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きゅう
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「ルーカ様ぁ!!」
可憐な声にミーアは後ろを振り向いて息を呑む。
幼さの残る可愛らしいご令嬢の後ろにチピーが立っていたのだ。チピーはけれど苦虫を噛み潰したようにミーアを見てからリリアを見て更に顔を歪めた。
「えっと、どちらのご令嬢かな?はじめまして。」
「…そ、そんな。わたくし先日街で不逞の輩に無理やり手を握られていた所を助けて頂いたパオラですわ!」
「……んー、人助けはけっこうしちゃってるからいちいち覚えていないんだよね。でも、ご無事で何より、また街に行く時は気を付けてね。」
ルーカは素っ気なく早口で言うと友人を見つけたらしく手を軽く上げる。
「ミーア、行こうか。じゃあリリア、また後で」
「ま、待ってください!その娘は…」
パオラはギョロリとミーアを見てルーカの腕に縋るように手を添えて訊ねる。パオラとしては親戚の単なる子供で仕方なく子守をしていると言って貰いたかった。もちろん口には出さないが、自分に見向きもしないルーカにも不満がある。
「俺のミーアだよ。とってもお利口さんなんだ。…可愛い…でしょう?」
パオラが目を剥いて、次いでミーアを嫉妬と怒り混じりの眼差しで見ているがルーカは素知らぬ顔をし、リリアやミーアには意味深に笑って歩き出した。
あれ、可愛いの後にペットと付きそうなニュアンスだったような?と思ったのはミーアだけだろうか?なんだか納得のいかないミーアであった。
「まさか…その娘がうちのパオラよりも可愛いだなんて、いくら何でも酷い冗談ですわ?それとも、ルーカ様はわたくしが誰かご存知なかったのかしら?わたくしは、ザヌーゾ伯爵の妻、チピー・ザヌーゾですわよ。」
伯爵を強調するチピーにリリアは冷ややかな眼差しを向けてルーカの前にすっと現れた。
「お久しぶりね?ザヌーゾ伯爵夫人。」
「…お久しぶりです。ヴェロッティ公爵夫人」
リリアの冷たい眼差しに射抜かれたチピーが居心地悪そうに俯きギリッと歯噛みしている。
先程あれだけ睨みつけておいて今更気づいたとでも言うのだろうか?そこにいた自分よりも爵位の高い、公爵夫人であるリリアの存在に。
リリアは美しい笑みを向けて口を開いた。
「あら、可笑しいわね。確かザヌーゾ伯爵家は今や財政難で災害により氾濫した河川の工事費用や領地整備費用を王宮に援助して欲しいと嘆願書が届いていると伺っておりましたけれど。こんな素晴らしいドレスを仕立てた上に遠方まで茶会にいらっしゃる余裕がおありのようね?では、そのように財務大臣である主人にもお伝えしておくわ。」
にっこり笑うその瞳はメラメラと激しい怒りで燃えている。
いったい何事かと周囲が見ている事に気づきチピーは顔色を悪くしながらも忌々しげにリリアを睨むが、パオラは照れたように顔を赤らめ
「わたくしのドレスが素晴らしいと褒めて下さって嬉しい!ありがとうございます!」
などと見当はずれの礼を言っている。
「まぁ、確かにこの娘のドレスも可愛いけど、ミーアのドレスが一番可愛いからね」と空気を読まなルーカがにこにことパオラに笑いかけてミーアを見せびらかす。
カオスだわ。
ミーアはパオラから敵意に満ちた眼差しを送られ白目を剥きそうになっていた。
帰りたいと死ぬほど思いながらにっこり笑ってごまかしてみる。
ついでにルーカの腕をつねっておいた。
「…わたくしよりも可愛いドレスを着てるなんて……許せないわ」
ボソッと呟くパオラの言葉にチピーが漸くミーアのドレスを見た。
「…まさか、そのドレスは幻のユニコーンのドレス…」
「あら、本当だわ。ルーカ叔父様が昔…もがっ」
なぜかルーカがリリアの口を素早く塞いだ。
それにしても『ユニコーンのドレス』かぁ…チピーの呟きにミーアはなるほど確かにスカート部分の裾の方にはユニコーンの素晴らしい刺繍がある。
ユニコーンは『真実の審判』と言う称号を持つ聖獣だ。金の鬣の水色のユニコーンをまじまじと見てミーアは、あれ?ともう一度、更に良く観察する。
おや?ユニコーンの瞳が金に見える…青だったよね?
