4 / 51
国王主催のパーティーで
話し合い。
しおりを挟む
「メーティア。」
「お父様。近くでお父様がみていたのは気づいていましたよ。お母様は…」
「人が多いところに来るのが久しぶりだったからね。疲れたようで今は壁の花になっているよ。」
お母様を見てみるとこちらに気付いたのか手をひらひらと振っている。
「それで、今回のことだけど。メーティアとしてはどうしたいんだい?」
きっとお父様はアーテリアが言っていたことの意見を聞きに来たのだろう。私的にはこのままアポロ様と結婚してもいい未来は見えず寧ろお先真っ暗…くらいにしか思っていない。
「お父様も気づいているでしょうが、アポロ様と婚約したのは仕方なくですし…今のままダルデンヌ家と婚約していても家にとっては損失にしかなりません。でしたらアーテリア様にお任せしてもいいのでは…と思うのですが。」
ダルデンヌ公爵家は公爵家でありながら財産はほぼなく家計は火の車状態だ。
それでも国王が目をかけていたのは、ダルデンヌ公爵に嫁いだ奥様がウラヌス国王の妹であり、少しでもいいから手助けをしてほしいと乞われたからである。
しかし、手助けといってもできるのは援助をする部分だけ。あとは本人たちが改善する気があるのかないのか…というところだったのが。
ダルデンヌ公爵はじめ、奥様、アポロ様は今までの生活を変える気は全くなく、それどころか援助したことで今まで以上に金遣いが荒くなってしまっていた。
「そうだな…この5年。援助はしてきたが…特に何か変わることはなかった。私もそろそろ潮時だと思っていたくらいだ。そろそろウラヌス国王に呼ばれそうだから私たちもそちらに向かおう。」
お父様が歩きはじめると、不思議なことにお母さまやお兄様たちがそれに気づいてこちらに近付いてくる。先ほどまでは皆見て見ぬふりだったのに…こういうところも親子そっくりなんだなーと思いながらお兄様たちを見ていた。
「いやぁ、メーティア大変だったな。あの二人はもはや病気といっても過言ではないだろう。あいつらに目を付けられるお前も大変だなぁ。」
笑いながら私の肩に腕を乗せてくるのはニケオスお兄様だ。顔はお父様とそっくりで髪の色はお母さまのシルバーブロンドの髪を受け継いでおり、瞳の色はお父様の燃えるようなルビーの色を受け継いでいる。
お父様と同じように剣や弓がとても得意でこの国の中では1,2を争う強さだと思う。
話さなければ美男。話すと残念美男になるのがニケオスお兄様だ。
「それは言いすぎだよ。兄上。メーティアだって絡まれたくて絡まれているわけじゃないんだ。」
ニケオスお兄様をいつも窘めてくれるのはヘルメントお兄様だ。ヘルメントお兄様はヘリーオスト王太子殿下と同じ年で、ニケオスお兄様より2歳年下である。
お母さまに似た顔立ちで少し中性的な顔をしている。髪の色はお父様と同じ透き通るような金髪に、アレキサンドライトの宝石のような瞳で赤の中に星がキラキラ光っているようでとてもきれいだ。
「そうですよ。ニケお兄様も少し静かにしていてくださいませ。美男が台無しですよ。」
「メルティも言うようになったじゃないか。まぁいい…今後どうなるかはこの後決まるんだろう。最後まで見届けてやる。」
言うようになったって…結構前から言っていますけどね…。でもいつも明るいニケお兄様には助けられることもよくあるし、ニケお兄様がいなければ家の中は閑散としてしまうだろう。
「ありがとうございます。ニケお兄様。ヘルお兄様も来てくださって心強いです。」
「当り前だろう。メルティは大事な妹だからね。取りあえず話している間に国王たちが待っているところへ着いたみたいだから行こうか…」
頭を軽く撫でてくれるヘルお兄様の手はなんだかいつもほっとするから嫌いじゃない。ニケお兄様だったら頭をグワングワンとふられるから目が回るけれど…。
お父様が、ノックをすると中から国王の声が聞こえる。
「ウラヌス。私だ。」
「アレウスか…入ってくれ。」
お父様が扉を開けるとそこにはウラヌス国王陛下、ヘリーオスト王太子殿下、そしてガイア王妃が座って話し合いをしていたようだった。
「呼ぶ前に気付くとは…さすがだな。」
「お前とは小さいことからの付き合いだからな。そろそろ呼ばれるかなと思っていただけだ。それで早速本題に入るが…お前がいいというならアーテリア嬢にアポロを譲ってもいいと思っている。」
私はお父様の話にコクリと頷くと、ウラヌス国王は長い溜息をついた。
「お前がそういうということは…ダルデンヌ公爵家の復興は難しいということだな…」
「残念ながらな。それに、ジュアン侯爵家ももう限界だろう…?」
ダルデンヌ公爵家も、ジュアン侯爵家も古い貴族だからと、お父様たちが色々根回しをしていたようだがうまくはいかなかったようだ。
「そうだな…少しは王妃教育をきちんと受けてくれればと思ってはいたのだが、アーテリアには荷が重かったらしい。この辺が潮時だ。」
「先ほど、ウラヌス達が会場を出た後、アポロとアルテーヌ嬢は仲良さそうに腕を組んで歩いていたよ。似た者同士だ。きっとうまくいくだろう。」
普段笑わないお父様がにやりと笑う姿がとても印象的だった。
「お父様。近くでお父様がみていたのは気づいていましたよ。お母様は…」
