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中隊はジャングルに
レイプ現場
しおりを挟むタイヤ痕を見つけてから更に1時間ばかり進むと、今度は見たくないものを見つけた。
男ばかり6人の死体だ。
それも後ろから鋭利な刃物で首などを切りつけての手口、更に驚いたことには彼ら全員が共和国の兵士だ。
「これどう思う。あの村の仕返しかな」
「どうでしょうね。でも殺害されたのが一般の兵士ばかりだというのがちょっと引っかかりますね」
「上の連中は捕虜だとか?」
「さ~、こればかりはわかりませんが、一つ言えるのがこれからは戦闘の危険性が最大限に増したということです」
「そうだな気をつけて進むか。………、なにか聞こえたか」
「さ~、私には…今度は私にも聞こえました。悲鳴ですね、それも女性のものですね」
「全員に命令だ。状況の確認を急げ。できるなら悲鳴の女性の保護だ」
「戦闘になりますよ」
「構わんが音は立てたくない。そこのところよろしく」
「相手はどうしますか」
「怪我くらいなら構わんよ。もし婦女子を暴行しているようなら玉くらい潰しても俺は目を瞑るよ」
「ありがと隊長。行ってくるね」といってメーリカさんは元の山猫の仲間を連れて悲鳴の聞こえた方向へ急いで移動していった。
それでもほとんど音を立ててないのが驚きだ。
俺も急いでメーリカさんの後を追った。
しばらくジャングルの中を急いで移動していると今度は男の悲鳴と思われる音を聞いた。
恐る恐る音のする方向に近づいて行くとサーシャさんのところの兵士たちが襲われた女性と思しき人を介抱していた。
既に衣服は破られ裸よりも扇情的な姿をしていたが、俺は彼女を知っている。
確か一度助けた人だ。
最初にジャングルについた時に川原で低体温症の危険から俺が裸で抱いて温めた女性だ。
確かアンナ……そうだアンナ・トンプソン少尉だ。
確か測量の専門家で技術将校と言っていたはずだが、なぜここにいるのだ。
わからん。
俺は彼女に近づいていった。
すぐそばで気を失っているこれも敵である共和国の兵士、それも士官だ。
おいおい、共和国は自軍の女性をレイプする習慣でもあるのか?
それも肩のところに参謀肩章を付けている所を見ると参謀だぞ彼は。
参謀くらい上級将校になると気に入った女性をレイプできる権利でもあるんか。
彼女にでも聞けばわかるか。
「大丈夫ですか、アンナ少尉……ですよね」
「? あ、はい。私はアンナ・トンプソン技術少尉です。で、あなたは」
「覚えておりませんか。川原であなたを助けたグラスです」
「グラス……少尉?」
「今はあなた方を助けた功績で中尉になっております」
「中尉ですか、失礼しました、グラス中尉」
「それにしても、あなたとの出会いはとても刺激の強いものばかりですね。もう少し余裕があれば素敵なアバンチュールを期待できるのに、会うたびにかなり扇情的なお姿なのにそうも行きませんね」
「きゃーー」
彼女は自分の状況を完全に理解したのか悲鳴を上げて丸まった。
周りに居た女性兵士の視線が冷たい。
まるで汚物を見るような目つきで俺を睨んでくる。
「何も初めて見せる訳じゃないのに。しかしその格好では私も目のやり場に困りますね」といって俺は上着を脱いで彼女に着せた。
俺の発した言葉を聞いたら急に俺の周りから距離を取り出した。
なにかまずいことでも言ったか。
彼女は俺の上着をとって着込んだが、それでもまだかなり扇情的な格好だ。
かろうじて大事な部分が隠れるくらいなのだ。
とにかく俺は彼女に話を聴こうとしたら、また女性の悲鳴が聞こえてきた。
俺はメーリカさんを見た。
すると彼女は頷いて近くにいた兵士を5人ばかり連れて悲鳴の聞こえた方向へ走っていった。
彼女は俺に向かって「助けてください」と縋ってきた。
