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秋のお茶会
秋のお茶会
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お母様とガイア王妃のお話を聞いてから数日が経ち、いよいよ秋のお茶会の日となった。
今日のお茶会の会場は秋の庭園で行われる。季節的にも肌寒くなって来ているということで、レース仕立てになっているロングスリーブのドレスにした。色は今回少しオレンジに近い黄色のドレスにした。レース部分を薄目の黄色しているため、そこまで派手な色という分けではないと思う。
首元から手先にかけてレースが使われている分露出も少ないのがお気に入りだ。お父様に似た髪色のおかげで色んな色が似合うのはとてもありがたい。
「今日は髪をひとつに編み込みましょう。」
いつもはアップにすることが多めだがリボンと一緒に編み込んでいくスタイルにするようだ。
所々キラキラとダイヤがあしらわれている。
「この色派手だったかしら…」
「派手では無いですよ。むしろそのくらいの色合いの方がメーティアお嬢様にはお似合いですよ。」
バネッサは髪をいじりながら、どんな化粧にしようかと楽しそうにブツブツ何かを言っている。
私はこの一週間お茶会の準備でバタバタしていた分、始まる前から疲労がすごい。これなら勉強したり、オスト王太子の執務の手伝いをしている方が全然いいと感じるのは、人と関わることを避けてきたことのつけなのかもしれない。
準備を終えると、早速王宮へ向かう。今日はお母様も一緒だ。
「お母様、今日も素敵ですね。」
「ありがとう。メルティも素敵よ。いつもは寒色系のドレスが多いからとても新鮮ね!似合っているわ。」
確かにお母様もそうだけど私も寒色系の色味を着ることが多い。なかなか新しい色を冒険するのは勇気がいるしからだ。所謂無難な色が青と言うだけである。
「お茶会に出るのなんて久しぶりね。」
四季のお茶会は公式ではあるが、予定などがあれば参加しなくても大丈夫だ。
絶対参加は国王陛下主催の夜会やパーティーのみである。
四季のお茶会は成人前のご令嬢も参加できるのでマナーを学ぶために来る人が多いかもしれない。もちろん王妃様とお近付きになりたい人や純粋にお茶会が好きな人もいる。
「そうですね…3年前くらいからパタリと行かなくなりましたから。3年振りですね。」
成人前に来る時はお母様同伴が絶対条件なので、お母さまが行かないと言えば行かない。親子揃って出不精なので行かないくらいがちょうどいい。
「今回のお茶会はとても大事なお茶会になるわ。メルティは気を引き締めなさいね。」
「はい。お母様。久しぶりのお茶会ですし楽しみましょう。」
私たちは馬車をおりて秋の庭園へむかった。
庭園に着くとたくさんの貴族女性たちが集まっている。まだ開始時間まで1時間以上はあるというのに早くから集まって談話しているようだ。
お母様は近くにあった椅子に座りゆっくり紅葉を眺めている。まだまだ緑の葉が多く、黄色や赤などの葉の方が少ない状態ではあるものの、秋桜の花や桔梗の花がきれいに咲いているためとても美しい。
お母様の方を見てみると手をひらひらと振り返すだけで一緒にガイア王妃の元へ向かう気はないようだ。もう少し人が落ち着いてからゆっくり行くんだろう。
「ガイア王妃。遅くなってしまい申し訳ございません。」
「全然遅くないわよ。まだ時間まで1時間はあるもの。時間まではゆっくりしていて頂戴。」
ガイア王妃はそれだけ言うと、ゆっくりお母様の元へ歩き出した。お母さまもそれに気づいたのか椅子から腰を上げて挨拶をしている。
その光景を見て、先日ガイア王妃から聞いた話を思い出した。私はゆっくりとあたりを見渡しながらどのような方たちが来ているのか思い出していく。
コルベール侯爵家は貴族位も上から数えたほうが早いくらいだが、自分から挨拶をしなければならない方も数名いる。ボードリエ公爵家や、カニャール公爵家、ダルデンヌ公爵家の三大公爵家だ。
どうやら今日は全公爵夫人とご息女が来ているようなので、挨拶に行くことになりそうだ。因みにカニャール公爵家のご息女、アテナ様はニケオスお兄様の婚約者で来年結婚の予定だ。ヘルメントお兄様は婚約者はフォートリエ辺境伯家のご息女デメーテル様だ。
「アテナお義姉様。お久しぶりでございます。」
「あら、今とても噂になっているメルティじゃない。メルティがお茶会に来ているなんて珍しいわね。」
アテナ様はニケオスお兄様と似ていて少し茶目っ気が強いけど、姉御肌という感じでなんでも相談がしやすい方だ。ニケオスお兄様と二人で手合わせをしているのをよく見かける。
ニケオスお兄様と戦って引けを取らないくらいだから相当な腕の持ち主なのだろう。
「そうなんですよね…でもきっとこれからは以前よりも頻繁に出ることになると思います。」
「やっぱり、ヘリーオスト王太子殿下と婚約したというのも関係しているのかしら。メルティはあまり人なれしていないんだから何かあったらいつでも私に言うのよ?」
アテナ様お義姉様が大きめの声で皆に伝わるように言ってくれたところをみると、周りは何も言えないのか先ほどまで聞こえていたこそこそ話がぴたりとなくなった。
お義姉様と話しているとあっという間にお茶会開始の時間となり、王妃様がお母様のところから戻ってくるのが見えたので私もアテナお義姉様に挨拶をして王妃様の所へ戻った。
今日のお茶会の会場は秋の庭園で行われる。季節的にも肌寒くなって来ているということで、レース仕立てになっているロングスリーブのドレスにした。色は今回少しオレンジに近い黄色のドレスにした。レース部分を薄目の黄色しているため、そこまで派手な色という分けではないと思う。
首元から手先にかけてレースが使われている分露出も少ないのがお気に入りだ。お父様に似た髪色のおかげで色んな色が似合うのはとてもありがたい。
「今日は髪をひとつに編み込みましょう。」
いつもはアップにすることが多めだがリボンと一緒に編み込んでいくスタイルにするようだ。
所々キラキラとダイヤがあしらわれている。
「この色派手だったかしら…」
「派手では無いですよ。むしろそのくらいの色合いの方がメーティアお嬢様にはお似合いですよ。」
バネッサは髪をいじりながら、どんな化粧にしようかと楽しそうにブツブツ何かを言っている。
私はこの一週間お茶会の準備でバタバタしていた分、始まる前から疲労がすごい。これなら勉強したり、オスト王太子の執務の手伝いをしている方が全然いいと感じるのは、人と関わることを避けてきたことのつけなのかもしれない。
準備を終えると、早速王宮へ向かう。今日はお母様も一緒だ。
「お母様、今日も素敵ですね。」
「ありがとう。メルティも素敵よ。いつもは寒色系のドレスが多いからとても新鮮ね!似合っているわ。」
確かにお母様もそうだけど私も寒色系の色味を着ることが多い。なかなか新しい色を冒険するのは勇気がいるしからだ。所謂無難な色が青と言うだけである。
「お茶会に出るのなんて久しぶりね。」
四季のお茶会は公式ではあるが、予定などがあれば参加しなくても大丈夫だ。
絶対参加は国王陛下主催の夜会やパーティーのみである。
四季のお茶会は成人前のご令嬢も参加できるのでマナーを学ぶために来る人が多いかもしれない。もちろん王妃様とお近付きになりたい人や純粋にお茶会が好きな人もいる。
「そうですね…3年前くらいからパタリと行かなくなりましたから。3年振りですね。」
成人前に来る時はお母様同伴が絶対条件なので、お母さまが行かないと言えば行かない。親子揃って出不精なので行かないくらいがちょうどいい。
「今回のお茶会はとても大事なお茶会になるわ。メルティは気を引き締めなさいね。」
「はい。お母様。久しぶりのお茶会ですし楽しみましょう。」
私たちは馬車をおりて秋の庭園へむかった。
庭園に着くとたくさんの貴族女性たちが集まっている。まだ開始時間まで1時間以上はあるというのに早くから集まって談話しているようだ。
お母様は近くにあった椅子に座りゆっくり紅葉を眺めている。まだまだ緑の葉が多く、黄色や赤などの葉の方が少ない状態ではあるものの、秋桜の花や桔梗の花がきれいに咲いているためとても美しい。
お母様の方を見てみると手をひらひらと振り返すだけで一緒にガイア王妃の元へ向かう気はないようだ。もう少し人が落ち着いてからゆっくり行くんだろう。
「ガイア王妃。遅くなってしまい申し訳ございません。」
「全然遅くないわよ。まだ時間まで1時間はあるもの。時間まではゆっくりしていて頂戴。」
ガイア王妃はそれだけ言うと、ゆっくりお母様の元へ歩き出した。お母さまもそれに気づいたのか椅子から腰を上げて挨拶をしている。
その光景を見て、先日ガイア王妃から聞いた話を思い出した。私はゆっくりとあたりを見渡しながらどのような方たちが来ているのか思い出していく。
コルベール侯爵家は貴族位も上から数えたほうが早いくらいだが、自分から挨拶をしなければならない方も数名いる。ボードリエ公爵家や、カニャール公爵家、ダルデンヌ公爵家の三大公爵家だ。
どうやら今日は全公爵夫人とご息女が来ているようなので、挨拶に行くことになりそうだ。因みにカニャール公爵家のご息女、アテナ様はニケオスお兄様の婚約者で来年結婚の予定だ。ヘルメントお兄様は婚約者はフォートリエ辺境伯家のご息女デメーテル様だ。
「アテナお義姉様。お久しぶりでございます。」
「あら、今とても噂になっているメルティじゃない。メルティがお茶会に来ているなんて珍しいわね。」
アテナ様はニケオスお兄様と似ていて少し茶目っ気が強いけど、姉御肌という感じでなんでも相談がしやすい方だ。ニケオスお兄様と二人で手合わせをしているのをよく見かける。
ニケオスお兄様と戦って引けを取らないくらいだから相当な腕の持ち主なのだろう。
「そうなんですよね…でもきっとこれからは以前よりも頻繁に出ることになると思います。」
「やっぱり、ヘリーオスト王太子殿下と婚約したというのも関係しているのかしら。メルティはあまり人なれしていないんだから何かあったらいつでも私に言うのよ?」
アテナ様お義姉様が大きめの声で皆に伝わるように言ってくれたところをみると、周りは何も言えないのか先ほどまで聞こえていたこそこそ話がぴたりとなくなった。
お義姉様と話しているとあっという間にお茶会開始の時間となり、王妃様がお母様のところから戻ってくるのが見えたので私もアテナお義姉様に挨拶をして王妃様の所へ戻った。
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