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王都へ
森を抜けて
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昼飯を食って泉を後にした。
「また食べたいのでもう少し釣って行きませんか?」
とギースが甘えたように見つめながら言うので、シャッケを追加で五匹釣り上げ、その時にたまたま釣れた「ジーマ」という魚もカバンに突っ込んでおいた。
「ジーマ」は風船のように丸いフォルムの魚で、食えるのかすら正直分からないのだが、シャンテは好きらしいのでとりあえず持っていくことにした。
森の中をひたすら歩き、日が沈んできたので適当な場所を見つけて野宿。
夕飯はシャッケとシシーガと野菜を挟んだサンドイッチ。朝の分までまとめて作っておいたのだが、気が付けばシャンテとギースが全部食べていた。
今日も風呂はなしなので、寝袋の中で猫になり毛繕いを行う。
本当にこれをやるだけで体中がスッキリと綺麗になるんだから便利なもんだ。
しっかり寝て、起きて飯を食べ、森を抜けるべく出発した。
「少しくらい強そうなやつと戦ってみたかったな」
ポロッとこぼした言葉を聞き逃さなかったシャンテにより、ドスベアーと戦うはめになってしまった。
『ほれ、戦いたかったのじゃろ?』
どうやってなのか知らないがドスベアーを呼び寄せたシャンテは若干不機嫌そうである。
猫になってドスベアーと対峙する。
威嚇のレベルが上がったのか「フシャーーー!」とやったら少し逃げ腰になったドスベアー。
『ずっと思っておったのじゃが、ネコには牙があるのになぜ使わんのじゃ?』
戦闘中にそんなことを言われたが、正直魔物に噛みつきたいとは思えない。
あいつらの血は臭いし、たまに毒のあるやつもいるから危険性もある。
何より血肉が口の中に入ってくるかもなんて嫌すぎる。
それを伝えたらますます呆れられてしまった。
『パンチと爪だけでは今後厳しくなるぞ?』
そんなことは言われなくても分かっている。
猫の姿でも魔法が使えたりすれば楽だろうが、どう頑張ってみても魔法なんて使えないし、この姿だから繰り出せる技なんて本当に猫パンチと爪攻撃しかない。
威嚇や砂かけは先手を取るための小技にしかならない。
『アースには魔力がないからのぉ。魔力の方は眠っておるもう片方が全部持っておるからの』
俺の中で眠っているというもう一つの魂が魔法系統は全て持っていってしまったらしい。
少しくらい残していてくれても良かったのにと恨めしく思うが、こればかりはどうしようもない。
きっとあちらさんも「私が魔法を使うの!」と魔力を全部奪っていったはずもないし、俺には生まれつき魔法の才能はなかったのだと諦めるほかない。
少しずつレベルアップしているようで、前に戦った時よりはダメージを与えられている。
きっと倒せると思うと、新しく技が出せないかと試してみたくなり、背後から駆け寄り首に爪を立ててしがみつき、後ろ足で連続的にキックをしてみた。
最初は何ともなさそうだったが、二十回ほどキックを続けていたらドスベアーが「グホッ」と変な声を出した。
『効き始めた?』
ダメージを食らったからなのか、それまでは首に立てられている爪をどうにかしようと動いていたドスベアーが今度は背中の俺を振り払うように動き始めた。
木に背中を打ちつけようとしたため背中から飛び降り、まだ背中にいると思い込んで木にガンガン背中を打ち付けているドスベアー目掛けて飛び蹴りをしてみた。
気分はドロップキックである。
頭を目掛けて飛び蹴りしたのだが、キックは目測が甘くなるようで顎の少し下に綺麗に入った。
いい場所に入ったのか足に力が入らなくなったようで膝をついたドスベアー。
人間でもパンチを顎に食らうと脳震盪を起こすことがあるが、ドスベアーもそうなるようだ。
気絶まではしていないが、脳が揺れたらしく足腰に力が入らず立ち上がれない。
ここぞとばかりに何度も飛び蹴りをしていくと、少しずつ精度も威力も上がってきたのが分かる。
猫パンチほどの威力も速度も出ないが技の一つに加えられそうである。
