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年の始まり
ヘルお兄様とオスト様。
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昨晩遅くまで話していたからか、皆遅めの朝ごはんを食べに来ている。
朝ご飯は人によって食べる時間が違うため、会えば一緒に食べるという感じだ。
ダイニングルームに行くと、オスト様とニケお兄様、ヘルお兄様が朝食を食べていた。
「おはようございます。」
「おはようメルティ。ゆっくり眠れたようでよかった。」
オスト様が笑顔で挨拶を返してくる。オスト様の笑顔を見ると最近やたらと胸が高鳴ることがある。ダルデンヌ公爵がこの家を訪ねてきたときからだろうか。
「もう昼に近いけどな。食べすぎると昼はいらなくなるから気を付けるんだぞ。」
ニケお兄様が私の朝食のパンを一つ取って口に頬張りながらダイニングルームを出て行った。
昔から人のお皿から一つパンを持っていく。足りないならお代わりでもすればいいのに…と何度か伝えたが、ニケお兄様曰く人のお皿からとるのがうまいそうだ…よくわからないけど…
「ヘルお兄様。昨晩の話ですが…いつならお時間ありますか?」
「今日は何もないから時間があるよ。」
昨晩返ってくることになっていたから今日は休みにしていたそうだ。
「お休みなのに申し訳ございません。」
「メルティからの頼みなんて珍しいしね。それに家の中で新しいこと始めるなら僕がいた方がいいだろ?」
この家の中で、商売や事業などを始めるときにヘルお兄様がいるかいないかで成功確率は変わってくる。
現にお兄様がこの領地の事業運営を任されるようになって10年以上。失敗はひとつもなく、成績も右肩上がりだ。
以前、オルフェウスお祖父様に聞いたことがある。なぜヘルお兄様は子供なのに事業運営を任されているのか。
「ヘルメントは勝負どころと引き際を分かっておる。それに剣を振るうよりも商売している方が楽しそうだからのぉ…。」
顎髭を優しく撫でながら話すお祖父様をみて、よく人のことを見ているんだなと子供ながらに思った記憶がある。
まぁ、お父様とニケお兄様があれだけ強いのだ…。ヘルお兄様も鍛えていないわけではないし、お父様の息子だから、騎士団とかに入れば上から数えた方が早いんだろうけど、あの2人と毎日稽古していれば嫌にもなってくるだろう。
私とヘルお兄様が話をしていると、オスト様が少し頬を膨らませてこちらを見ている。
「オスト様。どうかなさいましたか?」
ヘルお兄様はくすくす笑いながら「先に部屋に戻っているからいつでもおいで」とだけ言ってダイニングルームから出ていった。
「ずるいじゃないか!」
ずるいって…。何がだろうか…
お菓子商品化についてはなしていただけなのだけれど。
「何がでしょうか…?」
首を傾げて聞いてみると、益々オスト様の頬が膨らんでいく。まるでリスが口にエサを含んでいるみたいだ。
王太子殿下に思っていいことでは無いと分かっていながら、可愛いなと思っているとバネッサが耳元で教えてくれた。
「ヘリーオスト王太子殿下は、ヘルメント様とお嬢様が2人しか知らない話をしてたのでヤキモチを焼いていたのだと思いますよ…。」
「2人で何話してるんだ…。」
私とバネッサの方を見ているオスト様をみて私は思わず笑ってしまった。
「すみません…笑ってしまって。つい、オスト様の事が愛おしいと思ってしまって…。」
「な、な、な…」
この家にいるとあまり表情が動く人がいないからかオスト様の百面相をみていると、とても可愛く思えてしまう。
つい、本心を伝えてしまうと、リスのような顔が今度は茹でダコのように真っ赤に染っていく。
「ヘルお兄様と二人で話してしまってすみません。ここを逃すとヘルお兄様と次お会いできるのはニケお兄様の結婚式になってしまいそうだったので…。」
ヘルお兄様がいまダルデンヌ公爵領に潜伏していることをオスト様も知っている。
「そうだったな…。それでこの後どんな話をするんだ?できれば俺も話を一緒に聞きたいんだが…。」
確かに、ヘルお兄様だけでなくオスト様の意見も聞けるのはありがたい。
「そうですね…。オスト様の意見も聞きたいのでこの後お時間がありましたら一緒にヘルお兄様のところに着いてきていただいてもよろしいでしょうか?」
オスト様はイスからガタリと立ち上がり、
「今回のために仕事は片付けてきたから時間はたんまりある。し、し、仕方がないな。3人集まれば文殊の知恵とも言うしな。俺も参加しよう。」
すごく嬉しそうな顔でこちらを見てくる姿に胸が高鳴った。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
