【R18】元悪役令嬢の青春

やまだ

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戻ってきた元悪役令嬢

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体育祭、ダートはほぼ全ての競技に参加することになった。私は走る競技に出るだけ。
報酬につられたクラスメイトは同じ競技に出るダートと結構話をするようになって、数人で放課後練習とかしてる。口では行きたくないとか言ってたけど、段々ダートも楽しそうに行くようになった。良かった。

そんなわけでたまに一人の放課後は、リアのお手伝いをしてる。


「グランさん、意外と会えないね」

「たまに進行をチェックしにくるくらいね。でも毎日ちょっとでも顔が見られて嬉しいわ!」

そこで声掛けに行ったりしないで、真面目に仕事してるリア偉いな。

「ディーともこうやってお話しながら準備出来て楽しいわね。委員って思っていたより個人行動ばかりなんだもの」

「他の委員何してんの?」

「他の競技の準備とかね、人数も少ないから」

「てかリア、顔色悪くない?体調悪いんじゃないの」

いつも白いから分かりにくいけど、今日はいつもと違う気がする。
リアは苦笑しながら寝不足なだけだと答えた。

「私不器用だから時間がかかっちゃうのよねぇ」

「ちゃんと寝ないと駄目だよ、放課後はダートが居る時も手伝う。一人寂しいし」

「委員でもないのにごめんね?」

「休日一日開けとけば問題ないってば。こっち全部書いた、もう帰ろう?」

はやく帰って寝かせてあげないと。


「そうねぇ、片付けて帰りましょうか」

「ここの準備室に持ってくだけだよね?私持ってくから休んでな、寮まで送るし」

「ありがとう」

リアが椅子に座ったのを見て、片付ける物を全部収納して準備室まで行く。真面目なのは良いことだけど、無理してまでやらなくていいのに。

運動場を覗いたらダートも丁度終わったところだったので、リアの調子が悪いし次から手伝うことを話して一緒に教室まで戻った。


「……寝てんじゃん」

「だね、起こさない方が良いかな?」

ほんの十分くらいの間にリアは机にうつ伏せて寝てしまっていた。

「起こしてちゃんとベッドに寝かせたがいんじゃね?」


それもそうかと思って、背中を揺すって起こす。
リアが顔を上げて、寝ぼけ眼で私を見た。

「起きた?歩ける?」

「……ディアナ・ノード伯爵令嬢…」
「?!」



もう聞くことがないと思っていた名前を呼ばれて、驚いてリアから手を離す。
体温が一気に下がったような気がする。


「……何を言ってる」

ダートから聞いたことがない程低い声が聞こえた。

「今何つった、お前何?」

冷や汗が出て、鼓動が速くなる。


「あれ…ああ…私は私、今までもこれからもスルド国のコーデリアですわ。申し訳ありません、変な夢に引っ張られてしまいました」

「…夢?」

「ええ、ディーにとてもよく似たディアナ・ノードと言う方が出てくる夢。目覚めてすぐにディーの顔を見てつい口にしてしまったわ」

ダートが眉をひそめて、私の方を見る。
数ヶ月前に一回口にしただけだけど、ダートのことだ。忘れてるわけがない。



「––––ディアナ・ノードが処刑される夢?」

「、ディー?どうして」

「んー、ダートどうしよっか。家に来てもらう?」

「こんなとこで話したくねぇし、妥当だな。コーデリア嬢、オレ達の家に招待されてくんね?」

「え、ええ…光栄です」

「疲れてるのにごめんね、すぐ帰すから」


ダートとリアを連れて家に転移した。
リビングのソファに腰掛けてもらって、飲み物を手渡す。

「私らお茶とか淹れたり出来ないから買ってきたジュースしか出せないけどいいかな」

「いいえ、お構いなく!可愛い家ですわね、やっとお家に入れてもらえてとっても嬉しいわ!」

きらきらニコニコ笑うリアは超かわいいけど、ダートがそわそわしてるから本題にサクッと入る。


「勇者ディーはディアナ・ノードだよ」
「え」

「随分前に多分リアが見たのと同じ夢を見て、怖くなって逃げたんだ。元ノード伯爵家のディアナは私」

「ディーが、あの夢の高慢ちきなご令嬢?」
「ぶっ」

笑うなダート。

「らしいね…あのまま成長してたらそうだったのかも。逃げて生きる為に戦って、気付いたらこんなんなってたけど」

「いまのディーの方がよっぽど魅力的だわ?内面の美しさも加味されてとても素敵」

「はは、ありがと。あっちの国にはまぁバレバレだろうけど、一応別人ってことになってんだよね。皇国の権力と勇者の影響力もあって公には突っ込みこない感じ。それでも念のため、連れ戻されたくないし夢の話は黙っててくんないかな」

「勿論よ、よく知らない王国よりディーの方が断然大切だわ!」

リアに名前を言われた時は驚いたけど、あっさり誰にも言わないって約束してくれたので解決ってことにしとく。何でそんな夢見たのかは知らないけどそれがリアで良かった。


「でもそうなのね、じゃあ来年は少し心配ね。私も力になれることがあったらいくらでも言ってね?」

「「来年?」」

「ええ、来年王太子とその恋人?になる子が入学でしょう」

「なんで知ってんの?」

「さっきの夢で。ディーは知らないの?」

「見たのすっごい前だし、細かいこともう覚えてない。そっか…一年被るのか」

ダートが横から私を抱え上げて、そのまま膝の上に座らされた。


「一年違えば関わることなんかねぇから心配も何もない。余計なこと言うな阿保女」

「ぐ、この方本当…でもそうね、関わりないわよね。余計なこと言ってごめんなさい」

「情報は欲しい、夢で覚えてるとこ全部教えてくれ。ディアナ聞きたくないだろ、風呂でも入っとく?」

情報。私には絶対聞かなかったけど色々詳しい事知りたかったんだろうな。大人しく引っ込んでおこう。
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