ふらつきながらもようやく立ち上がったドスベアーは満身創痍なようだが、手負いの状態ほど油断が出来ないため、畳み掛けるように猫パンチ、引っ掻き、キックを連続で繰り出した。
最初の猫パンチでほぼ勝敗は決まったようなものだったが、念のためである。
ドサッと音を立ててドスベアーはその場に倒れた。
『勝った!』
『途中、遊んでおったようじゃがの』
『遊んでたんじゃねぇよ! 新しい技を編み出してたんだよ!』
『後ろ足で蹴ることがか?』
シャンテには馬鹿にされたが、俺にとっては重要なことである。
ドスベアーは一部の愛好家によりその肉が愛されているため、血抜きをしてカバンに放り込んだ。
毒のある爪は薬となるため別に採取した。
ドスベアー戦で時間をかけすぎたのか、気付くと昼時になっていたため、その場で昼食をとることになった。
『ジーマが食いたい』
シャンテがそういうのでシャンテにはジーマを提供した。
『ジーマはの、ゼリー状の肉質がプルンとしており美味なのじゃ! 少々痺れるがの、それもまた良きじゃ』
ジーマには痺れを起こす成分が入っているらしい。食わなくて良かった。
俺とギースの昼食はウサータやシシーガ、シャッケや野菜を串に刺して焼いた串焼きである。
二人分を用意していたら『我のは! 我も食うのじゃ!』とシャンテが騒ぎ出したので、結局三人分用意することになった。
味付けをして焼くだけなので簡単だし、自分の肉は自分で好きな具合まで育てられるため各々楽しめる。
牛肉ならレアでも食えるが、魔物の肉はしっかり火を通さないと怖くて食えない俺はガッツリ焼いたが、ギースはレア状態で食っていた。
シャンテもレアが好みなようだった。
昼食を済ませ森の中を歩いているとやっと出口が見えてきた。
森を抜けると草原の奥の方に麦畑が広がっているのが見えた。
「ここからなら猫で移動する方が早そうだな」
ギースもジャンプ移動の方が速度は早い。
森の中では木々が邪魔をして歩く方が楽そうだったが、ここからならギースの速度に合わせて移動する方が早いだろう。
「あら? あなた! ちょっとお待ちなさい!」
そんな俺に誰かが声を掛けてきた。この声は……。
「また食べたいのでもう少し釣って行きませんか?」
とギースが甘えたように見つめながら言うので、シャッケを追加で五匹釣り上げ、その時にたまたま釣れた「ジーマ」という魚もカバンに突っ込んでおいた。
「ジーマ」は風船のように丸いフォルムの魚で、食えるのかすら正直分からないのだが、シャンテは好きらしいのでとりあえず持っていくことにした。
森の中をひたすら歩き、日が沈んできたので適当な場所を見つけて野宿。
夕飯はシャッケとシシーガと野菜を挟んだサンドイッチ。朝の分までまとめて作っておいたのだが、気が付けばシャンテとギースが全部食べていた。
今日も風呂はなしなので、寝袋の中で猫になり毛繕いを行う。
本当にこれをやるだけで体中がスッキリと綺麗になるんだから便利なもんだ。
しっかり寝て、起きて飯を食べ、森を抜けるべく出発した。
「少しくらい強そうなやつと戦ってみたかったな」
ポロッとこぼした言葉を聞き逃さなかったシャンテにより、ドスベアーと戦うはめになってしまった。
『ほれ、戦いたかったのじゃろ?』
どうやってなのか知らないがドスベアーを呼び寄せたシャンテは若干不機嫌そうである。
猫になってドスベアーと対峙する。
威嚇のレベルが上がったのか「フシャーーー!」とやったら少し逃げ腰になったドスベアー。
『ずっと思っておったのじゃが、ネコには牙があるのになぜ使わんのじゃ?』
戦闘中にそんなことを言われたが、正直魔物に噛みつきたいとは思えない。
あいつらの血は臭いし、たまに毒のあるやつもいるから危険性もある。
何より血肉が口の中に入ってくるかもなんて嫌すぎる。
それを伝えたらますます呆れられてしまった。
『パンチと爪だけでは今後厳しくなるぞ?』
そんなことは言われなくても分かっている。
猫の姿でも魔法が使えたりすれば楽だろうが、どう頑張ってみても魔法なんて使えないし、この姿だから繰り出せる技なんて本当に猫パンチと爪攻撃しかない。
威嚇や砂かけは先手を取るための小技にしかならない。
