは言えなかったかもしれないが、春にはもう一つおめでたいことがある。
それは…ニケお兄様とアテナお義姉様の結婚式である。
そして今日がついにその日だ。ガーデン披露宴を行うと言っていたために天気も心配していたが快晴でいい結婚式になりそうだ。
正直建国祭までにすべてが片付いた事、誰もかけることなく結婚式を迎えられたことはとても嬉しい。
結婚式では白いウエディングドレスを披露宴ではカラードレスを着ると仰っていたので、私はそれに似合わないようにドレスを選んだ。
今回は普段あまりきない青緑色だ。少し青が多めなので、コバルトブルーのようなそんな色に似ているかもしれない。その上からは光の加減できらきら光るレースがついているため、外にいてもとても映えそうな色である。
準備を終えてエントランスに向かうと、オスト様が迎えに来てくれていた。
お母様やお父様はお客様の対応があるということで早めに出ているし、ヘルお兄様はデメーテルお義姉様を迎えに行っている。
「オスト様。お待たせいたしました。」
「いや、待っていないよ。今日も素敵なドレスだね。」
アポロといたときはドレスを考えるのもパーティーに行くのも嫌いだった私がこの一年ですごく変わったものである。自分でも実感があるくらいなのだから、周りから見たらもっと吃驚されているのかもしれない。
いや、意外にこういったことって自分しか気づかないものなのだろうか…
「ありがとうございます!オスト様も素敵ですよ。」
今回もタイの色はお揃いになっていた。
「最近はドレスを選ぶのも楽しいのです。アーテリアに会うのが嫌だったので、お茶会にもあまり参加出来ていなかったですし、少しずつ色々な方と交流を持てればいいなと思っています。」
「いいじゃないか。色々な人と会うことで流行もわかるし、勉強になることもたくさんあるからどんどん参加するといい。ただ、他の男には目を奪われないでくれよ…」
本人には言わないが、こんなにオスト殿下のことしか考えていないのだ。他の男に目を奪われることはないだろう。
「それはこちらのセリフですよ。」
馬車の中で笑いあっていると、結婚式の会場についた。
結婚式は少し小高い山の上にある教会だ。貴族にも隠れ人気のあるスポットでもある。
そして教会の前には大きな庭があり、一面カラフルなお花が咲き誇っている。
春だからこそのきれいさと言えるだろう。
教会の中に入ると、青いステンドグラスがキラキラと光っていてまるで海の中にいるような錯覚に陥った。
1年後には私たちも結婚することになるだろう。
王族なので、王宮で結婚式を挙げることになるだろうと思うが、今から準備をして最高なものにできる王にするのもいいかもしれない。
外から大きな鐘の音がなる。
それと同時にパイプオルガンの音楽が鳴り始め、ニケお兄様が入場してきた。
鎧姿に見慣れているお兄様が珍しく鎧を脱いでいる。
お世辞抜きでかっこいいと思う。お兄様が神父様の前にたどり着くと、アテナお姉様が入場してきた。白いウエディングドレスがとてもきれいだ。さらにステンドグラスの光がドレスに集まっていて、キラキラと光っている。
「いいですね。私もあのような結婚式がしたいです…」
「そうだね。あと1年。準備して幸せな結婚式にしよう。生涯に1回しか行われないものだからね!」
オスト様の言葉に私はこくりと頷いた。
願わくば…
ニケお兄様とアテナお義姉様のような、背中を任せあえるような夫婦に…
ヘルお兄様とデメーテルお義姉様のような、離れていても信頼しあえる関係に…
お父様とお母様のように喧嘩しても仲直りできるような関係に…
国王様と王妃様のようにずっと仲のいい夫婦になれますように…
2人でずっと歩いていけますように…
完
⟡.·*.··············································⟡.·*.