「人が多いところに来るのが久しぶりだったからね。疲れたようで今は壁の花になっているよ。」
お母様を見てみるとこちらに気付いたのか手をひらひらと振っている。
「それで、今回のことだけど。メーティアとしてはどうしたいんだい?」
きっとお父様はアーテリアが言っていたことの意見を聞きに来たのだろう。私的にはこのままアポロ様と結婚してもいい未来は見えず寧ろお先真っ暗…くらいにしか思っていない。
「お父様も気づいているでしょうが、アポロ様と婚約したのは仕方なくですし…今のままダルデンヌ家と婚約していても家にとっては損失にしかなりません。でしたらアーテリア様にお任せしてもいいのでは…と思うのですが。」
ダルデンヌ公爵家は公爵家でありながら財産はほぼなく家計は火の車状態だ。
それでも国王が目をかけていたのは、ダルデンヌ公爵に嫁いだ奥様がウラヌス国王の妹であり、少しでもいいから手助けをしてほしいと乞われたからである。
しかし、手助けといってもできるのは援助をする部分だけ。あとは本人たちが改善する気があるのかないのか…というところだったのが。
ダルデンヌ公爵はじめ、奥様、アポロ様は今までの生活を変える気は全くなく、それどころか援助したことで今まで以上に金遣いが荒くなってしまっていた。
「そうだな…この5年。援助はしてきたが…特に何か変わることはなかった。私もそろそろ潮時だと思っていたくらいだ。そろそろウラヌス国王に呼ばれそうだから私たちもそちらに向かおう。」
お父様が歩きはじめると、不思議なことにお母さまやお兄様たちがそれに気づいてこちらに近付いてくる。先ほどまでは皆見て見ぬふりだったのに…こういうところも親子そっくりなんだなーと思いながらお兄様たちを見ていた。
「いやぁ、メーティア大変だったな。あの二人はもはや病気といっても過言ではないだろう。あいつらに目を付けられるお前も大変だなぁ。」
笑いながら私の肩に腕を乗せてくるのはニケオスお兄様だ。顔はお父様とそっくりで髪の色はお母さまのシルバーブロンドの髪を受け継いでおり、瞳の色はお父様の燃えるようなルビーの色を受け継いでいる。
お父様と同じように剣や弓がとても得意でこの国の中では1,2を争う強さだと思う。
話さなければ美男。話すと残念美男になるのがニケオスお兄様だ。
「それは言いすぎだよ。兄上。メーティアだって絡まれたくて絡まれているわけじゃないんだ。」
ニケオスお兄様をいつも窘めてくれるのはヘルメントお兄様だ。ヘルメントお兄様はヘリーオスト王太子殿下と同じ年で、ニケオスお兄様より2歳年下である。
お母さまに似た顔立ちで少し中性的な顔をしている。髪の色はお父様と同じ透き通るような金髪に、アレキサンドライトの宝石のような瞳で赤の中に星がキラキラ光っているようでとてもきれいだ。
「そうですよ。ニケお兄様も少し静かにしていてくださいませ。美男が台無しですよ。」
「メルティも言うようになったじゃないか。まぁいい…今後どうなるかはこの後決まるんだろう。最後まで見届けてやる。」
言うようになったって…結構前から言っていますけどね…。でもいつも明るいニケお兄様には助けられることもよくあるし、ニケお兄様がいなければ家の中は閑散としてしまうだろう。
「ありがとうございます。ニケお兄様。ヘルお兄様も来てくださって心強いです。」
「当り前だろう。メルティは大事な妹だからね。取りあえず話している間に国王たちが待っているところへ着いたみたいだから行こうか…」
頭を軽く撫でてくれるヘルお兄様の手はなんだかいつもほっとするから嫌いじゃない。ニケお兄様だったら頭をグワングワンとふられるから目が回るけれど…。
お父様が、ノックをすると中から国王の声が聞こえる。
「ウラヌス。私だ。」
「アレウスか…入ってくれ。」
お父様が扉を開けるとそこにはウラヌス国王陛下、ヘリーオスト王太子殿下、そしてガイア王妃が座って話し合いをしていたようだった。
「呼ぶ前に気付くとは…さすがだな。」
「お前とは小さいことからの付き合いだからな。そろそろ呼ばれるかなと思っていただけだ。それで早速本題に入るが…お前がいいというならアーテリア嬢にアポロを譲ってもいいと思っている。」
私はお父様の話にコクリと頷くと、ウラヌス国王は長い溜息をついた。
「お前がそういうということは…ダルデンヌ公爵家の復興は難しいということだな…」
「残念ながらな。それに、ジュアン侯爵家ももう限界だろう…?」
ダルデンヌ公爵家も、ジュアン侯爵家も古い貴族だからと、お父様たちが色々根回しをしていたようだがうまくはいかなかったようだ。
「そうだな…少しは王妃教育をきちんと受けてくれればと思ってはいたのだが、アーテリアには荷が重かったらしい。この辺が潮時だ。」
「先ほど、ウラヌス達が会場を出た後、アポロとアルテーヌ嬢は仲良さそうに腕を組んで歩いていたよ。似た者同士だ。きっとうまくいくだろう。」
普段笑わないお父様がにやりと笑う姿がとても印象的だった。
1,603
お気に入りに追加
3,003
あなたにおすすめの小説
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
婚姻契約には愛情は含まれていません。 旦那様には愛人がいるのですから十分でしょう?
