上 下
26 / 29
今。

領地に帰る前にお兄様と話しました。

しおりを挟む
ティオ様と庭園で話してから1週間後、私は領地に帰ることにした。
これ以上こちらにいても何もすることがないからだ。

婚約破棄の後ニコラウス様がどうなったのか、気にはなっているものの、お兄様になかなか聞くことができないでいた。

「お、お兄様。一つだけ教えていただきたいのですが…」

明日帰ると言うこともあり今夜は2人でゆっくりと夕飯を楽しんでいる。
「なんだ?」


「あのあと、ニコラウス様はどうなったんですか?」

「あぁ。ニコラウスか。アイツに様なんかつかなくていいぞ。ニコラウスは今…」
そう言ってお兄様が話し始めた内容は思っていたよりもそこまで酷く無かった。
ニコラウスは今、あるところで働いているらしい。
始めはいうことを聞かなかったらしいが、お話し合いをしたあとからは逃げることなくいうことを聞いているそうだ。
あるところで働いているという詳しい内容については聞いちゃいけない気がしたので聞いていない…


「でも良かったです。慰謝料ももらえそうですし、これで万事解決ですね。」


「いや…慰謝料の額が額だからな。果たして払い切れるかどうか…その前にこの世からさようならなんてことにでもなるんじゃないか。」

そう言って笑うお兄様は悪魔の使いにしか見えない…

「まっ、終わったことは気にするな。リアはこれからのことを考えなさい。ティオとはその後どうなんだ?」


お兄様のいう通り終わったことを考えているのは損でしかない。
これからのことを考えることにしよう。

「ティオ様とですか?今までと変わらず商会の話をしたり事業の話をしたりはしますが…」

お兄様の目が少し座っていく。
なぜ怒っているのか…少し考えてから私は思いついたことを伝えた。

「あぁ!そういうことですね!お兄様ったらヤキモチ妬いているんですか?この間、庭園でティオ様にお会いした時もすごい顔で見てましたもんね!」

確かあの時も今みたいにすごい目が座っていたのを覚えている…きっと好きな人を取られてやきもちを焼いていたのね。

「ちがう!!どうしてお前は違う方向に考えているんだ!!!」

お兄様が急に大きな声を出したので、私は思わず「え、違うんですか?」と返してしまった。


⟡.·*.··············································⟡.·*.

エドベルト視点。

リアに最近ティオとうまく言っているのか聞いてみると、思っていたものと全く違う返答が返ってきた。


なぜ、おれがリアにヤキモチを妬かなければならないのか、リアの言っている意味が全くわからない。

まぁ、たしかに同性しか愛せないという人もいるだろうが…
俺はそういうのではない。ただリアが少しでも幸せになってくれればと思っているだけなんだ。

父上と母上が事故で亡くなってから寂しい思いをさせてきたし、リアの事だけを思って添い遂げられる人ができればと思っていた。

5年くらい前からだろうか。汽車や電話の事業のを手がけるようになってから、ティオはリアのことを女性として見るようになっていたと思う。
イキイキと働いているリアを見て、一緒にいたいと思うようになったのだろう。
俺だってリアの姿を見ていると元気がもらえるんだ。
まぁ、可愛い妹だからかもしれないが…。


「リアはティオのことをどう思っているんだ?」
回りくどく聞いても先に進まなさそうなので直接聞いてみる。

「そうですね。お兄様の好きな人でしょうか…。あ、私のお兄様になってくれればいいなと思っていますよ!そしたら楽しそうですし、幸せな余生が送れそうですもの。」

お兄様になってくれれば…

そこは、そこは…違うだろう!!

しかも余生が送れそうということはもう結婚しないつもりなのか…?

「リア、お前はもう結婚しないつもりなのか?」

「そうですね…今のところは私のことを好きになってくれる人がいれば考えますが…。私から誰かを好きになることはないかと思います。」

はっきり言うだけ潔いな。

リアの話を聞いて、近くにお前のことを好きな奴がいるじゃないか…
出かかったが、言ってしまうとまためんどくさいことになりそうだったので、ここは黙っておくことにした。




そして心の中でティオに詫びる。

「ティオ…どこかでリアの育て方を間違えたらしい。すまん…頑張ってくれ…」と…


リアはそんな俺の気持ちを知らずに美味しそうにケーキを頬張っていた。
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

