社畜がひとり美女に囲まれなぜか戦場に~ヘタレの望まぬ成り上がり~

のらしろ

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グラス小隊のお仕事

グハウスの営舎

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 ジャングル内にあるサクラ旅団の基地は、以前と完全に様変わりをしていた。
 打ち捨てられていた連隊駐屯地に、いきなり大人数が押しかけたので、広い更地にテント村が出来、そこで4000人くらいの人間が生活していた。
 さながら被災地にできる難民キャンプ村のようだった。
 それが、ほぼ全員でそこらじゅう一斉にログハウスを建て始めたのだ。
 今の状況を例えるのならば、新しくできた住宅展示場で各社一斉に競争するかのようにモデルハウスを建て始めたようなものであった。
 なぜこのようなことになったのかというと、少し前にグラス小隊が建てたレンガハウスが完成したあたりから始まる。
 できたばかりのレンガハウスは、サカキ中佐の予言通り溜り場となり、グラス小隊メンバーの他に特殊工兵大隊の主だったメンバーも何かにつけレンガハウスにお茶しに来ていた。
 そこに、基地まで案内したことで仲良くなったアザミ大隊の隊長アート少佐が訪ねてきて、相談を持ちかけてきたのだ。
 早い話が、自分たちのテント村をどうにかしたいと悩んでいたところ、ここを作る少尉を見かけた。
 相談しようかどうか悩んでいたそうだが、ここができると同時に少尉率いる小隊がログハウスを建て始めたのを機に、自分たちもログハウスを作り、営舎としたいと思い立ったとのことだった。
 では、一緒にやりましょうとなって建て始めたら、それを見ていたバラ連隊の隊長 ナターシャ少佐もアート少佐と連れ立ってここに相談に来た。
 たまたまその時に、サカキ中佐がこのあたりの視察ついでにレンガハウスで休憩を取っていたので、『ログハウスなら資材はそこらじゅうに生えている木を使えばいいから、それじゃ基地を上げて、営舎をログハウスで作ろうか』となった。
 その前から始めているレンガ作りは継続して行われており、風呂棟はほぼ完成間際となっている。今は、新たな司令部建家の設計中であり、これはそのまま継続となるが、それに関わる者以外のほぼ全員を投入して、ログハウス作りとなった。
 本気になったサカキ中佐はすごいの一言に尽きる。
 木の伐採や加工は工兵に専業とさせ、運搬は残りの工兵と以前からこの基地にいたトーゴ大尉率いる中隊が受け持ち、それ以外の人員は手分けして運ばれてくる資材を使ってのログハウスの建設にあたり、先に説明したような住宅展示場の建設現場のような状況が出来上がった。
 でも、この体制は強力である。
 そのために次々にログハウスの営舎が完成していった。
 資材の確保のために基地後背のジャングルがどんどん整地されていき、そこにきちんと等間隔に並ばせるようにログハウスを作っていったので、今までの基地はそのまま残り、基地後方へ基地が広がっていくようなものだった。
 そんな状況の時にレイラ中佐が新たな仲間を率いて基地に帰ってきた。
 レイラは基地に入り、基地の情景が一変しているのを発見し、腰を抜かさんばかりの驚きを示した。
「サ、サカキ中佐、こ、これは、いったい何?どうしたの?」
「あ~、これ。ほれ、例のあんちゃんがオモロイもの作っていたろ。そうしたら、花園連隊の連中も自分たちもテントより格段に良さそうだから、作りたいと言い出してな。それじゃ~、ってんで、基地を上げて一気にみんなの分も作ろうとなったんじゃよ。一斉に作り始めたもんだから、作業がはかどるはかどる。あっという間にこんな状況だよ。これなら、基地到着後にすぐにでも始めれば良かったよ。あんちゃんは大したものだな」
「また、あいつが言いだしっぺなのですね。本当に騒ぎを起こすことについては天才なんじゃないかしら。騒ぎのほとんどが、いえ、今のところ全てが功績となるのだから凄いの一言に尽きるわね。でも、なぜかしら、私はあいつを褒めることができないのよね。功績として認めることはできても、なぜかあいつについては、面倒を起こすやつという認識しかないのよね」
「ほ~、奇遇だな。俺もそうだ。あのあんちゃんは、面白いことを引き起こすという認識しかない。ま~、俺たちは広い気持ちで、あんちゃんのことを見守るくらいでちょうどいいんじゃないかね」
「私には、その広い気持ちになれないのが悩みなんですがね。サクラが帰ったら、どうなるかしらね。でも、少なくとも、今まで抱えていた兵士の住環境の改善には一定の目処がついたわね。この件については素直に喜ぶことにするわ」
「手前にできたばかりの営舎に連れてきた嬢ちゃんたちを入れたらどうだ。なんか、疲れているようだし、営舎については、かなり余裕をもって作っているから、後からでもどうとでもなる。なんなら、あそこの営舎は当分予備営舎とでもしておけばいい」
「え~、そうしていただけると助かります。でも、なぜ、そんなに余裕を持って作り始めたのですか」
「理由を聞きたいかね。でも、理由を聞いたら、呆れるぞ」
「是非、聞きたいですわね。今まで、全然足らない営舎だったのに、作り始めたら急に余裕を持っての計画だなんて、凄いです」
「そんなに、凄い話じゃない。また、あのあんちゃんが出てくるのだがな。最初にログハウスを作り始めたのが、あのあんちゃん達だったのは説明したよな。それじゃ~みんなの分も作ろうとなった時に、最初のログハウスを元に計画を立てて作業を始めたのだが、作り始めてしばらく立った時に、最初に作ったログハウスで問題が起こったのだよ」
「問題??何ですか、その問題とは」
「最初のログハウスにいざ入居となった時に、兵士たち、それも下士官たちがあんちゃんに食ってかかっていたので、理由を聴きに行ったら、驚いた。あのあんちゃん、本当に軍隊を知らなすぎだ。あのログハウスに、兵士全員分の個室を作ろうとしていたのだから、それも各部屋にトイレまで作ろうとしていたのだから、驚いた。ここに帝都にあるアパートでもここにつくるつもりだったらしい」
「え~~~~~。流石に、それはまずいわよね」
「あ~、山猫のボス猫が『頼むから、個室はやめてください。じゃないと私たちはほかの兵士から刺される』と泣いてお願いしていたので、『それじゃ2人部屋にでもするか』とか言い出すから、ほれあんちゃんとこの保護者の嬢ちゃんがコンコンと説明して、4人部屋で落ちついた。でも、ほかの隊、花園なんかは帝都と同じ8人部屋で作ることになったけど、最初の計画で建てていたのが個室のつもりだったから、慌てて計画全体を修正したのだけれど、かなり余る計算となり、余裕があるのじゃよ。多分、全部が完成すれば、師団規模の駐屯が可能だと思うぞ」 
「は~~~。またですか。分かりました。私から、旅団長へは、連絡を入れておきます。『営舎の問題は一挙に片付いた』とね」
「あ~、そうしておいてくれ。それに、直に新しい司令部も完成するぞ。そうしたら、古い建家は全て解体し、基地を整備しなおすことにするぞ。たまたまだが、ここは建設の資材については、ほとんど問題が出ない。問題を探すとなると、使用するコンクリートだけは自前で用意できないことくらいかな」
「分かりました。コンクリートの追加発注も合わせてお願いしておきます」
レイラは頭を抱えながら連れてきた兵士たちを新たにできた営舎に落ち着かせた。
 一緒にいたマーガレットは唯唯固まっていただけだった。
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