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今。
婚約破棄いたしましょう!
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ホールに行くとたくさんの人が集まっていた。
そして中央に行くとお兄様と、なぜか国王様がいる。
「テ、ティオ様…なぜかお兄様と国王陛下が一緒にいるようなんですが…」
ティオ様も少しびっくりしているようだ。
「私のもなぜ兄上が来ているかわからないんだが、取り敢えず二人の近くに行こうか。」
歩き始めると2人を取り囲むようにしていた人たちがスッと道を開ける。
すると2人の前のは1人の男性が取り押さえられる形で座っていた。
国王様がいる手前無闇矢鱈にお兄様に話しかけることもできないため、国王様への挨拶をしようとしたところ、国王様は片手を挙げて首を横に振った。
恐らく気にしなくていいと言うことなのだろう。私は軽く一礼しお兄様に向き直る。
「お兄様、こちらの方は…?」
「よく見てみなさい。どこかで見たことがあるんじゃないか?」
取り押さえられている人をよく見ると、確かにどこかでみたことがある顔だ。
「あぁ、愛しのリア。やっと君に会えて嬉しいよ。」
何か言っているが、私は気にせず思い出した事を口にする。
「あぁ!あなたはこの間領地に来た…名前は存じ上げないのですが…顔だけは微かに覚えております。」
たしか、あの時は「結婚しよう」とか言っていた。
結婚…結婚…け…っこん…?
「お兄様、も、もしかして…?」
お兄様に話しかけると、なぜか取り押さえられている男が話し出した。
「やっと思い出してくれたかい?リア!5年で帰ってくると言っていたのに帰れなくてすまなかった。実は帰ろうとしたら捕虜としてなぜか捕まってしまったんだ…」
私はこの人の顔とお兄様の顔を交互に見返す。
この人はいったい何を言っているんだろうか…
「すみません。一応私の婚約者のニコラウス・イグナ様でしょうか?」
「あ、あぁ、そうだよ。リアに会いたくて仕方なかったんだ…。」
「私も会いたかったんです。やっとお話しできますね。ニコラウス様。」
私は顔も知らない婚約者と婚約破棄ができると思うと自然と頬が上がってしまう。
「ニコラウス様。15年間お世話になりました。私もいい歳ですし、婚約破棄いたしましょう。」
本当はあなたからの言葉を待っていたのだけど、全く連絡は取れなくなるし…仕方がないからこちらから婚約破棄をして差し上げます。
慰謝料貰えないのは痛いのですが…。
15年分の自由を買ったと言うことにしましょう。
「え…?」
ニコラウス様がポカンとした顔をしている。
「ですから、婚約破棄いたしましょう。あと、あなたにリアと呼ばれるのは気持ちが悪いのでやめてくださいませ。吐き気がします。」
私はやっとニコラウス様に面と向かって気持ちを伝えられたことにスッキリした。
しばらくニコラウス様の間抜け面をみていると、お兄様がとても悪そうな笑顔でこちらに寄ってきた。
「では、ここからは私も話に参加させてもらおうかな…?」
ニコラウス様の前にたつとお兄様は話し始めた。
「ニコラウス。まずはこの15年間。妹がお世話になったね。そのお礼から言おうかな。本当にありがとう。」
ニコラウス様の顔スレスレに「ドンッ」と足をおくお兄様…顔が整い過ぎているからこその迫力である。
ニコラウス様が小さく「ヒィッ」と言っているところを見ると相当怖いのではないだろうか。
「あぁ、ニコラウス。今日はねたくさんの観客が来てくれているんだよ。ほら後ろを見てごらん?」
ニコラウス様のことはセデスが連れてきてくれたらしく今もセデスがニコラウス様を捕まえて下を向かせている。まるで罪人のようにしか見えない…
セデスが無理やり後ろを向かせるとそこにはたくさんの人たちがこのホールへと集まっていた。
「あぁ、そうそう。ニコラウスも見たことある人がいるんじゃないかな?特にあそこにいる親子とかね?子供なんか君と瓜二つじゃないか…」
鬼い様降臨に皆の顔も真っ青だ。
鬼い様の後ろにいる国王様、ティオ様、ナル様は見慣れているのか平然とした顔をしている。
「それだけじゃないね。あちらのご婦人は…君の元恋人だったかな…?たしか旦那さんがいる人に手を出したんだっけ?今日はその元旦那さんも遊びに来てくれているよ。」
鬼い様が指をパチンと鳴らすと扉が開いて1人の高貴な男性が入ってくる。
カツカツと近寄ってくる音にニコラウス様の顔色は真っ青から土色に変わっていた…
「今ここは、氷点下20℃くらいかしら…」
吐いた息が真っ白になるのではないかと思うほどの寒さに、思わず言葉が漏れる。
ティオ様はその言葉を聞いてクスリと笑っていた。
そして中央に行くとお兄様と、なぜか国王様がいる。
「テ、ティオ様…なぜかお兄様と国王陛下が一緒にいるようなんですが…」
ティオ様も少しびっくりしているようだ。
「私のもなぜ兄上が来ているかわからないんだが、取り敢えず二人の近くに行こうか。」
歩き始めると2人を取り囲むようにしていた人たちがスッと道を開ける。
すると2人の前のは1人の男性が取り押さえられる形で座っていた。
国王様がいる手前無闇矢鱈にお兄様に話しかけることもできないため、国王様への挨拶をしようとしたところ、国王様は片手を挙げて首を横に振った。
恐らく気にしなくていいと言うことなのだろう。私は軽く一礼しお兄様に向き直る。
「お兄様、こちらの方は…?」
「よく見てみなさい。どこかで見たことがあるんじゃないか?」
取り押さえられている人をよく見ると、確かにどこかでみたことがある顔だ。
「あぁ、愛しのリア。やっと君に会えて嬉しいよ。」
何か言っているが、私は気にせず思い出した事を口にする。
「あぁ!あなたはこの間領地に来た…名前は存じ上げないのですが…顔だけは微かに覚えております。」
たしか、あの時は「結婚しよう」とか言っていた。
結婚…結婚…け…っこん…?
「お兄様、も、もしかして…?」
お兄様に話しかけると、なぜか取り押さえられている男が話し出した。
「やっと思い出してくれたかい?リア!5年で帰ってくると言っていたのに帰れなくてすまなかった。実は帰ろうとしたら捕虜としてなぜか捕まってしまったんだ…」
私はこの人の顔とお兄様の顔を交互に見返す。
この人はいったい何を言っているんだろうか…
「すみません。一応私の婚約者のニコラウス・イグナ様でしょうか?」
「あ、あぁ、そうだよ。リアに会いたくて仕方なかったんだ…。」
「私も会いたかったんです。やっとお話しできますね。ニコラウス様。」
私は顔も知らない婚約者と婚約破棄ができると思うと自然と頬が上がってしまう。
「ニコラウス様。15年間お世話になりました。私もいい歳ですし、婚約破棄いたしましょう。」
本当はあなたからの言葉を待っていたのだけど、全く連絡は取れなくなるし…仕方がないからこちらから婚約破棄をして差し上げます。
慰謝料貰えないのは痛いのですが…。
15年分の自由を買ったと言うことにしましょう。
「え…?」
ニコラウス様がポカンとした顔をしている。
「ですから、婚約破棄いたしましょう。あと、あなたにリアと呼ばれるのは気持ちが悪いのでやめてくださいませ。吐き気がします。」
私はやっとニコラウス様に面と向かって気持ちを伝えられたことにスッキリした。
しばらくニコラウス様の間抜け面をみていると、お兄様がとても悪そうな笑顔でこちらに寄ってきた。
「では、ここからは私も話に参加させてもらおうかな…?」
ニコラウス様の前にたつとお兄様は話し始めた。
「ニコラウス。まずはこの15年間。妹がお世話になったね。そのお礼から言おうかな。本当にありがとう。」
ニコラウス様の顔スレスレに「ドンッ」と足をおくお兄様…顔が整い過ぎているからこその迫力である。
ニコラウス様が小さく「ヒィッ」と言っているところを見ると相当怖いのではないだろうか。
「あぁ、ニコラウス。今日はねたくさんの観客が来てくれているんだよ。ほら後ろを見てごらん?」
ニコラウス様のことはセデスが連れてきてくれたらしく今もセデスがニコラウス様を捕まえて下を向かせている。まるで罪人のようにしか見えない…
セデスが無理やり後ろを向かせるとそこにはたくさんの人たちがこのホールへと集まっていた。
「あぁ、そうそう。ニコラウスも見たことある人がいるんじゃないかな?特にあそこにいる親子とかね?子供なんか君と瓜二つじゃないか…」
鬼い様降臨に皆の顔も真っ青だ。
鬼い様の後ろにいる国王様、ティオ様、ナル様は見慣れているのか平然とした顔をしている。
「それだけじゃないね。あちらのご婦人は…君の元恋人だったかな…?たしか旦那さんがいる人に手を出したんだっけ?今日はその元旦那さんも遊びに来てくれているよ。」
鬼い様が指をパチンと鳴らすと扉が開いて1人の高貴な男性が入ってくる。
カツカツと近寄ってくる音にニコラウス様の顔色は真っ青から土色に変わっていた…
「今ここは、氷点下20℃くらいかしら…」
吐いた息が真っ白になるのではないかと思うほどの寒さに、思わず言葉が漏れる。
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