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「ウラリー・インファンティーノです。好きな食べ物はイチゴです」
い、今時の、この世界の自己紹介ってこんな感じなの?本当に?
攻略対象であるマヌエル・ブラーガことブラーガ先生が黒板に名前、好きな食べ物など。と書いた為に淑女クラスの自己紹介はこんな感じで進んでいた。
確かマヌエルは主人公のクラス担任じゃなかった?
金髪碧眼の実は王子なリリナ姫の腹違いの兄である長兄マヌエルはしかし、ブラーガの姓を名乗り面倒な後継者争いが起きないようにと母方の爵位を継いでいる。なのでブラーガ伯爵家は今、侯爵家に陞爵(しょうしゃく)となり、祖父亡き後、ブラーガ侯爵を名乗っている。
そんな元王子様なマヌエルは主人公のクラス担任じゃなかったかな?
私が居るのは淑女の教育は終わっているのでワンランク上の淑女を!ってガチな淑女教育のクラスだ。
テストや王宮での晩餐会や夜会なんかの本番実習がいっぱいある。
一応、王妃様が主催で国内の奥様方が主に招かれて、指導までして下さる有難くも恐ろしい本番であり、実習をさせてもらえるらしくて、上位貴族や王族の伴侶にと上を目指す令嬢達が身につけなければならないマナーの授業が満載のクラスである。
だからここには主人公は居ない。
なぜなら、このクラスだと忙しくて攻略対象を落としてる暇がないのだ。
ついでにぶっちゃけ金が湯水の如く無くなるクラスで、伯爵家の令嬢な主人公は没落寸前である為、必要な夜会用のドレスが準備出来ない。
それにしたって、公爵様め!なぜこのクラスにしたのだ!
クラスは親が希望をだし、入試で問題無いなら希望クラスに。後は人数調整での振り落としなどでクラス分けされる。
確かウラリーの父は娘に無関心だから希望欄は白紙、希望無しだったはずだ。
おかしいな。
「では、明日からは二人ペアとなり騎士科と魔術科、それから一般教養の奴らは上達してきたら、お前達の相手をさせるから。まぁ、頑張れ」
ぼんやりしていたウラリーは『まぁ、頑張れ』のみ聞いて首を傾げた。
なんの話しかしら?まぁいいや。
ウラリー、あんまり人の話は聞いて無いのがデフォルトの、失礼な能天気娘である。
残念極まりない娘、ウラリーは明日、一人ペアを見つけられず涙目で慌てる羽目になる事も知らず……
その日は兄ラファエルがやって来る!と、そればかりに気を取られていたのだった。
「ウラリー、終わったかい?」
兄ラファエルが教室に来た瞬間に周囲に緊張が走った。
ついでにウラリーもビクっとなった。
だと言うのに、まるで物音もしない教室になぜこの兄は違和感を覚えないのか。
「うん、今…終わりました」
「じゃ、帰ろうか」
サッときて手を繋がれた。
なるほど、そう言えば朝、エスコートなんて要らない、大丈夫って言ったそばからすっ転んでしまったもんね。
インファンティーノ公爵家になるべく恥をかかせないようにしなくちゃ。
でも、出来れば手は離して欲しい!
みんなのチラチラがギラギラになってない?!
翌日、公爵家の見目麗しい兄妹の話題でもちきりだったがウラリーはそれどころではない。
どうしよう!
私ってばぼっちだわ!
ダンスの授業が後5分で始まる。
クラスは全員で29名。本来は28だったとか知った事では無い。現に一人多い……あれ?私が無理やりこのクラスに来たんじゃないよね?違うよね?ま、まぁいいわ。
そう!だから、二人ペアだともれなくぼっちが一名出来上がるのだ。
カラン、コーンと鈴がなり、ダンスホールには壁側に騎士科の生徒。
窓側に淑女クラスの生徒が並び、先生が入って来ると一礼して合同授業が始まった。
騎士科は最終学年の人達でみんな18歳前後。みんな異様に背が高く、見目麗しい。この学年はなぜか美形率が高くて有名な学年なのだ。
そんな訳で、淑女クラスの令嬢達はかなり本気でガン見しており、みんな真剣に騎士科の生徒を見ていた。
ただ一人、ウラリーを除いて。
ウラリーは今や涙目で淑女クラスの令嬢達を、そのペアの令嬢と繋がれた手を絶望の眼差しで見ていた。
い、いない。ペアじゃない子が誰も居ないわ!
私だけがぼっちだなんて!
