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第一章 巫女てんてこまい
第17話 先輩の忠告
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悪霊退治が終わったので外で待っているアナに報告に行くことにする。
玄関へ向かう廊下を歩いていると、エイミーが不満の声を上げた。
「ミーはまだまだ暴れたりないでーす!」
「あなたはまだ良いでしょ。倒したんだから」
「譲るんじゃなかったかもね」
後輩の言葉に、舞火と天子は先輩として軽口で答える。
そんな話をしながら玄関を出て外に行くと、待っていたアナが声を掛けてきた。
「フフ、若い子達は元気ねえ」
軽く笑われてしまう。どうやら話が聞こえていたらしい。
「すみません」
有栖は謝るが、相手は気分を害したわけではないらしかった。
「いいのよ。正直な若い子って好きよ。お仕事ご苦労様。専門家に任せて良かったわ。これうちの店で出してるお寿司なの。良かったらみんなで食べてね」
有栖はアナから大きい袋を手渡された。
アナの話通りなら、その中に入っているのはお寿司だろう。その重量を両手に感じながら、有栖は顔を上げて訊ねた。
「いいんですか? こんな高そうな物をいただいて」
「ええ、外国の人ってお寿司好きが多いからね。あなた達のために用意させたのよ」
ウインクされてエイミーは背筋を震わせた。
「それともお寿司なんて嫌いだった? それじゃあ、上げるの止めちゃおうかしらん」
その言葉を聞いて。エイミーは慌てて身を乗り出した。
「ノー! ミーはお寿司が食べたいと思っていました。ニッポンと言えばお寿司です!」
「なら良かった。うちにも外国のお客がよく来るのよ。お寿司が食べたかったら、またいつでも遊びにきてね」
「はいです!」
エイミーは気分を良くしていた。
笑顔で手を振って見送るアナに小さく手を振り返すぐらいには。
「アナさん、良い人でした」」
帰り道、エイミーはご機嫌だった。
「良い人だっわね。有栖ちゃん、わたしが持つわ」
「はい」
舞火が手を差し出してきたので有栖は渡そうとしたのだが、その前にエイミーが入ってきた。
「ミーが持ちます。先輩の手はわずらわせません!」
「じゃあ、お願い」
舞火があっさり引き下がったので、有栖はエイミーに持ってもらうことにした。
外国人の彼女はとてもご機嫌だった。
「このお寿司はミーの命に代えても死守します!」
「命に代えられても……」
託した有栖は困ってしまう。舞火がエイミーに注意を促した。
「揺らさないように気を付けなさいよ」
「はいです!」
舞火の言う事に忠実に従うエイミー。それ以上のことを言わないので、天子は先輩として忠告することにした。
「あんた気を付けなさいよ」
「何をですか?」
「アナさんに気を許しすぎないようによ」
「気を許す?」
エイミーはWHAT? と言いたげな感じに首を傾げた。金髪を揺らす彼女に天子は言葉を続けた。
「気づかないの? あんた狙われてるのよ」
「狙われ? ん?」
「食べられないように気を付けろってことよ」
「ほ……ほわい?」
「ププッ」
天子とエイミーのやり取りに、舞火が吹き出した。天子が不満に声を上げる。
「何がおかしいのよ」
「おかしい表現をするからよ。でも、気を付けた方がいいのは本当ね。気を付けておかないと……」
そこで舞火は左手の指を口のようにパクパクと動かし、それで右手の指を挟んで見せた。
「こうなるから」
「むむっ、気を付けるです」
先輩の忠告とあって、エイミーはやっと納得して意識したようだった。
玄関へ向かう廊下を歩いていると、エイミーが不満の声を上げた。
「ミーはまだまだ暴れたりないでーす!」
「あなたはまだ良いでしょ。倒したんだから」
「譲るんじゃなかったかもね」
後輩の言葉に、舞火と天子は先輩として軽口で答える。
そんな話をしながら玄関を出て外に行くと、待っていたアナが声を掛けてきた。
「フフ、若い子達は元気ねえ」
軽く笑われてしまう。どうやら話が聞こえていたらしい。
「すみません」
有栖は謝るが、相手は気分を害したわけではないらしかった。
「いいのよ。正直な若い子って好きよ。お仕事ご苦労様。専門家に任せて良かったわ。これうちの店で出してるお寿司なの。良かったらみんなで食べてね」
有栖はアナから大きい袋を手渡された。
アナの話通りなら、その中に入っているのはお寿司だろう。その重量を両手に感じながら、有栖は顔を上げて訊ねた。
「いいんですか? こんな高そうな物をいただいて」
「ええ、外国の人ってお寿司好きが多いからね。あなた達のために用意させたのよ」
ウインクされてエイミーは背筋を震わせた。
「それともお寿司なんて嫌いだった? それじゃあ、上げるの止めちゃおうかしらん」
その言葉を聞いて。エイミーは慌てて身を乗り出した。
「ノー! ミーはお寿司が食べたいと思っていました。ニッポンと言えばお寿司です!」
「なら良かった。うちにも外国のお客がよく来るのよ。お寿司が食べたかったら、またいつでも遊びにきてね」
「はいです!」
エイミーは気分を良くしていた。
笑顔で手を振って見送るアナに小さく手を振り返すぐらいには。
「アナさん、良い人でした」」
帰り道、エイミーはご機嫌だった。
「良い人だっわね。有栖ちゃん、わたしが持つわ」
「はい」
舞火が手を差し出してきたので有栖は渡そうとしたのだが、その前にエイミーが入ってきた。
「ミーが持ちます。先輩の手はわずらわせません!」
「じゃあ、お願い」
舞火があっさり引き下がったので、有栖はエイミーに持ってもらうことにした。
外国人の彼女はとてもご機嫌だった。
「このお寿司はミーの命に代えても死守します!」
「命に代えられても……」
託した有栖は困ってしまう。舞火がエイミーに注意を促した。
「揺らさないように気を付けなさいよ」
「はいです!」
舞火の言う事に忠実に従うエイミー。それ以上のことを言わないので、天子は先輩として忠告することにした。
「あんた気を付けなさいよ」
「何をですか?」
「アナさんに気を許しすぎないようによ」
「気を許す?」
エイミーはWHAT? と言いたげな感じに首を傾げた。金髪を揺らす彼女に天子は言葉を続けた。
「気づかないの? あんた狙われてるのよ」
「狙われ? ん?」
「食べられないように気を付けろってことよ」
「ほ……ほわい?」
「ププッ」
天子とエイミーのやり取りに、舞火が吹き出した。天子が不満に声を上げる。
「何がおかしいのよ」
「おかしい表現をするからよ。でも、気を付けた方がいいのは本当ね。気を付けておかないと……」
そこで舞火は左手の指を口のようにパクパクと動かし、それで右手の指を挟んで見せた。
「こうなるから」
「むむっ、気を付けるです」
先輩の忠告とあって、エイミーはやっと納得して意識したようだった。
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