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優秀な子種?

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入学して一年。二年になり、クラスが変わった事でようやく、コンスタンティナに友人が出来た。2年間ずっとぼっちかと戦々恐々としていたコンスタンティナにとって泣くほど嬉しい出来事だった。


「ねぇ、コンスタンティナ様!ぶっちゃけ、フロヒオン殿下が婚約者じゃ無かったとして。例えば、の話ですからね?くれぐれも殿下にはご内密にお願いしますね?!
ぶっちゃけ、殿下以外のご令息達の中でどなたが優秀な子種だと思います?」

ぶふぉー!?

ゲホゲホ!

「……ちょっと!エリザベス様?!な、なん、なんて質問を」

「えー!?いいじゃありませんか。同じ女の子同士だし。腹を割って話そうって友人となった男の子達は言うそうですわよ?」

そ、そうか。いきなり防御魔法使うから何事かと思ったら。女の子同士ってこんな感じなのね。

でも子種って………

コンスタンティナは死んだ目をしながらもエリザベスの質問を考えていた。

「……うーん、そうですわねぇ。フロヒオン様以外の優秀な種馬ねぇ…」

「……コンスタンティナ様もわたくしとどっこいどっこいだと思いますわ」

「え?何か言いまして?」

「いいえ?」

うん。ダヨネ?

「あっ!そう言えば今度、この学園の卒業生達が参加される武術大会に隣国の聖騎士様がいらっしゃるとか」

聖騎士。うん、その響き良いわ。なんかこう。良いわ。

「あぁ、確かマカーリオ王国の公爵家次男の、お名前は何でしたかしら?」

「ダヴィデ・ロラァ様よ。確か抜群の運動神経に剣技も素晴らしくて。何より美男子で精力がありそうだし、優秀な種馬候補よ?しかも高位貴族で聖騎士様だなんてとても狙い目よね?」

高位の貴族令息はこの学園を卒業すると騎士や文官などの専門の学園に上がる。
そこを卒業すると後は仕事に就いて、もしくは爵位を継ぐ勉強をして─
となる為騎士様以外の殿方で身体を鍛える機会のある人はそれほど多くない。

嗜みとして剣を習う方もいるだろうけれど、体力的にはやっぱり本職には適わないだろう。

体力と精力と子作りとを繋げて考えるなら騎士は良い種馬だと思う。

エリザベスの身分で考えるなら隣国の聖騎士であるダヴィデ様が一押しかしら?
エリザベスは侯爵家のご令嬢で金髪碧眼の美少女だ。垂れ気味なおっきな瞳をしていて、華奢な顔のパーツは美少女が更に可憐に見える。エリザベスは高位貴族の令嬢やご婦人方によく見られるあの、厚化粧をしていなかった。する必要が無かったのだ。それくらいとんでも無く可愛らしいのだ。
そんなエリザベスに迫られたらどんな男もひとたまりもないだろう。

それにしても……ラッキーな男である。ダヴィデ様……ダヴィデ…いやなんでもないですわ!

ちなみにダヴィデ様はあの〇〇像の様な感じでは無くてもう少しガタイがよくてマッチョな武人って雰囲気らしいけど…

「良いですわね…最高の子種ゲットの為に当日はダヴィデ様のお世話係になって頑張りますわ!」

武術大会の当日は案内や救護、貴賓のお世話や選手のお世話、などなど学園の生徒や○○貴婦人の会のメンバーなどの中から武術大会実行委員のお手伝いなどをして下さる方を募集している。
やはり案内やお世話をしてくれるのは美しい女性が、などとこだわらずに男子生徒達にも呼びかければ喜んで参加する人達だって居そうなのに。

そんな訳で、毎回人員不足らしいがコンスタンティナはできるだけ武術大会を最初から最後まで最前列で、被り付きで見たい派なのでそちらはスルーの予定だ。

いや、そんな事よりも…

「エリザベス様、子種の前に本人を!ダヴィデ様を捕縛…あっ、違いますわ!えっと、ダヴィデ様を虜にするのを忘れないでくださいませね!」

「ふふっ任せて!良い知らせを期待していてね!」

私達はちょっと音量を落として、クスクス笑って話しをしていた。

そんな私達をヤツがじっとり見ていたのに全く気付かず。


逃げてぇ!ダヴィデ様、逃げてぇ!

とコンスタンティナの中の成也の部分が言っていたがコンスタンティナはニンマリと笑っていた。

美形とはコンスタンティナの愛する可愛らしい美少女達の極上の餌である。

美少女達は美形に惚れて美しくなり、美形に愛されて艶を増すのだ。
きっとその内エリザベスもお肌つやつやでダヴィデ様の惚気話を蕩けた顔で語ってくれるんだわ。

ふふっ。


「おや、コンスタンティナ。ご機嫌だね。
ところでね?先程。コンスタンティナ達のテーブルから『種馬』『ダヴィデ像』『子種』『聖騎士』『素敵』なんて不穏な言葉が聞こえたんだけど?」

「…え?なぜフロヒオン様が学園のカフェに居ますの?」
ダヴィデ像では無くてダヴィデ様ですわよ?なんて指摘する余裕は無かった。

大変だ、冷気が漂っている。

「ごきげんよう、フロヒオン殿下。」
「やぁ、久しぶりだねエリザベス嬢。」

冷や汗をかいてエリザベスが挨拶をするとフロヒオンがにっこりと頷いた。でもその目は笑っていない。

「わ、わたくしはちょっと火急の用事があったのを思い出しましたので席を外させて頂きますわ」
「ええ!?」

引き攣った顔で脱兎のごとく逃げて行くエリザベスの後ろ姿をコンスタンティナは悲愴な顔で見送った。

そして私は一人置いてけぼりをくった。迂闊だった。エリザベスの後を追うように自然に席を立つべきだった。

それにしても、なぜ防御魔法をかけたはずの空間の話をフロヒオン様が知ってるの??

しかし、とある可能性が脳裏をチラつく。それくらいの事チートがあれば朝飯前、余裕ってやつなのでは?
きっとそうだ、この人、非常識なチート野郎だもの。
そう頭を抱えるコンスタンティナはちらりとフロヒオンを見て口を開く。

「ちなみに、防御を一応してたんだけど…」
「うん、知ってる」

解きやがったな!

自分だけ防御の中に意識を飛ばして防御をかけ直しといたから他の人には聞こえてない、だと?一番防御したかった相手はお前だ!

内緒が内緒では無い話。

それ単なる暴露話しだから!
とコンスタンティナは脳内で吠えた。

「で?肝心なこと聴き逃したんだけど『ダヴィデ像』って隣国の聖騎士で武術大会の優勝候補の男だろ?ねぇ、コンスタンティナ?まさか、あいつの『子種』が…欲しいとか、言わないよな?」

目がァァァ!笑って無い!
ヤッバいよね?フロヒオン様、また善行投げうちそうになってない?

「は、話します!」

私は潔くゲロった。

生暖かい眼差しを頂いたけど。
ついでに「早めに結婚しないと俺の苛立ちが治まらないや。」とか意味不な言葉を呟かれたけど。

一応、やつの徳は、善行は投げ捨てられて無いよね?
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