幸せはあなたと

ヒイロ

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1章.現代

22.

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手島さんに言われた通り部屋は汚したままにしておいた。すごく恥ずかしいのだけど、手島さんは気にしてない感じでアルファのフェロモンの香水を撒いていた。

リビングで晴一と手島さんと三人で作戦会議をした。

「また、3ヶ月経って優くんが妊娠してないことになると同じことが起きると思います。俺は次の人には選ばれないと思うので、この3ヶ月がタイムリミットだと思いますよ。」

『あぁ、そうだな。証拠は揃ってるし、優斗が覚悟を決めてる。大丈夫だ。この3ヶ月中には優を助けられる。もうそこには帰さない。』

僕はどうすればいいのだろう。何も出来ないことが悔しかった。あの人を前にすると身体が動かなくなる。役立たずだ。

「優くんそんな顔しなくても大丈夫です。これは立派な犯罪ですから。木根さんの件もありますし
優くんは保護されるべきです。」

『ただ、羽鳥が帰ってきたときだなぁ。そのままじゃきっとバレる』

「ですよね~安心しきったその顔じゃ…おかずがよかったんですかね~。」

またおかずの話してる。僕には分からない話だ。

「優くん、もし、もしもですよ。智美さんに飛田さんが刺されて意識不明の重体になったらどうしますか?」

そんなの…そんなの耐えられない。考えただけでも涙が溢れる。

「うん。この顔ですね。あっ、泣かないで!!すみません。」

『てめぇー、泣かしてんじゃねーよ。優、例えばだ、例えば。落ち着け。』

「う…ん。でも、嘘だとしてもやだ。」

「ちょっと~飛田さんニヤニヤしないで下さいよー。優くん真剣な話、智美さんが帰ってきた時にその顔でいてください。今の顔です。優くんは顔に出ちゃうので幸せな顔で待ってると、きっと俺とヤってないの一発でバレます。そうなると、3ヶ月待たずに、新たに優くんを犯す人を智美さんは連れてくるでしょう。だから帰って来たらその悲しい顔でいてください。」

そういう理由だったのかと、安心したけど手島さんが言ってた安心しきった顔って…好きなことがバレバレなのかと思うと今度は顔が熱くなってきた。

「うーん。優くんって本当に顔に出ますねー。俺命の危機かも。」

顔を両手で隠してすみませんと謝った。

それから明日帰って来るであろうと、僕は部屋に入った。手島さんはリビングなど片付けをして僕の部屋で寝るからと言っていた。明日の朝早く起きて携帯も返さなくてはいけない。シャツはくしゃくちゃで、僕のあれも付いてる。ビニールに入れて晴一に返されるらしい。洗ってからと言ったら晴一がそのままでいいと譲らなかった。僕は恥ずかしくて嫌なのに…。次に晴一に会えるのはいつになるのか分からないので別れの挨拶ともう一度ヤっといて下さいと言われた。ヒート中ではないので僕は恥ずかしくて仕方ない。綺麗なままだと疑われるからと言われた。しかも明日は裸でいてくださいと言われてる。

「晴一あんまり見ないでよ…恥ずかしいから。」

「もう散々見たし。今さらだろ。自分で出せるのか?」

ヒート中は身体が熱くてわけが分からなくなるから、自分が自分でなくなるというか。今は完全に分かっていて晴一の前にいるのに。自分であそこに入れたり出したりなんてできない。

「テレビ電話じゃなくて普通の電話じゃだめ?」

「却下。明日手島の前で裸にならなきゃいけないんだ。見せたくないのに。だから、今日は絶対にテレビ電話じゃなきゃ駄目だ。」

晴一に独占欲があるのが嬉しかった。手島さんに裸を見せるのと、テレビ電話がどう繋がるのかわからないけど、駄目みたい。晴一はきっと手伝いのつもりなんだろうけど、僕は好きな人に自慰を見せるのだ。恥ずかしいに決まってる。

「優。好きだよ。俺が触ってると思って乳首さわってごらん。」

ずるい。好きの意味が違うと分かっていても、嬉しいに決まってる。言われた通りに乳首を触る。そんな所触ったこともなかったのに。

「うっーん。」

「感じるようになったな。一緒にペニスも触って。」

晴一に言われると嬉しい。喜んで触る。

「あん。あぁ…っん。」

簡単にイッてしまった。そして僕はこのままでいなければいけないので拭くことも出来ない。シーツを羽織った。なるべく晴一に見えないように。顔も赤くなってるだろう。

ベッドはさすがに酷い有り様なので床に座る。晴一と当分話せないので寝るのがもったいない。

「気持ち悪いと思うけど寝ていいぞ。明日起こしてやるから。」

「ううん。まだ晴一と話す。」

笑ってる晴一が見れて僕は嬉しくなる。すると晴一が話をしてくれる。

「俺な、昔から釣りが好きで優とお弁当作って釣りに行きたいと思ってる。」

「釣りしたことない。」

「まぁ、そうだろうな。俺が色々教えてやるから。川釣りが好きなんだけど、船で海に出るのもいいな。のんびり時間を忘れて釣りするのが好きなんだ。」

そうなんだ。

「それと、ストレスが溜まるとキャベツの千切りを無心でやっていることがあるんだ。だからその時は当分キャベツ料理だけになるから。」

まるで、一緒に暮らす前提で話をしている。

「あと、俺は掃除が苦手なんだ。台所関係は完璧なんだけど、洗濯は干すのはいいんだけど畳むのが嫌いだし、アイロンとか使ったことすらない。それは頼むな。」

「僕もアイロン使ったことないよ。」

「じゃあ、覚えてくれ。俺は覚える気はない。」

偉そうに言う。

「あと、お風呂とご飯は絶対一緒だ。用事がない限りな。」

晴一が僕に対する好きが恋愛じゃなくてもいいじゃないか。こんなにも僕を大切にしてくれる。僕を好きでいてくれる。ここを出られたらきっと一緒に暮らしていくのだろう。お互い歳を取ってもきっと僕は一生晴一に恋心を抱いていくのだろう。同じように返されなくても僕はいいんだ。だって晴一がいてくれるんだから。
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