うわぁぁぁん!なんでよー!!
い、今時の、この世界の自己紹介ってこんな感じなの?本当に?
攻略対象であるマヌエル・ブラーガことブラーガ先生が黒板に名前、好きな食べ物など。と書いた為に淑女クラスの自己紹介はこんな感じで進んでいた。
確かマヌエルは主人公のクラス担任じゃなかった?
金髪碧眼の実は王子なリリナ姫の腹違いの兄である長兄マヌエルはしかし、ブラーガの姓を名乗り面倒な後継者争いが起きないようにと母方の爵位を継いでいる。なのでブラーガ伯爵家は今、侯爵家に陞爵(しょうしゃく)となり、祖父亡き後、ブラーガ侯爵を名乗っている。
そんな元王子様なマヌエルは主人公のクラス担任じゃなかったかな?
私が居るのは淑女の教育は終わっているのでワンランク上の淑女を!ってガチな淑女教育のクラスだ。
テストや王宮での晩餐会や夜会なんかの本番実習がいっぱいある。
一応、王妃様が主催で国内の奥様方が主に招かれて、指導までして下さる有難くも恐ろしい本番であり、実習をさせてもらえるらしくて、上位貴族や王族の伴侶にと上を目指す令嬢達が身につけなければならないマナーの授業が満載のクラスである。
だからここには主人公は居ない。
なぜなら、このクラスだと忙しくて攻略対象を落としてる暇がないのだ。
ついでにぶっちゃけ金が湯水の如く無くなるクラスで、伯爵家の令嬢な主人公は没落寸前である為、必要な夜会用のドレスが準備出来ない。
それにしたって、公爵様め!なぜこのクラスにしたのだ!
クラスは親が希望をだし、入試で問題無いなら希望クラスに。後は人数調整での振り落としなどでクラス分けされる。
確かウラリーの父は娘に無関心だから希望欄は白紙、希望無しだったはずだ。
おかしいな。
「では、明日からは二人ペアとなり騎士科と魔術科、それから一般教養の奴らは上達してきたら、お前達の相手をさせるから。まぁ、頑張れ」
ぼんやりしていたウラリーは『まぁ、頑張れ』のみ聞いて首を傾げた。
なんの話しかしら?まぁいいや。
ウラリー、あんまり人の話は聞いて無いのがデフォルトの、失礼な能天気娘である。
残念極まりない娘、ウラリーは明日、一人ペアを見つけられず涙目で慌てる羽目になる事も知らず……
その日は兄ラファエルがやって来る!と、そればかりに気を取られていたのだった。
「ウラリー、終わったかい?」
兄ラファエルが教室に来た瞬間に周囲に緊張が走った。
ついでにウラリーもビクっとなった。
だと言うのに、まるで物音もしない教室になぜこの兄は違和感を覚えないのか。
「うん、今…終わりました」
「じゃ、帰ろうか」
サッときて手を繋がれた。
なるほど、そう言えば朝、エスコートなんて要らない、大丈夫って言ったそばからすっ転んでしまったもんね。
インファンティーノ公爵家になるべく恥をかかせないようにしなくちゃ。
でも、出来れば手は離して欲しい!
みんなのチラチラがギラギラになってない?!
翌日、公爵家の見目麗しい兄妹の話題でもちきりだったがウラリーはそれどころではない。
どうしよう!
私ってばぼっちだわ!
ダンスの授業が後5分で始まる。
クラスは全員で29名。本来は28だったとか知った事では無い。現に一人多い……あれ?私が無理やりこのクラスに来たんじゃないよね?違うよね?ま、まぁいいわ。
そう!だから、二人ペアだともれなくぼっちが一名出来上がるのだ。
カラン、コーンと鈴がなり、ダンスホールには壁側に騎士科の生徒。
窓側に淑女クラスの生徒が並び、先生が入って来ると一礼して合同授業が始まった。
騎士科は最終学年の人達でみんな18歳前後。みんな異様に背が高く、見目麗しい。この学年はなぜか美形率が高くて有名な学年なのだ。
そんな訳で、淑女クラスの令嬢達はかなり本気でガン見しており、みんな真剣に騎士科の生徒を見ていた。
ただ一人、ウラリーを除いて。
ウラリーは今や涙目で淑女クラスの令嬢達を、そのペアの令嬢と繋がれた手を絶望の眼差しで見ていた。
い、いない。ペアじゃない子が誰も居ないわ!
私だけがぼっちだなんて!
うわぁぁぁん!なんでよー!!
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