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マリタは抱っこで休憩室になっている一室に連れて来てもらい広々とした室内にある豪奢なベッドにふわりと降ろされたが既に眠りについていてフラヴィオの呆れたように苦笑いをする珍しい表情を見ることは出来無かった。
「お前には女としての警戒心と言うものは無いのか?」
呟く声に答える様にマリタがほにゃりと気の抜けた笑顔を見せた。
ガックリ項垂れるフラヴィオは頭をふり気を取り直しのか微かに笑みを浮かべる。
マリタが起きた時の反応を想像するとそれだけでも楽しかった。
コンコン、とノックが鳴りマリタは夢から覚めギョッとして至近距離にある美しい男の顔を反射的に押し退けた。
「な、なにしてるんですか!フラヴィオ様の変態!」
憤慨するマリタの言葉にフラヴィオの頬が引きつった。
「眠り姫のナイトを務めた私を変態呼ばわりするなんて酷いな。君が無様に舞踏会の会場で居眠りするのを防ぐ為抱き上げてここまで運んできたって言うのに…」
嘆く様に言いながらもマリタの顔の両サイドに手を付き囲っているフラヴィオの顔は楽しげで。何か企んでるのかと思わずマリタが警戒する様なゾクリとする妖しさを含んだ笑顔を向けてきた。
「そ、それは、まぁ。運んでもらって助かったわ。ありがとうございます…」
渋々マリタはチラリと見上げると礼を言った。しかし、言い終わるやいなや不機嫌そうに眉を寄せマリタを囲うように置かれたフラヴィオの腕を見てまたフラヴィオを見やった。
お礼は言ったわよ!だからさっさと退きなさいよ!とマリタの瞳が語っている。
「礼はこれでいい」
いつか聞いたセリフだ。そう脳が理解するより早くフラヴィオがかがみ込みマリタの腕を拘束すると唇が重ねられた。
「やっ…んん!ぁふっ…」
離してと言いたいのにフラヴィオの舌が唇の中に入り込み執拗に舐ってくる口付けに邪魔されて言葉にならない。
「甘い。」
うっとりした様に言ったフラヴィオの色気のある声にマリタの官能が勝手に刺激され身体が熱を帯びはじめる。
マリタの体温が上がりマリタに流れる淫魔の血が甘く淫らな魔力を放ち出した。
「お前の匂い。いやらしい甘さに変わって来たぞマリタ」
「や、耳、やぁ」
耳を食べてもマリタの官能が上がるだけでフラヴィオはなんの効果も得られはしないのに。
マリタがイヤイヤと首をふる。それを見てフラヴィオが面白そうに追い詰める。フラヴィオは甘いデザートの反応が面白くて仕方なかった。そんな中、マリタの溜まった魔力がフラヴィオの不意を突き放たれた。
「ぅおっ!」
と小さく叫びスレスレのところでフラヴィオが膝立ちになりマリタの攻撃を躱した。
ヒュンと飛んで行った攻撃魔法が壁を切断したのを見てフラヴィオの背に冷や汗が滲む。
「もう!油断も隙もあったもんじゃないわ!」
マリタがキッとキツくフラヴィオを睨んだ。
「もう少し油断してくれてても良かったんだぞ」
密かに危なかったと引きつった顔を隠してフラヴィオは言った。
マリタの魔力は実際フラヴィオとあまり変わらない。
師団長ですらフラヴィオよりも少ないのに。
フラヴィオはマリタが侍女に助けを求めるように呼び鈴を鳴らしたのを見てジャケットを羽織った。
「お前には女としての警戒心と言うものは無いのか?」
呟く声に答える様にマリタがほにゃりと気の抜けた笑顔を見せた。
ガックリ項垂れるフラヴィオは頭をふり気を取り直しのか微かに笑みを浮かべる。
マリタが起きた時の反応を想像するとそれだけでも楽しかった。
コンコン、とノックが鳴りマリタは夢から覚めギョッとして至近距離にある美しい男の顔を反射的に押し退けた。
「な、なにしてるんですか!フラヴィオ様の変態!」
憤慨するマリタの言葉にフラヴィオの頬が引きつった。
「眠り姫のナイトを務めた私を変態呼ばわりするなんて酷いな。君が無様に舞踏会の会場で居眠りするのを防ぐ為抱き上げてここまで運んできたって言うのに…」
嘆く様に言いながらもマリタの顔の両サイドに手を付き囲っているフラヴィオの顔は楽しげで。何か企んでるのかと思わずマリタが警戒する様なゾクリとする妖しさを含んだ笑顔を向けてきた。
「そ、それは、まぁ。運んでもらって助かったわ。ありがとうございます…」
渋々マリタはチラリと見上げると礼を言った。しかし、言い終わるやいなや不機嫌そうに眉を寄せマリタを囲うように置かれたフラヴィオの腕を見てまたフラヴィオを見やった。
お礼は言ったわよ!だからさっさと退きなさいよ!とマリタの瞳が語っている。
「礼はこれでいい」
いつか聞いたセリフだ。そう脳が理解するより早くフラヴィオがかがみ込みマリタの腕を拘束すると唇が重ねられた。
「やっ…んん!ぁふっ…」
離してと言いたいのにフラヴィオの舌が唇の中に入り込み執拗に舐ってくる口付けに邪魔されて言葉にならない。
「甘い。」
うっとりした様に言ったフラヴィオの色気のある声にマリタの官能が勝手に刺激され身体が熱を帯びはじめる。
マリタの体温が上がりマリタに流れる淫魔の血が甘く淫らな魔力を放ち出した。
「お前の匂い。いやらしい甘さに変わって来たぞマリタ」
「や、耳、やぁ」
耳を食べてもマリタの官能が上がるだけでフラヴィオはなんの効果も得られはしないのに。
マリタがイヤイヤと首をふる。それを見てフラヴィオが面白そうに追い詰める。フラヴィオは甘いデザートの反応が面白くて仕方なかった。そんな中、マリタの溜まった魔力がフラヴィオの不意を突き放たれた。
「ぅおっ!」
と小さく叫びスレスレのところでフラヴィオが膝立ちになりマリタの攻撃を躱した。
ヒュンと飛んで行った攻撃魔法が壁を切断したのを見てフラヴィオの背に冷や汗が滲む。
「もう!油断も隙もあったもんじゃないわ!」
マリタがキッとキツくフラヴィオを睨んだ。
「もう少し油断してくれてても良かったんだぞ」
密かに危なかったと引きつった顔を隠してフラヴィオは言った。
マリタの魔力は実際フラヴィオとあまり変わらない。
師団長ですらフラヴィオよりも少ないのに。
フラヴィオはマリタが侍女に助けを求めるように呼び鈴を鳴らしたのを見てジャケットを羽織った。
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