【完結】好きでもない私とは婚約解消してください

里音
恋愛
騎士団にいる彼はとても一途で誠実な人物だ。初恋で恋人だった幼なじみが家のために他家へ嫁いで行ってもまだ彼女を思い新たな恋人を作ることをしないと有名だ。私も憧れていた1人だった。 そんな彼との婚約が成立した。それは彼の行動で私が傷を負ったからだ。傷は残らないのに責任感からの婚約ではあるが、彼はプロポーズをしてくれた。その瞬間憧れが好きになっていた。 婚約して6ヶ月、接点のほとんどない2人だが少しずつ距離も縮まり幸せな日々を送っていた。と思っていたのに、彼の元恋人が離婚をして帰ってくる話を聞いて彼が私との婚約を「最悪だ」と後悔しているのを聞いてしまった。

政略結婚相手に本命がいるようなので婚約解消しようと思います。

ゆいまる
恋愛
公爵令嬢ミュランは王太子ハスライトの政略結婚の相手として選ばれた。 義務的なお茶会でしか会うこともない。 そして最近王太子に幼少期から好いている令嬢がいるという話を偶然聞いた。 それならその令嬢と婚約したらいいと思い、身を引くため婚約解消を申し出る。 二人の間に愛はないはずだったのに…。 本編は完結してますが、ハスライトSideのお話も完結まで予約投稿してます。 良ければそちらもご覧ください。 6/28 HOTランキング4位ありがとうございます

【完】塩対応の彼と距離を取ったら気づかなくていい事に気づいてしまいました

咲貴
恋愛
とくに好きでもない婚約者に塩対応され、いい加減うんざりしているので、距離を取ることにしました。

【完結】円満婚約解消

里音
恋愛
「気になる人ができた。このまま婚約を続けるのは君にも彼女にも失礼だ。だから婚約を解消したい。 まず、君に話をしてから両家の親達に話そうと思う」 「はい。きちんとお話ししてくださってありがとうございます。 両家へは貴方からお話しくださいませ。私は決定に従います」 第二王子のロベルトとその婚約者ソフィーリアの婚約解消と解消後の話。 ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 主人公の女性目線はほぼなく周囲の話だけです。番外編も本当に必要だったのか今でも悩んでます。 コメントなど返事は出来ないかもしれませんが、全て読ませていただきます。

【完結】義妹と婚約者どちらを取るのですか?

里音
恋愛
私はどこにでもいる中堅の伯爵令嬢アリシア・モンマルタン。どこにでもあるような隣の領地の同じく伯爵家、といってもうちよりも少し格が上のトリスタン・ドクトールと幼い頃に婚約していた。 ドクトール伯爵は2年前に奥様を亡くし、連れ子と共に後妻がいる。 その連れ子はトリスタンの1つ下になるアマンダ。 トリスタンはなかなかの美貌でアマンダはトリスタンに執着している。そしてそれを隠そうともしない。 学園に入り1年は何も問題がなかったが、今年アマンダが学園に入学してきて事態は一変した。

【完結】『お姉様に似合うから譲るわ。』そう言う妹は、私に婚約者まで譲ってくれました。

まりぃべる
恋愛
妹は、私にいつもいろいろな物を譲ってくれる。 私に絶対似合うから、と言って。 …て、え?婚約者まで!? いいのかしら。このままいくと私があの美丈夫と言われている方と結婚となってしまいますよ。 私がその方と結婚するとしたら、妹は無事に誰かと結婚出来るのかしら? ☆★ ごくごく普通の、お話です☆ まりぃべるの世界観ですので、理解して読んで頂けると幸いです。 ☆★☆★ 全21話です。 出来上がっておりますので、随時更新していきます。

余命わずかな私は家族にとって邪魔なので死を選びますが、どうか気にしないでくださいね?

日々埋没。
恋愛
 昔から病弱だった侯爵令嬢のカミラは、そのせいで婚約者からは婚約破棄をされ、世継ぎどころか貴族の長女として何の義務も果たせない自分は役立たずだと思い悩んでいた。  しかし寝たきり生活を送るカミラが出来ることといえば、家の恥である彼女を疎んでいるであろう家族のために自らの死を願うことだった。  そんなある日願いが通じたのか、突然の熱病で静かに息を引き取ったカミラ。  彼女の意識が途切れる最後の瞬間、これで残された家族は皆喜んでくれるだろう……と思いきや、ある男性のおかげでカミラに新たな人生が始まり――!?

(完)婚約解消からの愛は永遠に

青空一夏
恋愛
エリザベスは、火事で頬に火傷をおった。その為に、王太子から婚約解消をされる。 両親からも疎まれ妹からも蔑まれたエリザベスだが・・・・・・ 5話プラスおまけで完結予定。

処理中です...