『アースには魔力がないからのぉ。魔力の方は眠っておるもう片方が全部持っておるからの』
俺の中で眠っているというもう一つの魂が魔法系統は全て持っていってしまったらしい。
少しくらい残していてくれても良かったのにと恨めしく思うが、こればかりはどうしようもない。
きっとあちらさんも「私が魔法を使うの!」と魔力を全部奪っていったはずもないし、俺には生まれつき魔法の才能はなかったのだと諦めるほかない。
少しずつレベルアップしているようで、前に戦った時よりはダメージを与えられている。
きっと倒せると思うと、新しく技が出せないかと試してみたくなり、背後から駆け寄り首に爪を立ててしがみつき、後ろ足で連続的にキックをしてみた。
最初は何ともなさそうだったが、二十回ほどキックを続けていたらドスベアーが「グホッ」と変な声を出した。
『効き始めた?』
ダメージを食らったからなのか、それまでは首に立てられている爪をどうにかしようと動いていたドスベアーが今度は背中の俺を振り払うように動き始めた。
木に背中を打ちつけようとしたため背中から飛び降り、まだ背中にいると思い込んで木にガンガン背中を打ち付けているドスベアー目掛けて飛び蹴りをしてみた。
気分はドロップキックである。
頭を目掛けて飛び蹴りしたのだが、キックは目測が甘くなるようで顎の少し下に綺麗に入った。
いい場所に入ったのか足に力が入らなくなったようで膝をついたドスベアー。
人間でもパンチを顎に食らうと脳震盪を起こすことがあるが、ドスベアーもそうなるようだ。
気絶まではしていないが、脳が揺れたらしく足腰に力が入らず立ち上がれない。
ここぞとばかりに何度も飛び蹴りをしていくと、少しずつ精度も威力も上がってきたのが分かる。
猫パンチほどの威力も速度も出ないが技の一つに加えられそうである。
ふらつきながらもようやく立ち上がったドスベアーは満身創痍なようだが、手負いの状態ほど油断が出来ないため、畳み掛けるように猫パンチ、引っ掻き、キックを連続で繰り出した。
最初の猫パンチでほぼ勝敗は決まったようなものだったが、念のためである。
ドサッと音を立ててドスベアーはその場に倒れた。
『勝った!』
『途中、遊んでおったようじゃがの』
『遊んでたんじゃねぇよ! 新しい技を編み出してたんだよ!』
『後ろ足で蹴ることがか?』
シャンテには馬鹿にされたが、俺にとっては重要なことである。
ドスベアーは一部の愛好家によりその肉が愛されているため、血抜きをしてカバンに放り込んだ。
毒のある爪は薬となるため別に採取した。
ドスベアー戦で時間をかけすぎたのか、気付くと昼時になっていたため、その場で昼食をとることになった。
『ジーマが食いたい』
シャンテがそういうのでシャンテにはジーマを提供した。
『ジーマはの、ゼリー状の肉質がプルンとしており美味なのじゃ! 少々痺れるがの、それもまた良きじゃ』
ジーマには痺れを起こす成分が入っているらしい。食わなくて良かった。
俺とギースの昼食はウサータやシシーガ、シャッケや野菜を串に刺して焼いた串焼きである。
二人分を用意していたら『我のは! 我も食うのじゃ!』とシャンテが騒ぎ出したので、結局三人分用意することになった。
味付けをして焼くだけなので簡単だし、自分の肉は自分で好きな具合まで育てられるため各々楽しめる。
牛肉ならレアでも食えるが、魔物の肉はしっかり火を通さないと怖くて食えない俺はガッツリ焼いたが、ギースはレア状態で食っていた。
シャンテもレアが好みなようだった。
昼食を済ませ森の中を歩いているとやっと出口が見えてきた。
森を抜けると草原の奥の方に麦畑が広がっているのが見えた。
「ここからなら猫で移動する方が早そうだな」
ギースもジャンプ移動の方が速度は早い。
森の中では木々が邪魔をして歩く方が楽そうだったが、ここからならギースの速度に合わせて移動する方が早いだろう。
「あら? あなた! ちょっとお待ちなさい!」
そんな俺に誰かが声を掛けてきた。この声は……。
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