社畜がひとり美女に囲まれなぜか戦場に~ヘタレの望まぬ成り上がり~

のらしろ

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サクラ大隊という名のグラス大隊、出発

新生サクラ大隊

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「あ、マリーさん。マリーさんのところもここで訓練ですか」
「ああ、うちはジャングル育ちだからここでもなくともいいのだが、ここはいろいろと施設がそろっているので貸してもらっているんだ」
 今。マリーさんが鍛えているのは新たに集めた地元民で構成されている部隊で、構成する人数からすると平均的な中隊くらいの規模だが、ここも中間層、いや、中間層以上と言えばいいか。
 とにかく下士官士官が足りていない。
 今の訓練もキャスター少佐改め幕僚長が率いていた大隊からベテランを集めて訓練をしている。
 彼らは、ここで近代兵器の扱いと、戦闘の方法などを学んでいる。

 そこに、ちょうどやってきたのはキャスター幕僚長だ。
 噂を知ればじゃないが、ドンピシャのタイミングで兵たちの視察に見られたらしい。
「大尉、お久しぶりです」
 幕僚長から先に挨拶された。
 これは社会人として少し恥ずかしい。
 軍人としてもだめらしいのだ。
 何せ階級は俺の方がはるかに低い。
 それに幕僚長は今では同盟国の軍隊責任者、副大隊長などと比べ苦も無く、本来まともに口をきいてはいけないくらいの関係だとか。
 今更だけどね。
「あ、幕僚長。お久しぶりです」
 そこから世間話を少ししていると、向うから提案があった。
 なんでも、部下たちを率いて訓練がてら勢力圏から外れた村に視察に出かけたいらしい。
 勢力圏に接する村があるらしく、一度マリーさんを連れて視察しておこうというのだ。
 ちょうど俺たちもいることだし、一緒にどうかと提案された。

 訓練で実践に近いことができるとあれば俺に反対する理由などない。
 とにかく、次に何かあるとするならば今度ばかりは敵との戦闘を覚悟しないとまずい。
 だからこそ、より実践に近い訓練をしたかったので、わざわざここまで大勢連れてきているのだ。
 実務に訓練を兼ねられるとあって。俺はすぐに動いた。
 幸いここは連隊基地のお隣だ。
 まず、サカイ大佐訪ねて、必要な物資を借りる。
 ちなみに、つい最近サカイ中佐と、アート中佐それにおやっさんは連隊長ということもありめでたく昇進している。
 さすがに将官であるサクラ閣下は少将のまま据え置きで、驚いたのはレイラ大佐もサクラ閣下同様に昇進は見送られたらしい。
 聞くところによると、レイラ大佐は同僚からの評判がよくないとか。
 何せ、大量に捕虜を捕まえてくるも、扱いが軍や情報部でなく皇太子府に持っていかれ、功績が稼げないとか何とか。
 レイラ大佐もあまり昇進に興味が無いのかこの件については本人からの不満も聞こえてこないが。
 あ、これはあくまで皇太子府から流れてきた噂だが、情報部の長官がまだ少将だというのもあるらしい。
 尤もこちらは近々昇進するとかで、もし、レイラ大佐の将官入りがあるとすれば、この時に同時にあるかもというのだ。
 まあ、考えたら当たり前で、長官が少将ならば一課長がすぐ下の准将というのはあり得ない。
 なにせ、ゴンドワナの情報部はまだ課から発展していないので、その長たるレイラ大佐も課長職だ。
 当然、情報部には部長もいるだろうが、階級で追い越すのはいかがなものかと、どうもそんな感じだ。
 尤も部長たちの階級も大佐らしいので、すでに追い越さないまでも課長に並ばれているから、考えるまでもないとも思うが、こういうのはこだわる人はこだわるから、そっとしているのだろう。
 別に今困っていないこともある。
 話を戻して、必要な物資を集めると、電話でサクラ大隊長に許可を取る。
 合同訓練の許可としてあるが、同じ電話でキャスター幕僚長からの口添えもあり、快諾をいただく。

 なので、今俺たちは3個中隊を連れてジャングルの中を移動中だ。

 連邦国内の異動は、かなりの部分道が整備されてきているので、それこそトラックであっという間に移動ができるが、一旦連邦のテリトリーを離れるとそこはジャングルだ。
 移動にも困難を極める……筈だが、そこは今まで培った手法で難なく移動している。

 俺たちがジャングル内移動の訓練中だということもあり、今回の先頭を走らせてもらっている。
 俺の乗る指揮車には道案内役としてマリーさんも乗り込んできており、ついでというわけでもないだろうが一緒にキャスターさんも乗っている。
 そのキャスターさんが先ほどからしきりに感心している。
 マリーさんもそうだが、連邦のお偉いさんたちは、テリトリーを離れたら徒歩での移動を考えていたようだ。

「大尉、これはすごい」
「大国とはすごいものだな。ジャングルでも車で移動するなんて」
「マリー幕僚、それはあり得ません。こんなことができるのは帝国だけでしょう。共和国は川筋でもなければ車での移動はあきらめておりましたから」
すると、よくできた俺の副官であるアプリコットはお二人の間違いを訂正してくる。
「いえ、帝国でもありえませんでした。これは大尉がお考えになったことで、たぶんですが、まだ我々以外にはこの方法を使う部隊はありません」
「大尉、すごいですね。だからこその戦果ですか」
 これもすぐにアプリコットから訂正が入る。
「確かに、これにより大量の人員や物資をスピーディーに運べましたが、以前大尉が申しておりましたのは怪我の功名だとか」
「怪我の功名?」
「はい、絶対の体力に自信のない大尉はできるだけ歩きたくないとかで考案されたとか」
 何もそこまでばらさなくともいいとは思うのだが。
 アプリコットの説明がツボにはまったのかこの後相当に笑われた。
 確かに歩きたくなくて、できるだけ車での移動を考えたことだが。それによりいくつか与えられた無理難題の命令も無事に達成できたというのに。
 
そんな和やかな会話しながらの移動をしていると、今日の野営ポイントに到着する。

 野営の準備も俺たち以外は生活そのものだったこともあり簡単なものだ。
 まあ、俺たちが持ち込んだ風習というか、野営のテントなどを買うようにはなったがそれでも車を伴う移動身で、本来の予定では徒歩移動だったこともありそれほど準備もしていない。
 なので、食料こそ俺たちからまずい簡易食を提供したが、テントは持ってきてはなかった。
 なので、高級軍人でもあるお二人の為に俺のテントを貸し出した。
 だから、今は俺たちと一緒だ。
「目的地には後少しですね」
「どれくらいとみていますか」
「歩きの移動で二日、ですが、車での移動ですので明日中には着くと考えております」
「だとしたら、明日は入念に索敵するとしましょう」
「なぜですか」
「予期せずの接触は誤解を生みます。
十分に計画的な接触をしたいと思っております」
「それが、いいでしょうね」
こんな感じでこの後の予定を話し合ってから俺たちは就寝の床に就いた。
当然女性と同じテントはあり得ないので俺は指揮車での就寝だった。

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