遅めの朝食を食べ終わり、私はオスト様と2人でヘルお兄様の執務室に向かう。
一人一つ執務室がある訳では無いが、ヘルお兄様の場合は別だ。子供の時から事業計画や、領地運営、商会運営など様々なことを手懸けていることから、お祖父が気を利かせて執務室を作ってくれたのである。
「ヘルお兄様。お待たせ致しました。」
「あぁ、入ってくれ。」
ヘルお兄様の執務室はとても綺麗に片付いている。因みにお父様が使用している執務室はもので溢れかえっているのだから、これも性格なのかもしれない。
ヘルお兄様曰く、整理整頓できないと必要な書類を探すのに時間がかかって手間だからだそうだ。その時間があれば仕事に集中したいらしい。
ヘルお兄様はちらりと私の方を見ると、
「なんだ。オストも来たのか?」と言いながら書類に目を通している。
恐らくあの書類は私が考えた商品計画書だろう。
「なんだ。俺が来ては行けなかったのか…?」
「来ては行けないとは言っていないだろう。知っていると思うが、俺はメルティの兄だからな?ヤキモチ妬かれても困る。」
「お、お、お前にヤキモチなんか妬くわけないだろ!」
2人のやり取りをみていると何だかお父様とウラヌス国王陛下みたいだ。2人のことをじっと見ているとお兄様が話をしようと言って話を切りかえた。
話を1からするのが面倒だった私は計画書をオスト様に渡す。
すぐに理解してくれたオスト様は何言わずに目を通し始めた。
「メルティ。僕もずっとここで作るドライフルーツやナッツなどの木の実類をもっと他の領地の人に食べてもらいたいとおもっていたんだ。だから商品化はいいと思う。あとは味や価格。どう売り出していくかが鍵だろう。」
ヘルお兄様は書類を目に通しただけでもこの後の動きについて考えられているようだ。
「確かに他の領地では食糧難に陥ることもほとんどないからな。ドライフルーツなども味など考えていない。それに比べてこの領地では味までしっかり考えられているからな。俺も商品化には賛成だ。」
「メルティ。今日のティータイムでこのお菓子は出せるかい?」
「はい。恐らく出せるかと…」
「全員に食べてもらって感想を聞いてから次の手を考えよう。最期は味だからね」
確かにお兄様の言うとおり、皆が美味しいと感じるもの。万人受けするものでなければ商品化は難しい。
オスト様も同じ意見なのかこくりと頷く。
私は「わかりました。」と言って準備のために先に執務室をでた。
朝ご飯は人によって食べる時間が違うため、会えば一緒に食べるという感じだ。
ダイニングルームに行くと、オスト様とニケお兄様、ヘルお兄様が朝食を食べていた。
「おはようございます。」
「おはようメルティ。ゆっくり眠れたようでよかった。」
オスト様が笑顔で挨拶を返してくる。オスト様の笑顔を見ると最近やたらと胸が高鳴ることがある。ダルデンヌ公爵がこの家を訪ねてきたときからだろうか。
「もう昼に近いけどな。食べすぎると昼はいらなくなるから気を付けるんだぞ。」
ニケお兄様が私の朝食のパンを一つ取って口に頬張りながらダイニングルームを出て行った。
昔から人のお皿から一つパンを持っていく。足りないならお代わりでもすればいいのに…と何度か伝えたが、ニケお兄様曰く人のお皿からとるのがうまいそうだ…よくわからないけど…
「ヘルお兄様。昨晩の話ですが…いつならお時間ありますか?」
「今日は何もないから時間があるよ。」
昨晩返ってくることになっていたから今日は休みにしていたそうだ。
「お休みなのに申し訳ございません。」
「メルティからの頼みなんて珍しいしね。それに家の中で新しいこと始めるなら僕がいた方がいいだろ?」
この家の中で、商売や事業などを始めるときにヘルお兄様がいるかいないかで成功確率は変わってくる。
現にお兄様がこの領地の事業運営を任されるようになって10年以上。失敗はひとつもなく、成績も右肩上がりだ。
以前、オルフェウスお祖父様に聞いたことがある。なぜヘルお兄様は子供なのに事業運営を任されているのか。
「ヘルメントは勝負どころと引き際を分かっておる。それに剣を振るうよりも商売している方が楽しそうだからのぉ…。」
顎髭を優しく撫でながら話すお祖父様をみて、よく人のことを見ているんだなと子供ながらに思った記憶がある。
まぁ、お父様とニケお兄様があれだけ強いのだ…。ヘルお兄様も鍛えていないわけではないし、お父様の息子だから、騎士団とかに入れば上から数えた方が早いんだろうけど、あの2人と毎日稽古していれば嫌にもなってくるだろう。
私とヘルお兄様が話をしていると、オスト様が少し頬を膨らませてこちらを見ている。
