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2章.転生
23.
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目が覚めると真っ暗だった。
「ここどこだろう?」
目が覚めているのに暗い。
「ユウ?目が覚めたか?」
「誰?」
「ラウルだ。エヴァルドさんとレネさんも来てる。」
ラウル?エヴァルド?レネ?
「ユウ?」
心配そうに声をかける男の人と女の人の声がする。僕は…どうしたんだっけ?
「ユウは…首輪を着けた時に倒れたんだ。」
首を触るとそこには何もない。
「あの人はいないの?首輪が外れてる。ここはホテルですか?従業員の方ですか?」
「ユウ!!」
抱き締められる。この人すごくいい匂いがする。
「飛田さんは、いますか?」
「ユウここにはトビタはいない。」
「晴一いないの…僕はどうしたらいいんでしょうか。あの人が帰ってくるのはいつですか?」
「あの人って誰?」
「僕のお母さんと言われてる人。僕に首輪を着けて鎖で繋いで暴力を振るう人…違う…あの人は運命の番のせいで可哀想な目に…酷いのは僕の父親?…違う…僕は…刺された?…死んだ…?僕はどうしたの?…僕はいらない子供…だった…」
「…ユウもう少し眠ろうか。悪い夢を見ているのかもしれない。」
「悪い夢…そうかも…さっきからずっと暗いんだ。目を開けてるのに何も見えないんです。」
頭を撫でてくれる。
「あのう…寝るまで側にいてくれますか?あなたといるとすごく安心するんです。」
「あぁ、ずっと側にいる。手を繋いであげるから。」
「ありがとうございます…。」
この人の近くにいたい。抱き締めてほしい。
「…離れないで…お願い…」
「あぁ、ずっと一緒だ。」
僕は安心して眠りについた。
「おはよう。ラウルさんまだ寝てるの?今日仕事は?」
「ユウ?」
なかなか起きてこないラウルさんを心配してお越しにきた。今日、目が覚めるとラウルさんに抱き締められて眠ってた。いつものことだけど今日は本当に嬉しくて、そのまま二度寝したかったけどそっと起こさないように抜け出した。でもいつまで経っても起きてこないから心配になって寝室に来たんだけど。
「どうしたの?悲しそうな声。夢見が悪かった?」
泣きそうな声に聞こえた。寝起きだからかもしれないけど。
「…ユウが隣にいないからだ。」
「だって起きたんだもん。洗濯したかったし。」
「ユウ抱き締めたい。」
「うっ…朝からどうしたの?本当に怖い夢でもみた?」
「怖かった。だから慰めてくれ。」
こんな大きな身体で子供みたいなことを言う。
「ははっ。」
大きな身体に手を回してぎゅっと抱き締める。いつもの逆だ。いつもされてる頭も撫でてあげる。
「どう落ち着いた?」
「まだ。ずっとこうしていたい。」
「嫌だよー。お腹空いたもん。起きてこないからご飯の催促にきたのー。オムレツ食べたい。チーズ入りだからね。」
「お腹空いたか…今からすぐ作る。卵何個?」
「3個。スープも作ってほしいけど…今日仕事だった?」
「大丈夫だ。今日から一週間休みだから。後で実家に行こうか。レネさんとランチしよう。」
一週間もお休み?
「うんうん。お母さんとご飯食べたい。一週間休みだったら実家に二人で泊まろうか。お父さんもお母さん喜ぶと思う。」
「それに初めて会ったあの場所でピクニックしよう。」
「本当!?楽しみ~。でも何で急にそんなにお休みになったの?」
「…交代で長期休暇かな。」
魔物も出ないと言ってたし。ラウルさんが休みということは平和な証拠。
「じゃあ洗濯は部屋に干して泊まりの準備しようね。お母さん達に仕事の相談もしたかったんだ。」
「仕事はまだいいんじゃないか?」
「18歳までには仕事探したいから。簡単な仕事しか出来ないと思うけど。ラウルさんとずっと暮らしていくからには仕事もしないと。」
「あぁ、ずっと一緒に暮らして行くんだ。」
もうそろそろお腹が限界。くぅ~とお腹が鳴った。でもご飯食べてるのになんで今日はお腹がこんなに空くのかな。
「くくくっ。すぐ作る。」
「もう、笑いすぎ。」
「お母さん~ただいま。」
「ユウ!!」
ラウルさんからお母さんが仕事が休みと聞いていたので、居ると分かっていて実家のドアを開けた。奥の方からすごい勢いで向かってくる音がした。お母さんが僕に抱きついた。
「痛っ。お母さん強いよー。どうしたの?痛いって。力強すぎだから。」
おもいっきり頬擦りもされる。髪に頭に耳にとサリサリと舐められて毛繕いもされた。小さい頃にしかされなかったのに。
「お母さんってば。」
「ユウ…ユウ。」
「ラウルさん助けてー。」
あまりの構われ方に助けを求めた。
「諦めろ。俺も交ざりたいくらいだ。」
「はぁ?もう。お母さん今日泊まっていい?」
落ち着いたのか毛繕いは止めたけど離れようとはしないお母さんに聞いてみた。
「もちろん。ラウルくんも泊まるんでしょ。」
まだ、グリグリとされて離してくれない。本当にどうしたんだろう?
夕方にはお父さんも帰ってきてびっくりすることにお母さんと同じで毛繕いされた。そして今も二人に離してもらえない。
「もう!二人ともどうしたの?里帰りってこんなになるの?」
「しょうがない。諦めろ。」
ラウルさんもずっとイライラしてるし。
「あのね。明日ピクニックに行こうかって話してて。お父さん達仕事?」
「二人とも仕事だ。ずるいぞラウル。」
「えー。僕、明日ずる休みする。」
お母さんそれは駄目だと思うけど。
「三人一緒の休みは取れないと思いますし…。」
「今度家族で行こうよ。ラウルくん抜きで。」
「そうだな。そうしよう。」
「それはいいですけど…。」
三人の話がまとまった。みんなが仲良くしてるのは嬉しい。
「ここどこだろう?」
目が覚めているのに暗い。
「ユウ?目が覚めたか?」
「誰?」
「ラウルだ。エヴァルドさんとレネさんも来てる。」
ラウル?エヴァルド?レネ?
「ユウ?」
心配そうに声をかける男の人と女の人の声がする。僕は…どうしたんだっけ?
「ユウは…首輪を着けた時に倒れたんだ。」
首を触るとそこには何もない。
「あの人はいないの?首輪が外れてる。ここはホテルですか?従業員の方ですか?」
「ユウ!!」
抱き締められる。この人すごくいい匂いがする。
「飛田さんは、いますか?」
「ユウここにはトビタはいない。」
「晴一いないの…僕はどうしたらいいんでしょうか。あの人が帰ってくるのはいつですか?」
「あの人って誰?」
「僕のお母さんと言われてる人。僕に首輪を着けて鎖で繋いで暴力を振るう人…違う…あの人は運命の番のせいで可哀想な目に…酷いのは僕の父親?…違う…僕は…刺された?…死んだ…?僕はどうしたの?…僕はいらない子供…だった…」
「…ユウもう少し眠ろうか。悪い夢を見ているのかもしれない。」
「悪い夢…そうかも…さっきからずっと暗いんだ。目を開けてるのに何も見えないんです。」
頭を撫でてくれる。
「あのう…寝るまで側にいてくれますか?あなたといるとすごく安心するんです。」
「あぁ、ずっと側にいる。手を繋いであげるから。」
「ありがとうございます…。」
この人の近くにいたい。抱き締めてほしい。
「…離れないで…お願い…」
「あぁ、ずっと一緒だ。」
僕は安心して眠りについた。
「おはよう。ラウルさんまだ寝てるの?今日仕事は?」
「ユウ?」
なかなか起きてこないラウルさんを心配してお越しにきた。今日、目が覚めるとラウルさんに抱き締められて眠ってた。いつものことだけど今日は本当に嬉しくて、そのまま二度寝したかったけどそっと起こさないように抜け出した。でもいつまで経っても起きてこないから心配になって寝室に来たんだけど。
「どうしたの?悲しそうな声。夢見が悪かった?」
泣きそうな声に聞こえた。寝起きだからかもしれないけど。
「…ユウが隣にいないからだ。」
「だって起きたんだもん。洗濯したかったし。」
「ユウ抱き締めたい。」
「うっ…朝からどうしたの?本当に怖い夢でもみた?」
「怖かった。だから慰めてくれ。」
こんな大きな身体で子供みたいなことを言う。
「ははっ。」
大きな身体に手を回してぎゅっと抱き締める。いつもの逆だ。いつもされてる頭も撫でてあげる。
「どう落ち着いた?」
「まだ。ずっとこうしていたい。」
「嫌だよー。お腹空いたもん。起きてこないからご飯の催促にきたのー。オムレツ食べたい。チーズ入りだからね。」
「お腹空いたか…今からすぐ作る。卵何個?」
「3個。スープも作ってほしいけど…今日仕事だった?」
「大丈夫だ。今日から一週間休みだから。後で実家に行こうか。レネさんとランチしよう。」
一週間もお休み?
「うんうん。お母さんとご飯食べたい。一週間休みだったら実家に二人で泊まろうか。お父さんもお母さん喜ぶと思う。」
「それに初めて会ったあの場所でピクニックしよう。」
「本当!?楽しみ~。でも何で急にそんなにお休みになったの?」
「…交代で長期休暇かな。」
魔物も出ないと言ってたし。ラウルさんが休みということは平和な証拠。
「じゃあ洗濯は部屋に干して泊まりの準備しようね。お母さん達に仕事の相談もしたかったんだ。」
「仕事はまだいいんじゃないか?」
「18歳までには仕事探したいから。簡単な仕事しか出来ないと思うけど。ラウルさんとずっと暮らしていくからには仕事もしないと。」
「あぁ、ずっと一緒に暮らして行くんだ。」
もうそろそろお腹が限界。くぅ~とお腹が鳴った。でもご飯食べてるのになんで今日はお腹がこんなに空くのかな。
「くくくっ。すぐ作る。」
「もう、笑いすぎ。」
「お母さん~ただいま。」
「ユウ!!」
ラウルさんからお母さんが仕事が休みと聞いていたので、居ると分かっていて実家のドアを開けた。奥の方からすごい勢いで向かってくる音がした。お母さんが僕に抱きついた。
「痛っ。お母さん強いよー。どうしたの?痛いって。力強すぎだから。」
おもいっきり頬擦りもされる。髪に頭に耳にとサリサリと舐められて毛繕いもされた。小さい頃にしかされなかったのに。
「お母さんってば。」
「ユウ…ユウ。」
「ラウルさん助けてー。」
あまりの構われ方に助けを求めた。
「諦めろ。俺も交ざりたいくらいだ。」
「はぁ?もう。お母さん今日泊まっていい?」
落ち着いたのか毛繕いは止めたけど離れようとはしないお母さんに聞いてみた。
「もちろん。ラウルくんも泊まるんでしょ。」
まだ、グリグリとされて離してくれない。本当にどうしたんだろう?
夕方にはお父さんも帰ってきてびっくりすることにお母さんと同じで毛繕いされた。そして今も二人に離してもらえない。
「もう!二人ともどうしたの?里帰りってこんなになるの?」
「しょうがない。諦めろ。」
ラウルさんもずっとイライラしてるし。
「あのね。明日ピクニックに行こうかって話してて。お父さん達仕事?」
「二人とも仕事だ。ずるいぞラウル。」
「えー。僕、明日ずる休みする。」
お母さんそれは駄目だと思うけど。
「三人一緒の休みは取れないと思いますし…。」
「今度家族で行こうよ。ラウルくん抜きで。」
「そうだな。そうしよう。」
「それはいいですけど…。」
三人の話がまとまった。みんなが仲良くしてるのは嬉しい。
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