すもも
恋愛
伯爵令嬢エーファの最も嫌いなものは善人……そう思っていた。
人を救う事に生き甲斐を感じていた両親が、陥った罠によって借金まみれとなった我が家。
これでは領民が冬を越せない!!
善良で善人で、人に尽くすのが好きな両親は何の迷いもなくこう言った。
『エーファ、君の結婚が決まったんだよ!! 君が嫁ぐなら、お金をくれるそうだ!! 領民のために尽くすのは領主として当然の事。 多くの命が救えるなんて最高の幸福だろう。 それに公爵家に嫁げばお前も幸福になるに違いない。 これは全員が幸福になれる機会なんだ、当然嫁いでくれるよな?』
と……。
そして、夫となる男の屋敷にいたのは……三人の愛人だった。
【完結】婚約破棄した王子と男爵令嬢のその後……は幸せ?……な訳ない!
たろ
恋愛
「エリザベス、君との婚約を破棄する」
「どうしてそんな事を言うのですか?わたしが何をしたと言うのでしょう」
「君は僕の愛するイライザに対して嫌がらせをしただろう、そんな意地の悪い君のことは愛せないし結婚など出来ない」
「……愛せない……わかりました。殿下……の言葉を……受け入れます」
なんで君がそんな悲しそうな顔をするんだ?
この話は婚約破棄をして、父親である陛下に嘘で固めて公爵令嬢のエリザベスを貶めたと怒られて
「そんなにその男爵令嬢が好きなら王族をやめて男爵に婿に行け」と言われ、廃嫡される王子のその後のお話です。
頭脳明晰、眉目秀麗、みんなが振り向くかっこいい殿下……なのにエリザベスの前では残念な男。
★軽い感じのお話です
そして、殿下がひたすら残念です
広ーい気持ちで読んでいただけたらと思います
訳あり侯爵様に嫁いで白い結婚をした虐げられ姫が逃亡を目指した、その結果
柴野
恋愛
国王の側妃の娘として生まれた故に虐げられ続けていた王女アグネス・エル・シェブーリエ。
彼女は父に命じられ、半ば厄介払いのような形で訳あり侯爵様に嫁がされることになる。
しかしそこでも不要とされているようで、「きみを愛することはない」と言われてしまったアグネスは、ニヤリと口角を吊り上げた。
「どうせいてもいなくてもいいような存在なんですもの、さっさと逃げてしまいましょう!」
逃亡して自由の身になる――それが彼女の長年の夢だったのだ。
あらゆる手段を使って脱走を実行しようとするアグネス。だがなぜか毎度毎度侯爵様にめざとく見つかってしまい、その度失敗してしまう。
しかも日に日に彼の態度は温かみを帯びたものになっていった。
気づけば一日中彼と同じ部屋で過ごすという軟禁状態になり、溺愛という名の雁字搦めにされていて……?
虐げられ姫と女性不信な侯爵によるラブストーリー。
※小説家になろうに重複投稿しています。
王太子妃候補、のち……
ざっく
恋愛
王太子妃候補として三年間学んできたが、決定されるその日に、王太子本人からそのつもりはないと拒否されてしまう。王太子妃になれなければ、嫁き遅れとなってしまうシーラは言ったーーー。
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
「股ゆる令嬢」の幸せな白い結婚
ウサギテイマーTK
恋愛
公爵令嬢のフェミニム・インテラは、保持する特異能力のために、第一王子のアージノスと婚約していた。だが王子はフェミニムの行動を誤解し、別の少女と付き合うようになり、最終的にフェミニムとの婚約を破棄する。そしてフェミニムを、子どもを作ることが出来ない男性の元へと嫁がせるのである。それが王子とその周囲の者たちの、破滅への序章となることも知らずに。
※タイトルは下品ですが、R15範囲だと思います。完結保証。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる