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第50話 異世界の土の勇者の最後

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「ははは! なぜ、先ほどの弾が貴様に戻ったのか不思議だろう。悩め、悩め、貴様ごときが、俺のスキルに気がつく訳がない! ははは!」

 スキル? コイツのスキルって何だっけ? あの時、コイツのレベルの高さに驚いた覚えがあるが、何のスキルだったか全く覚えてなかった。
 こういう時に頼りになるのはこの人だ。

「教えて、ナビエモ~ン」
『死にたいですか? それとも地獄に落ちたいですか?』
「えっと、どっちも同じ意味じゃ?」
『それに気がつくお利口なマモルなら、これからどうすれば分かるよね』
「すみませんでした、ナビちゃんさん。土の勇者のスキルを教えてください」
『良い子なマモルは好きですよ。土の勇者のスキルはブーメランです』

 ナビちゃんに言われて、俺も思い出した。そうだった。奴のスキルはブーメランだった。
 ブーメランの特性は持ち主の元に戻ってくる。つまり、俺が発射した弾が俺自身に戻ってくる。
 ネタが分かってしまえば、ごくごく単純なことだ。飛び道具を使わなければ良い。
 俺はマモルバズーカーを背中にセットすると、大盾を取り出し、盾に隠れるように構えて、発射ボタンを押す。

「マモルバルカン!」

 ロボットの頭部から20ミリ弾が毎秒100発で打ち出された。
 土の勇者は両手を前に出し、バルカン砲を受けると、バルカン砲は俺に戻ってくる。その全てが、大盾によって防がれたのだった。

「無駄、無駄、無駄。どれだけ速かろうが、俺のスキルは完璧なのだ!」
「マモルビームライフル!」

 光の弾が真っ直ぐ、木と石で出来たロボに襲いかかる。
 レーザービームはその手を打ち抜く。やはり、実弾でないとブーメランのスキルは通用しないのだろう。
 俺は二発、三発と打ち続ける。

「オラオラ! 完璧なスキルで、返してみろよ!」
「くっ、貴様、卑怯だぞ」

 レーザービームで穴だらけになりながらも、周りの建物を吸収して補修を行う土の勇者は叫んだ。
 土の勇者の言葉など無視して、それは撃ちまくる。

「卑怯もクソもあるか! 文句があるならかかってこい!」
「貴様~!!」

 土の勇者は腕を前に出しながら、駆け寄ってきた瞬間、轟音が響き渡った。
 土の勇者の右足が吹き飛んだ。
 マモル地雷。
 あらかじめ仕掛けておいたのが見事に作動したのだった。

「卑怯者め~!」
「てめえは図体ばかりで、戦い方って言うものが分かってないんだよ。マモルバズーカー」
「学習しない馬鹿者め!」

 俺のバズーカー弾に対して、膝をついたままの両手を前に出す。

「馬鹿のひとつ覚えめ! マモルバルカン」

 俺のバルカン砲はバズーカー弾を打ち抜くと、土の勇者の両腕は吹き飛んだ。
 弾自身を跳ね返すことが出来ても、爆発力は跳ね返せない。レーザービームを跳ね返した時に、実弾以外は無理だと分かっていた。
 片足、両腕を失った土の勇者は、膝をついたまま、マモルロボを見上げる。
 周りの土や木を取り込み再生しようとしながら、俺に嘆願した。

「ちょ、ちょっと待ってくれ」
「何度やっても一緒だよ。お前は見た目だけで、何の怖さもない。他の勇者と違ってただの張りぼてなんだよ。死ね!」
「俺は六勇者最強なんだ~!」
「うるさい!」

 俺はレーザーブレードで切り裂いた。
 あれ? 爆発しない。巨大ロボの最後は爆発だろう。
 俺はマモル手榴弾を放り込み、土の勇者の最後の花火を打ち上げた。
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