気のせいかな?
「ああ、忌々しい!なぜお前のような卑しい小娘がルーカ様に取り入っているの!!」
「…え?」
いきなりだった。
先程までの何とか気品と優雅さを保とうとしていたチピーがいきなり金切り声で叫び出したのだ。
それには言われたミーアだけでは無く周囲の者達も驚き振り返っていた。
「…お、お母様?」
戸惑った様にパオラが呼びかけるがチピーは聞こえない様子でミーアを睨みつける。
「忌々しいその紫の瞳!美しさに付け上がったカトリーヌにそっくりだわ!さっさとルーカ様から離れなさい!ルーカ様にはパオラがお似合いなのよ!間違ってもお前では無いわ!お前もあの女の様にわたくしの下僕達に言って殺すわよ!」
ざわざわと周囲が騒ぎ出すがなぜかチピーは止まらず聞いてもいない、今までチピーが手がけた悪事を口に出す。
「そうよ、あの女にしたみたいにでっち上げた悪事をお前の仕業だとあの方と下僕達に証言させるだけで、みんなわたくしの思うまま邪魔者は居なくなるのよ。わたくしの魅了の魔法で全てが意のままに…」
「やっぱり…カトリーヌを陥れたのは貴方だったのね?ねぇ?教えてくださらない?あの方ってどなたなの?」
「…あの方はわたくしのアベルディン様に決まって……ぐぁ、ギッ………ァ…」
喋っている途中でいきなり泡を吹いて悶え倒れるチピーを周囲の給仕達が取り押さえてミーアは困惑した。
いったい何が起こっているの?
アベルディン様?
悪意の王子と昔呼ばれた、今は幽閉されているあの、アベルディン王弟殿下?
「付き合わせてゴメンよ、ミーア。もう目的は果たしたし、義理も返した。後は美味しいお菓子でも食べようか。さぁおいで。」
手を引かれるままミーアはルーカの後を歩いた。
可憐な声にミーアは後ろを振り向いて息を呑む。
幼さの残る可愛らしいご令嬢の後ろにチピーが立っていたのだ。チピーはけれど苦虫を噛み潰したようにミーアを見てからリリアを見て更に顔を歪めた。
「えっと、どちらのご令嬢かな?はじめまして。」
「…そ、そんな。わたくし先日街で不逞の輩に無理やり手を握られていた所を助けて頂いたパオラですわ!」
「……んー、人助けはけっこうしちゃってるからいちいち覚えていないんだよね。でも、ご無事で何より、また街に行く時は気を付けてね。」
ルーカは素っ気なく早口で言うと友人を見つけたらしく手を軽く上げる。
「ミーア、行こうか。じゃあリリア、また後で」
「ま、待ってください!その娘は…」
パオラはギョロリとミーアを見てルーカの腕に縋るように手を添えて訊ねる。パオラとしては親戚の単なる子供で仕方なく子守をしていると言って貰いたかった。もちろん口には出さないが、自分に見向きもしないルーカにも不満がある。
「俺のミーアだよ。とってもお利口さんなんだ。…可愛い…でしょう?」
パオラが目を剥いて、次いでミーアを嫉妬と怒り混じりの眼差しで見ているがルーカは素知らぬ顔をし、リリアやミーアには意味深に笑って歩き出した。
あれ、可愛いの後にペットと付きそうなニュアンスだったような?と思ったのはミーアだけだろうか?なんだか納得のいかないミーアであった。
「まさか…その娘がうちのパオラよりも可愛いだなんて、いくら何でも酷い冗談ですわ?それとも、ルーカ様はわたくしが誰かご存知なかったのかしら?わたくしは、ザヌーゾ伯爵の妻、チピー・ザヌーゾですわよ。」
伯爵を強調するチピーにリリアは冷ややかな眼差しを向けてルーカの前にすっと現れた。
「お久しぶりね?ザヌーゾ伯爵夫人。」
「…お久しぶりです。ヴェロッティ公爵夫人」
リリアの冷たい眼差しに射抜かれたチピーが居心地悪そうに俯きギリッと歯噛みしている。
先程あれだけ睨みつけておいて今更気づいたとでも言うのだろうか?そこにいた自分よりも爵位の高い、公爵夫人であるリリアの存在に。
