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処刑までのカウントダウン
真夜中の約束。
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パキラと別れてから家に帰ると、フランチェスカがものすごい勢いで近づいてきた。
「エディ!遅かったじゃない。もう外は真っ暗よ…心配するからもう少し早く帰ってきてよね。」
確かにパキラと話し込んで居たこともあって何時もより帰りが遅くなってしまっていた。
「気をつけるにゃ。」
心配かけたことを申し訳ないと思ったこともあり、ペコりと頭を下げると、
「今度から気をつけてくれればいいのよ。」
とだけ言って私を抱き抱えてスタスタと部屋に戻っていくフランチェスカ。
いつもならここでお説教があるのだが、今日はすごく機嫌がいいみたいだ。
「何かあったのにゃ?」
「エディ聞いてくれる?私友達が出来たのよ!」
友達?
確かに友達を作るようには言ったが、こんなに上手くいくものなのだろうか?
正直今はパキラと話したことで猫の頭ではいっぱいいっぱいで沸騰寸前だった。
「友達ってダリアにゃ?」
「えぇ。そうなの。昼食をいつも通り一人で食べてたら、その前をたまたまダリアが通ってね。それでお互い独り言を言ってたらたまたま話が噛み合っちゃって……」
なんだか一人で昼食もお互い独り言を言っているというのも聞いている側からすると寂しい感じがするけど、フランチェスカは楽しそうに話しているからあえて水を刺さないでおいた方がいいだろう。
「良かったにゃ。それで何か話しは聞けたのかにゃ?」
「あまり時間もなかったし…ただお互い婚約破棄って大変ねって話と…あとはダリアのお友達の話ね。フィオーレ様という方がいるんだけど…」
フランチェスカの話曰く、フィオーレとダリアは最後仲違いしたままだったらしい。
ダリアは正直頭にずっとモヤがかかっている感じだったそうだ。恐らく、カルミアの魅了魔法だろう…。
「ありがとうにゃ。とりあえずまた今度話を聞くにゃ。今日は疲れたから休むにゃ。」
フランチェスカはまだまだ話したりなそうだったが、私は頭の整理が追いついていないため、一旦この場の話は切り上げて、クッションの上に丸くなって眠る体勢を取った。
色々なことを考えている間に、1日1日が刻々と過ぎ…そして、あっという間にパキラと約束した日になった。
元々、フランチェスカの処刑を回避しようというところから始まったものが国が絡んでどんどん大きくなっている気がする。
「ここまで来たら乗りかかった船にゃ。沈没しにゃいように頑張って漕ぐしかないにゃ。」
「何が乗りかかった船なんだい?フランチェスカ?」
一人でガッツポーズを取って居ると後ろからお兄様が声をかけてくる。
どうやら近くにカトレアは居ないようで深くため息をついた。
「あぁ、カトレアか。卒業パーティーの2ヶ月前くらいから昼間はどこか行くんだ。本人曰く孤児院のボランティアらしいけどね。」
お兄様の顔を見るに、ボランティアというのは嘘なのだろう。
「で、エディはどうしたんだい?」
カトレアの話で上手く逸れるかと思っていたけど、どうやらそんなに甘くなかったみたいだ…。
「お兄様。今日いつもの時間に1人お客様を招待したにゃ…」
お兄様の顔をチラチラ見ながら話していると、いつもあまり目が開かないお兄様の目がギラりと光った。
「へぇ。エディひとつ聞こう。そのお客人は信用に足る人なのかい。」
確かに、私達の魔法の秘密は誰にも言っていないし、他の人にバレたら危ういものであるのも分かっている。でも今まで何度も助けてくれた、パキラを私は信じたいと思ったんだ。
「お兄様も会えばわかるにゃ。大丈夫だにゃ。」
お兄様の目を伝える。お兄様は私のプリチーな瞳に負けたのか、溜息をついて「わかったよ…」と言った。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
パキラ視点。
「エリオント。今日の夜出かけるから。」
「お前が夜遊びなんて珍しいじゃないか。どこ行くんだ?」
エディと話してから数日が過ぎ、とうとう約束の日になった。
エディのことはここ1年くらいの付き合いだし、話していても嘘が付けず素直な性格なのは分かる。
だが、そうは分かっていても、夜中に来いと言われると疑ってしまうものだ。まだ昼間ならいいけど。
「夜遊びじゃない。仕事だ。帰ってきたらその内容については話す。影が他にいるし大丈夫だろうが…気をつけろよ?」
「仕事か…まぁいい。パキラも気をつけろよ。」
エリオントと少し話したあと、俺は部屋を出た。
街頭は光が着いているものの、家の明かり消え始める時間で、いつも以上に閑散としていた。
外に出て少しすると猫のパキラに変身する。
「ふっ。黒猫だけに、黒に溶け込んで、これじゃあ、皆気づかなそうだな…」
黒が似合う自分に思わず笑ってしまった。
フランチェスカの家はエリオントに調べろと言われてから調べて知っていた俺は迷うことなく家に着くことが出来た。
夜中にフランチェスカへ行ったと知られたらエリオントに怒られそうだなと思いながら進んでいくと家から少し離れたところに小屋があり、灯りが漏れ出ていた。
「ここか…」
俺はジャンプして扉に手をかけるとゆっくり扉が開いていく。
「待ってたにゃ…パキラ。」
そこにはエディの他に3人の男が立っていた。
「エディ!遅かったじゃない。もう外は真っ暗よ…心配するからもう少し早く帰ってきてよね。」
確かにパキラと話し込んで居たこともあって何時もより帰りが遅くなってしまっていた。
「気をつけるにゃ。」
心配かけたことを申し訳ないと思ったこともあり、ペコりと頭を下げると、
「今度から気をつけてくれればいいのよ。」
とだけ言って私を抱き抱えてスタスタと部屋に戻っていくフランチェスカ。
いつもならここでお説教があるのだが、今日はすごく機嫌がいいみたいだ。
「何かあったのにゃ?」
「エディ聞いてくれる?私友達が出来たのよ!」
友達?