「オスト様。どうかなさいましたか?」
ヘルお兄様はくすくす笑いながら「先に部屋に戻っているからいつでもおいで」とだけ言ってダイニングルームから出ていった。
「ずるいじゃないか!」
ずるいって…。何がだろうか…
お菓子商品化についてはなしていただけなのだけれど。
「何がでしょうか…?」
首を傾げて聞いてみると、益々オスト様の頬が膨らんでいく。まるでリスが口にエサを含んでいるみたいだ。
王太子殿下に思っていいことでは無いと分かっていながら、可愛いなと思っているとバネッサが耳元で教えてくれた。
「ヘリーオスト王太子殿下は、ヘルメント様とお嬢様が2人しか知らない話をしてたのでヤキモチを焼いていたのだと思いますよ…。」
「2人で何話してるんだ…。」
私とバネッサの方を見ているオスト様をみて私は思わず笑ってしまった。
「すみません…笑ってしまって。つい、オスト様の事が愛おしいと思ってしまって…。」
「な、な、な…」
この家にいるとあまり表情が動く人がいないからかオスト様の百面相をみていると、とても可愛く思えてしまう。
つい、本心を伝えてしまうと、リスのような顔が今度は茹でダコのように真っ赤に染っていく。
「ヘルお兄様と二人で話してしまってすみません。ここを逃すとヘルお兄様と次お会いできるのはニケお兄様の結婚式になってしまいそうだったので…。」
ヘルお兄様がいまダルデンヌ公爵領に潜伏していることをオスト様も知っている。
「そうだったな…。それでこの後どんな話をするんだ?できれば俺も話を一緒に聞きたいんだが…。」
確かに、ヘルお兄様だけでなくオスト様の意見も聞けるのはありがたい。
「そうですね…。オスト様の意見も聞きたいのでこの後お時間がありましたら一緒にヘルお兄様のところに着いてきていただいてもよろしいでしょうか?」
オスト様はイスからガタリと立ち上がり、
「今回のために仕事は片付けてきたから時間はたんまりある。し、し、仕方がないな。3人集まれば文殊の知恵とも言うしな。俺も参加しよう。」
すごく嬉しそうな顔でこちらを見てくる姿に胸が高鳴った。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
遅めの朝食を食べ終わり、私はオスト様と2人でヘルお兄様の執務室に向かう。
一人一つ執務室がある訳では無いが、ヘルお兄様の場合は別だ。子供の時から事業計画や、領地運営、商会運営など様々なことを手懸けていることから、お祖父が気を利かせて執務室を作ってくれたのである。
「ヘルお兄様。お待たせ致しました。」
「あぁ、入ってくれ。」
ヘルお兄様の執務室はとても綺麗に片付いている。因みにお父様が使用している執務室はもので溢れかえっているのだから、これも性格なのかもしれない。
ヘルお兄様曰く、整理整頓できないと必要な書類を探すのに時間がかかって手間だからだそうだ。その時間があれば仕事に集中したいらしい。
ヘルお兄様はちらりと私の方を見ると、
「なんだ。オストも来たのか?」と言いながら書類に目を通している。
恐らくあの書類は私が考えた商品計画書だろう。
「なんだ。俺が来ては行けなかったのか…?」
「来ては行けないとは言っていないだろう。知っていると思うが、俺はメルティの兄だからな?ヤキモチ妬かれても困る。」
「お、お、お前にヤキモチなんか妬くわけないだろ!」
2人のやり取りをみていると何だかお父様とウラヌス国王陛下みたいだ。2人のことをじっと見ているとお兄様が話をしようと言って話を切りかえた。
話を1からするのが面倒だった私は計画書をオスト様に渡す。
すぐに理解してくれたオスト様は何言わずに目を通し始めた。
「メルティ。僕もずっとここで作るドライフルーツやナッツなどの木の実類をもっと他の領地の人に食べてもらいたいとおもっていたんだ。だから商品化はいいと思う。あとは味や価格。どう売り出していくかが鍵だろう。」
ヘルお兄様は書類を目に通しただけでもこの後の動きについて考えられているようだ。
「確かに他の領地では食糧難に陥ることもほとんどないからな。ドライフルーツなども味など考えていない。それに比べてこの領地では味までしっかり考えられているからな。俺も商品化には賛成だ。」
「メルティ。今日のティータイムでこのお菓子は出せるかい?」
「はい。恐らく出せるかと…」
「全員に食べてもらって感想を聞いてから次の手を考えよう。最期は味だからね」
確かにお兄様の言うとおり、皆が美味しいと感じるもの。万人受けするものでなければ商品化は難しい。
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