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2章.転生
33.
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「その前にお前は何者なんだ?」
「俺?」
「手島さんだよ。前世でお父さんと一緒に働いていたんだ。」
僕が言う。晴一が僕に微笑むと手島さんに向き
「ユウがレネさんに殺されたってのは本当なのか?」
「そうだよ。ラウル…晴一さんの目の前でそこのレネさんに刺されて優くんは死んだ。」
「そんなバカな…」
「産まれた頃から憎んでたからね優くんを。ずっと死ぬまで虐待を繰り返してた。目が見えなかったのも前世のせいだし。」
「…。」
「君は泣きながら死んでしまった優くんを抱き締めていたよ。自殺するんじゃないかと皆が心配してたけど、優くんに言われた言葉を守る為に…最後は優くんのお墓が見える病院で病気で亡くなった。」
僕が言った言葉?
「運命の番の人じゃなく、情でもなく心から好きな人と一緒になってと。その言葉を守ってずっと探してたよ好きになれる相手を。でも世界中探しても見つからなかった。だから最後は優くんのお墓の近くで過ごしてた。80歳位まで生きてたはず。」
涙が溢れる。僕が死ぬ時に言った言葉を晴一は守ろうとしてくれた。それは僕が死んでから長い長い時間だったに違いない。残された人がどんな思いでいたのかもわからない。僕は死んでしまったから。僕の呪いのような言葉を守ろうとしてくれた。でも、ずっと1人だったことに喜んでいる自分がいる。でも…僕は…晴一を傷つけた。
「晴一…ごめんなさい…ごめんなさい」
「何故ユウが謝る?晴一が自分で決めたことだ。」
と、ラウルさんが言う。
「でも…。」
「きっとその言葉を守ろうと、この世界では番の匂いが分からないんだろうね。好きな人を自分で見つけようとしたのもそのせいだと思うよ。」
手島さんがそう言い僕達に微笑む。この人はあの場所にはいなかった。僕の言葉なんてその場にいなければ知るはずもない。何故こんなに詳しいのか?おかしいことだらけだ。
「それでも、レネさんがユウを殺したなんて信じられない。こんなに仲のいい家族が憎み合うことはない。何故お前はこんなにもレネさんを憎むんだ?」
そう。前世を知っていて手島さんと木根さんの間に何があったのか?あの人と手島さんの関係性がみえない。
「何故憎むのか…俺を救ってくれた先生が智美さんのせいで死んだから。」
「救ってくれた?」
手島さんが悔しそうにそして辛そうな顔をする。二人の間に何があったんだろう。次の言葉に全員の動きが止まった。
「俺は…人間ではない。お前達がいた世界を…地球を創った神だ。」
神様…?何かの冗談かと思う。手島さんと出会った時も人間だったし、もし神様というのなら木根さんを救えたんじゃないだろうか?
「何の冗談を言っているんだ!カロ以外にも神がいるというのか?」
「先生。世界は広いんだ。この世界だけじゃない。地球以外にもたくさんの世界があるんですよ。」
「そうだとして何故神様が復讐するんだ。お前が創った世界だろう。都合のいいように創ればいいじゃないか。」
ラウルさんの言う通りだ。神様が復讐なんておかしすぎる。しかも、ラウルさんの拘束も解けないなんて普通の人と変わらないと思う。
「この世界は兄さんの創ったものだからね。俺は手出しできない。しかも、俺はこの世界に無理やり転生したから普通の人と変わらないしね。ちょうど闇の属性を身籠った獣人がいて助かったよ。」
お兄さん?カロという神様と兄弟ってことだろうけど。
「兄さんがこっちの世界に先生達を転生させるから、めんどくさいことになったんだけど。全く、本当余計なことしてくれるよ。」
だったら…何故?
「あなたが神様なら…何故皆が幸せになれないの?」
前世の僕は苦しんだ。神様がいるのなら何故…
「ごめんね…優くん。俺は創ることは出来る…でも人の想いは操作できない。」
苦しそうに顔を歪める手島さん。あの辛かった日々は手島さんが創った世界。それじゃあ…
「お前のせいでユウが苦しんだってことじゃないのか?そんな世界を創ったお前のせいで。」
晴一が怒りのまま拘束の力を強めた。苦しそうに手島さんが膝をつく。
「お前の創った世界で何があったのかは俺達にはわからない。でもユウを苦しめてたのは俺とレネなんだろう。」
お母さんは回復魔法をまだ掛けていなかった。傷だらけのままお父さんに支えられている。
「この世界では、ユウは俺達の大切な子供だ。前世とか関係ない。俺達は償うよ。ユウに許してもらえるまで。俺達の一番の幸せはユウだからな。」
「…僕も償うよ。大切なユウに許してもらうまで。」
「ユウはどうしたい?両親に復讐するか?したいのなら俺は手伝う。」
ラウルさんは僕の味方をしてくれる。前世で一人ぼっちの僕はこの世界で結婚も出来た。幸せになれる。両親の顔を見る。よく見るとあの人達に似ているだけのような気がしてくる。
「復讐…僕はしたいのかな?前世で僕は苦しんだんだ。あの人を庇って死んだし。晴一と暮らすことも出来なかった。18歳で死んだしね…」
「そうか…。」
「復讐したら前世の僕は救われるのかな?」
「死んだことがないからな。ユウにしかわからないと思う。」
「ラウルさんは前世が晴一なんだって。前世の晴一と同じ顔で同じ身体だよ。耳としっぽが付いてるだけで全く同じなんだ。どう思う?」
「俺が晴一の生まれ変わりだとして、ユウは、晴一の方がいいか?ラウル・ガエタン・グリニーはいない方がいいか?」
「やだっ…ラウルさんがいなくなるのは絶対いやっ!!」
ラウルさんが笑顔で抱き締めてくれる。ラウルさんが口づけしてくれる。
「ユウはユウ・ファン・メーレンだ。エヴァルドさんとレネさんの子供だろ。」
大きなラウルさんの身体に手を回す。晴一の身体はこんなに大きかっただろうか。
ラウルさんの身体を抜け出し、お父さんとお母さんに抱きつく。
「うん。この世界に生まれたユウ・ファン・メーレンです。僕は前世とは関係ない。」
お父さんとお母さんが抱きしめてくれる。いつも感じてた温もり。何を迷うことがあるのだろう。僕はこの二人の子供じゃないか。
「なんで…なんで…みんな智美さんを許しちゃうんだよ…なんで…俺の世界はうまくいかないの?おかしいよ…」
手島さんは膝を付いたまま泣き出してしまった。身体は大きいのに、まるで小さな子供のように見えた。もう僕達をどうこうしようとは思ってないように見えた。
その時眩い光が部屋の中を包み込んだ。目を開けていられない。お父さんとお母さんが僕の上に被さってきた。僕を守る為に。
「カロ!?」
ラウルさんの声がして僕の上から二人の重みが消えた。それでも僕を守る為、二人は自分たちの後ろに僕を隠す。お母さんの傷は消えていた。
「俺?」
「手島さんだよ。前世でお父さんと一緒に働いていたんだ。」
僕が言う。晴一が僕に微笑むと手島さんに向き
「ユウがレネさんに殺されたってのは本当なのか?」
「そうだよ。ラウル…晴一さんの目の前でそこのレネさんに刺されて優くんは死んだ。」
「そんなバカな…」
「産まれた頃から憎んでたからね優くんを。ずっと死ぬまで虐待を繰り返してた。目が見えなかったのも前世のせいだし。」
「…。」
「君は泣きながら死んでしまった優くんを抱き締めていたよ。自殺するんじゃないかと皆が心配してたけど、優くんに言われた言葉を守る為に…最後は優くんのお墓が見える病院で病気で亡くなった。」
僕が言った言葉?
「運命の番の人じゃなく、情でもなく心から好きな人と一緒になってと。その言葉を守ってずっと探してたよ好きになれる相手を。でも世界中探しても見つからなかった。だから最後は優くんのお墓の近くで過ごしてた。80歳位まで生きてたはず。」
涙が溢れる。僕が死ぬ時に言った言葉を晴一は守ろうとしてくれた。それは僕が死んでから長い長い時間だったに違いない。残された人がどんな思いでいたのかもわからない。僕は死んでしまったから。僕の呪いのような言葉を守ろうとしてくれた。でも、ずっと1人だったことに喜んでいる自分がいる。でも…僕は…晴一を傷つけた。
「晴一…ごめんなさい…ごめんなさい」
「何故ユウが謝る?晴一が自分で決めたことだ。」
と、ラウルさんが言う。
「でも…。」
「きっとその言葉を守ろうと、この世界では番の匂いが分からないんだろうね。好きな人を自分で見つけようとしたのもそのせいだと思うよ。」
手島さんがそう言い僕達に微笑む。この人はあの場所にはいなかった。僕の言葉なんてその場にいなければ知るはずもない。何故こんなに詳しいのか?おかしいことだらけだ。
「それでも、レネさんがユウを殺したなんて信じられない。こんなに仲のいい家族が憎み合うことはない。何故お前はこんなにもレネさんを憎むんだ?」
そう。前世を知っていて手島さんと木根さんの間に何があったのか?あの人と手島さんの関係性がみえない。
「何故憎むのか…俺を救ってくれた先生が智美さんのせいで死んだから。」
「救ってくれた?」
手島さんが悔しそうにそして辛そうな顔をする。二人の間に何があったんだろう。次の言葉に全員の動きが止まった。
「俺は…人間ではない。お前達がいた世界を…地球を創った神だ。」
神様…?何かの冗談かと思う。手島さんと出会った時も人間だったし、もし神様というのなら木根さんを救えたんじゃないだろうか?
「何の冗談を言っているんだ!カロ以外にも神がいるというのか?」
「先生。世界は広いんだ。この世界だけじゃない。地球以外にもたくさんの世界があるんですよ。」
「そうだとして何故神様が復讐するんだ。お前が創った世界だろう。都合のいいように創ればいいじゃないか。」
ラウルさんの言う通りだ。神様が復讐なんておかしすぎる。しかも、ラウルさんの拘束も解けないなんて普通の人と変わらないと思う。
「この世界は兄さんの創ったものだからね。俺は手出しできない。しかも、俺はこの世界に無理やり転生したから普通の人と変わらないしね。ちょうど闇の属性を身籠った獣人がいて助かったよ。」
お兄さん?カロという神様と兄弟ってことだろうけど。
「兄さんがこっちの世界に先生達を転生させるから、めんどくさいことになったんだけど。全く、本当余計なことしてくれるよ。」
だったら…何故?
「あなたが神様なら…何故皆が幸せになれないの?」
前世の僕は苦しんだ。神様がいるのなら何故…
「ごめんね…優くん。俺は創ることは出来る…でも人の想いは操作できない。」
苦しそうに顔を歪める手島さん。あの辛かった日々は手島さんが創った世界。それじゃあ…
「お前のせいでユウが苦しんだってことじゃないのか?そんな世界を創ったお前のせいで。」
晴一が怒りのまま拘束の力を強めた。苦しそうに手島さんが膝をつく。
「お前の創った世界で何があったのかは俺達にはわからない。でもユウを苦しめてたのは俺とレネなんだろう。」
お母さんは回復魔法をまだ掛けていなかった。傷だらけのままお父さんに支えられている。
「この世界では、ユウは俺達の大切な子供だ。前世とか関係ない。俺達は償うよ。ユウに許してもらえるまで。俺達の一番の幸せはユウだからな。」
「…僕も償うよ。大切なユウに許してもらうまで。」
「ユウはどうしたい?両親に復讐するか?したいのなら俺は手伝う。」
ラウルさんは僕の味方をしてくれる。前世で一人ぼっちの僕はこの世界で結婚も出来た。幸せになれる。両親の顔を見る。よく見るとあの人達に似ているだけのような気がしてくる。
「復讐…僕はしたいのかな?前世で僕は苦しんだんだ。あの人を庇って死んだし。晴一と暮らすことも出来なかった。18歳で死んだしね…」
「そうか…。」
「復讐したら前世の僕は救われるのかな?」
「死んだことがないからな。ユウにしかわからないと思う。」
「ラウルさんは前世が晴一なんだって。前世の晴一と同じ顔で同じ身体だよ。耳としっぽが付いてるだけで全く同じなんだ。どう思う?」
「俺が晴一の生まれ変わりだとして、ユウは、晴一の方がいいか?ラウル・ガエタン・グリニーはいない方がいいか?」
「やだっ…ラウルさんがいなくなるのは絶対いやっ!!」
ラウルさんが笑顔で抱き締めてくれる。ラウルさんが口づけしてくれる。
「ユウはユウ・ファン・メーレンだ。エヴァルドさんとレネさんの子供だろ。」
大きなラウルさんの身体に手を回す。晴一の身体はこんなに大きかっただろうか。
ラウルさんの身体を抜け出し、お父さんとお母さんに抱きつく。
「うん。この世界に生まれたユウ・ファン・メーレンです。僕は前世とは関係ない。」
お父さんとお母さんが抱きしめてくれる。いつも感じてた温もり。何を迷うことがあるのだろう。僕はこの二人の子供じゃないか。
「なんで…なんで…みんな智美さんを許しちゃうんだよ…なんで…俺の世界はうまくいかないの?おかしいよ…」
手島さんは膝を付いたまま泣き出してしまった。身体は大きいのに、まるで小さな子供のように見えた。もう僕達をどうこうしようとは思ってないように見えた。
その時眩い光が部屋の中を包み込んだ。目を開けていられない。お父さんとお母さんが僕の上に被さってきた。僕を守る為に。
「カロ!?」
ラウルさんの声がして僕の上から二人の重みが消えた。それでも僕を守る為、二人は自分たちの後ろに僕を隠す。お母さんの傷は消えていた。
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