あとがき
この度はお読みいただきありがとうございました。
これにてメーティアの物語は終わりとなりま
す。
もう少し短くお話をまとめるつもりがどんどん長くなってしまいました…最後は駆け足になってしまい申し訳ございません。
誤字脱字も多く読みにくいところが多々あったかもしれませんが、最後まで書ききることができたのも皆さんが読んでくださったお陰です。
つたない文章も多かったと思いますが、ありがとうございました。
今回はギリシャ神話からお名前を拝借いたしました。
少しずつ性格も似せられるように…と思っていたのですが、気づいていただけたら嬉しいです。
感想やご意見もありがとうございます。とても嬉しいです。
またどこかで皆さまとお会いできましたら幸いです。
ありがとうございました。
ゆずこしょう
この1ヶ月は大きな変化はなく、とても平和な時間を過ごすことができていた。
あれから、アポロやアーテリアの話は聞かないので、二人で一緒にいるのかそれとも別々でいるのかは全然わからない。
ただ言えるのは2人もこの国にはいれなくなったと聞いているのでとこか違う国にでも言ったのではないかと思う。
まぁ、私からしたら二人の顔が見えないだけでありがたいものだ。
エリス、ヘシオネリア、プロメティオスはそれぞれ別の地に送られた。どちらにしても処刑になることが決まっているため、返済が終わるまでは強制労働者として扱われることになるだろう。
そして、他の保守派についてだが…大きな関わりがあったというものは多くなかったため、罰金のみで済むところがほとんどだそうだ。
ヘシオネリアやプロメティオスはなんでこんなことを起こしたのか、何となく理解はできるがエリスだけは未だにわからなかった。
親の仇なのか…
保守派として守りたいものがあったのか…
お金が欲しかったのか…
様々な憶測が飛んだが、結局のところ何が原因かはわからずじまいだった。
建国祭は成功とは言えなかったかもしれないが、春にはもう一つおめでたいことがある。
それは…ニケお兄様とアテナお義姉様の結婚式である。
そして今日がついにその日だ。ガーデン披露宴を行うと言っていたために天気も心配していたが快晴でいい結婚式になりそうだ。
正直建国祭までにすべてが片付いた事、誰もかけることなく結婚式を迎えられたことはとても嬉しい。
結婚式では白いウエディングドレスを披露宴ではカラードレスを着ると仰っていたので、私はそれに似合わないようにドレスを選んだ。
今回は普段あまりきない青緑色だ。少し青が多めなので、コバルトブルーのようなそんな色に似ているかもしれない。その上からは光の加減できらきら光るレースがついているため、外にいてもとても映えそうな色である。
準備を終えてエントランスに向かうと、オスト様が迎えに来てくれていた。
お母様やお父様はお客様の対応があるということで早めに出ているし、ヘルお兄様はデメーテルお義姉様を迎えに行っている。
「オスト様。お待たせいたしました。」
「いや、待っていないよ。今日も素敵なドレスだね。」
アポロといたときはドレスを考えるのもパーティーに行くのも嫌いだった私がこの一年ですごく変わったものである。自分でも実感があるくらいなのだから、周りから見たらもっと吃驚されているのかもしれない。
いや、意外にこういったことって自分しか気づかないものなのだろうか…
「ありがとうございます!オスト様も素敵ですよ。」
今回もタイの色はお揃いになっていた。
「最近はドレスを選ぶのも楽しいのです。アーテリアに会うのが嫌だったので、お茶会にもあまり参加出来ていなかったですし、少しずつ色々な方と交流を持てればいいなと思っています。」
「いいじゃないか。色々な人と会うことで流行もわかるし、勉強になることもたくさんあるからどんどん参加するといい。ただ、他の男には目を奪われないでくれよ…」
本人には言わないが、こんなにオスト殿下のことしか考えていないのだ。他の男に目を奪われることはないだろう。
「それはこちらのセリフですよ。」
馬車の中で笑いあっていると、結婚式の会場についた。
結婚式は少し小高い山の上にある教会だ。貴族にも隠れ人気のあるスポットでもある。
そして教会の前には大きな庭があり、一面カラフルなお花が咲き誇っている。
春だからこそのきれいさと言えるだろう。
教会の中に入ると、青いステンドグラスがキラキラと光っていてまるで海の中にいるような錯覚に陥った。
1年後には私たちも結婚することになるだろう。
王族なので、王宮で結婚式を挙げることになるだろうと思うが、今から準備をして最高なものにできる王にするのもいいかもしれない。
外から大きな鐘の音がなる。
それと同時にパイプオルガンの音楽が鳴り始め、ニケお兄様が入場してきた。
鎧姿に見慣れているお兄様が珍しく鎧を脱いでいる。
お世辞抜きでかっこいいと思う。お兄様が神父様の前にたどり着くと、アテナお姉様が入場してきた。白いウエディングドレスがとてもきれいだ。さらにステンドグラスの光がドレスに集まっていて、キラキラと光っている。
「いいですね。私もあのような結婚式がしたいです…」
「そうだね。あと1年。準備して幸せな結婚式にしよう。生涯に1回しか行われないものだからね!」
オスト様の言葉に私はこくりと頷いた。
願わくば…
ニケお兄様とアテナお義姉様のような、背中を任せあえるような夫婦に…
ヘルお兄様とデメーテルお義姉様のような、離れていても信頼しあえる関係に…
お父様とお母様のように喧嘩しても仲直りできるような関係に…
国王様と王妃様のようにずっと仲のいい夫婦になれますように…
2人でずっと歩いていけますように…
完
⟡.·*.··············································⟡.·*.
あとがき
この度はお読みいただきありがとうございました。
これにてメーティアの物語は終わりとなりま
す。
もう少し短くお話をまとめるつもりがどんどん長くなってしまいました…最後は駆け足になってしまい申し訳ございません。
誤字脱字も多く読みにくいところが多々あったかもしれませんが、最後まで書ききることができたのも皆さんが読んでくださったお陰です。
つたない文章も多かったと思いますが、ありがとうございました。
今回はギリシャ神話からお名前を拝借いたしました。
少しずつ性格も似せられるように…と思っていたのですが、気づいていただけたら嬉しいです。
感想やご意見もありがとうございます。とても嬉しいです。
またどこかで皆さまとお会いできましたら幸いです。
ありがとうございました。
ゆずこしょう
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