リリアは美しい笑みを向けて口を開いた。
「あら、可笑しいわね。確かザヌーゾ伯爵家は今や財政難で災害により氾濫した河川の工事費用や領地整備費用を王宮に援助して欲しいと嘆願書が届いていると伺っておりましたけれど。こんな素晴らしいドレスを仕立てた上に遠方まで茶会にいらっしゃる余裕がおありのようね?では、そのように財務大臣である主人にもお伝えしておくわ。」
にっこり笑うその瞳はメラメラと激しい怒りで燃えている。
いったい何事かと周囲が見ている事に気づきチピーは顔色を悪くしながらも忌々しげにリリアを睨むが、パオラは照れたように顔を赤らめ
「わたくしのドレスが素晴らしいと褒めて下さって嬉しい!ありがとうございます!」
などと見当はずれの礼を言っている。
「まぁ、確かにこの娘のドレスも可愛いけど、ミーアのドレスが一番可愛いからね」と空気を読まなルーカがにこにことパオラに笑いかけてミーアを見せびらかす。
カオスだわ。
ミーアはパオラから敵意に満ちた眼差しを送られ白目を剥きそうになっていた。
帰りたいと死ぬほど思いながらにっこり笑ってごまかしてみる。
ついでにルーカの腕をつねっておいた。
「…わたくしよりも可愛いドレスを着てるなんて……許せないわ」
ボソッと呟くパオラの言葉にチピーが漸くミーアのドレスを見た。
「…まさか、そのドレスは幻のユニコーンのドレス…」
「あら、本当だわ。ルーカ叔父様が昔…もがっ」
なぜかルーカがリリアの口を素早く塞いだ。
それにしても『ユニコーンのドレス』かぁ…チピーの呟きにミーアはなるほど確かにスカート部分の裾の方にはユニコーンの素晴らしい刺繍がある。
ユニコーンは『真実の審判』と言う称号を持つ聖獣だ。金の鬣の水色のユニコーンをまじまじと見てミーアは、あれ?ともう一度、更に良く観察する。
おや?ユニコーンの瞳が金に見える…青だったよね?
気のせいかな?
「ああ、忌々しい!なぜお前のような卑しい小娘がルーカ様に取り入っているの!!」
「…え?」
いきなりだった。
先程までの何とか気品と優雅さを保とうとしていたチピーがいきなり金切り声で叫び出したのだ。
それには言われたミーアだけでは無く周囲の者達も驚き振り返っていた。
「…お、お母様?」
戸惑った様にパオラが呼びかけるがチピーは聞こえない様子でミーアを睨みつける。
「忌々しいその紫の瞳!美しさに付け上がったカトリーヌにそっくりだわ!さっさとルーカ様から離れなさい!ルーカ様にはパオラがお似合いなのよ!間違ってもお前では無いわ!お前もあの女の様にわたくしの下僕達に言って殺すわよ!」
ざわざわと周囲が騒ぎ出すがなぜかチピーは止まらず聞いてもいない、今までチピーが手がけた悪事を口に出す。
「そうよ、あの女にしたみたいにでっち上げた悪事をお前の仕業だとあの方と下僕達に証言させるだけで、みんなわたくしの思うまま邪魔者は居なくなるのよ。わたくしの魅了の魔法で全てが意のままに…」
「やっぱり…カトリーヌを陥れたのは貴方だったのね?ねぇ?教えてくださらない?あの方ってどなたなの?」
「…あの方はわたくしのアベルディン様に決まって……ぐぁ、ギッ………ァ…」
喋っている途中でいきなり泡を吹いて悶え倒れるチピーを周囲の給仕達が取り押さえてミーアは困惑した。
いったい何が起こっているの?
アベルディン様?
悪意の王子と昔呼ばれた、今は幽閉されているあの、アベルディン王弟殿下?
「付き合わせてゴメンよ、ミーア。もう目的は果たしたし、義理も返した。後は美味しいお菓子でも食べようか。さぁおいで。」
手を引かれるままミーアはルーカの後を歩いた。
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