どういうことだかわからないので現状を確認する上で俺は彼女に話を聞いた。
彼女は震えながら話してくれた。
「あの噂はホントだった」と言いながら。
あの噂についてそして自分たちに何が起こったかも合わせて教えてくれた。
共和国軍において一部の将校の間で女性狩りをしている噂があった。
初めは現地ローカルの女性をさらってきて暴行した後殺しているというのだ。
そのうち現地ローカルの女性がさらわれなくなってくると帝国兵士をさらってきたこともあったそうだが早々に人目を避けて我々帝国軍の兵士がさらえるわけじゃなく、自軍の女性兵士を犯して事故や戦死に見せかけて殺しているという噂だ。
厄介なことにこれら非人道的なことを平気でやらかすのが発作的に行っているのではなく組織的に行われているので絶対に表沙汰にならないというのだ。
その非人道的なことを組織的に行っているのが、大統領直轄の親衛隊の政治将校たちであるというのだ。
自分たちが噂のような被害に遭ってやっと全貌が見えたと言っていた。
彼女アンナ少尉は共和国軍ゴンドワナ大陸方面統括軍中央作戦参謀本部に所属しており、今回はジャングル内の地形調査の名目で駆り出されてきているというのだ。
メンバーは彼女がひきいる測量小隊12名に護衛の小隊12名、それに監督役なのかどうかわからないが政治将校3名、参謀2名軍警察将校1名に軍警察官の2名が同行しているそうなのだ。
測量小隊全員が女性で、また、護衛の小隊12名の内半分の6名が女性で、多分これら18名が今回の生贄の分だと言っていた。
ここまで話を聞いて俺は疑問をぶつけてみた。
途中で男性兵士6名が殺されていたが、誰に襲われたかということだ。
彼女からの回答は予想通り襲われていないというのだ。
それに彼ら6名は政治将校に連れられてジャングル探査に出て行ったとも教えてくれた。
その後彼らを連れ出していった政治将校が戻ってきてから自分たちが個別に外に出されて襲われたというのだ。
とりあえず先ほど見つけた6名の死体についての疑問が解けた。
しかし本当に共和国軍は大丈夫かと疑いたくなった。
帝国政治も貴族たちがやんちゃばかりを仕出かして大丈夫かと思いたくもなるのだが、共和国はそれ以上なようだ。
ここまで話を聞いていたらメーリカさんたちが扇情的な格好をした女性3人と苦しそうな顔をしたまま気を失っている共和国兵士3人を引きずって戻ってきた。
どうやら本当に玉を潰したようだ。
彼女たち全員がものすごく怒っている。
人数を確認すると保護した女性は4人、捕まえた犯罪者も4人、彼女の話からすると残りは女性が12名と犯罪者が4名いる計算だ。
俺は連れてきた兵士たちを見渡した。
するとメーリカさんが俺の手を取り「隊長、少し落ち着いてね」と優しく話しかけてきた。
どうも俺はものすごい顔をしていたようだ。
正直襲われた村の跡のことを思い出して相当に腹を立てていた。
感情に任せていたら俺は捕まえてきた男たちの頭を拳銃で打ち抜いていたかもしれなかったのだが、メーリカさんが俺のことを落ち着かせてくれた。
「まだ襲われる女性が12名いるそうだ。彼女たちを救出するぞ」
「で、隊長、犯人たちはどれくらい残っておるの」
「残りは4名だ。逆算すると政治将校が一人と軍警察官が士官1名に兵士が2名。その全員が前に発見した6名の殺人の犯人だ。殺しても構わないが、できれば生きて捕まえたい。状況に応じては玉を潰すくらいは問題ない。なんなら切り落としても俺は何も言わない。とにかく女性の救出が優先だ。救出する女性は全員が敵である共和国軍人ではあるが俺に協力してくれ」
「わかっているわよ、隊長。では、移動しましょう」
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