確かに友達を作るようには言ったが、こんなに上手くいくものなのだろうか?
正直今はパキラと話したことで猫の頭ではいっぱいいっぱいで沸騰寸前だった。
「友達ってダリアにゃ?」
「えぇ。そうなの。昼食をいつも通り一人で食べてたら、その前をたまたまダリアが通ってね。それでお互い独り言を言ってたらたまたま話が噛み合っちゃって……」
なんだか一人で昼食もお互い独り言を言っているというのも聞いている側からすると寂しい感じがするけど、フランチェスカは楽しそうに話しているからあえて水を刺さないでおいた方がいいだろう。
「良かったにゃ。それで何か話しは聞けたのかにゃ?」
「あまり時間もなかったし…ただお互い婚約破棄って大変ねって話と…あとはダリアのお友達の話ね。フィオーレ様という方がいるんだけど…」
フランチェスカの話曰く、フィオーレとダリアは最後仲違いしたままだったらしい。
ダリアは正直頭にずっとモヤがかかっている感じだったそうだ。恐らく、カルミアの魅了魔法だろう…。
「ありがとうにゃ。とりあえずまた今度話を聞くにゃ。今日は疲れたから休むにゃ。」
フランチェスカはまだまだ話したりなそうだったが、私は頭の整理が追いついていないため、一旦この場の話は切り上げて、クッションの上に丸くなって眠る体勢を取った。
色々なことを考えている間に、1日1日が刻々と過ぎ…そして、あっという間にパキラと約束した日になった。
元々、フランチェスカの処刑を回避しようというところから始まったものが国が絡んでどんどん大きくなっている気がする。
「ここまで来たら乗りかかった船にゃ。沈没しにゃいように頑張って漕ぐしかないにゃ。」
「何が乗りかかった船なんだい?フランチェスカ?」
一人でガッツポーズを取って居ると後ろからお兄様が声をかけてくる。
どうやら近くにカトレアは居ないようで深くため息をついた。
「あぁ、カトレアか。卒業パーティーの2ヶ月前くらいから昼間はどこか行くんだ。本人曰く孤児院のボランティアらしいけどね。」
お兄様の顔を見るに、ボランティアというのは嘘なのだろう。
「で、エディはどうしたんだい?」
カトレアの話で上手く逸れるかと思っていたけど、どうやらそんなに甘くなかったみたいだ…。
「お兄様。今日いつもの時間に1人お客様を招待したにゃ…」
お兄様の顔をチラチラ見ながら話していると、いつもあまり目が開かないお兄様の目がギラりと光った。
「へぇ。エディひとつ聞こう。そのお客人は信用に足る人なのかい。」
確かに、私達の魔法の秘密は誰にも言っていないし、他の人にバレたら危ういものであるのも分かっている。でも今まで何度も助けてくれた、パキラを私は信じたいと思ったんだ。
「お兄様も会えばわかるにゃ。大丈夫だにゃ。」
お兄様の目を伝える。お兄様は私のプリチーな瞳に負けたのか、溜息をついて「わかったよ…」と言った。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
パキラ視点。
「エリオント。今日の夜出かけるから。」
「お前が夜遊びなんて珍しいじゃないか。どこ行くんだ?」
エディと話してから数日が過ぎ、とうとう約束の日になった。
エディのことはここ1年くらいの付き合いだし、話していても嘘が付けず素直な性格なのは分かる。
だが、そうは分かっていても、夜中に来いと言われると疑ってしまうものだ。まだ昼間ならいいけど。
「夜遊びじゃない。仕事だ。帰ってきたらその内容については話す。影が他にいるし大丈夫だろうが…気をつけろよ?」
「仕事か…まぁいい。パキラも気をつけろよ。」
エリオントと少し話したあと、俺は部屋を出た。
街頭は光が着いているものの、家の明かり消え始める時間で、いつも以上に閑散としていた。
外に出て少しすると猫のパキラに変身する。
「ふっ。黒猫だけに、黒に溶け込んで、これじゃあ、皆気づかなそうだな…」
黒が似合う自分に思わず笑ってしまった。
フランチェスカの家はエリオントに調べろと言われてから調べて知っていた俺は迷うことなく家に着くことが出来た。
夜中にフランチェスカへ行ったと知られたらエリオントに怒られそうだなと思いながら進んでいくと家から少し離れたところに小屋があり、灯りが漏れ出ていた。
「ここか…」
俺はジャンプして扉に手をかけるとゆっくり扉が開いていく。
「待ってたにゃ…パキラ。」
そこにはエディの他に3人の男が立っていた。
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