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第113話 エピローグ 俺はどこで間違えたのかな

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「え。
 梓、落ち着いて聞いてほしい。
 まず誰から何を聞かされたか教えてくれないかな」

 そこから梓をなだめながら状況の把握を始めた。

 まず里中さんから、彼と梓の父親との会話を聞いたことから始まる。

 そこで大きなショックを受けた。

 日本国政府が動いていたことは分かっていたが、コロンビア合衆国の特殊部隊が救出に当たったことを聞いてしまった。
 当然彼女の父親も驚き、背景など聞き出していたら、更にショックなことを伝えられた。
 ペトロの諜報機関も動いていたことを知った。

 梓は、自分が何も知らされていなかったことに驚き、直人の部屋から早朝に出て来た明日香さんを問いただして、詳細を聞き出した。
 明日香さんも俺の部屋から出て来たところで捕まったもんだから隠すことを諦めて、その足でアリアさんのもとに向かい、アリアさんに説明してもらった。
 その席で、梓にはすべてを教えられたようだ。

 かなりショックを受けたようだったが、前々からかなり怪しんでいたこともあり、心の整理も知らないうちについていたようで、直ぐに先ほどのような結論に至ったようだ。

 俺は梓から全てを聞き出して天を仰いだ。
 もう、梓との友人関係は終わる。
 出来れば恋人にでもなりたかったのだがそれも終わりだ。
 もう梓とも会えなくなるな。

 卒業も間近だし、ちょうど良かったのかも。
 そこまで考えていたら、甲板にアリアさんが明日香さんを連れてやってきた。
 どうも俺らの様子を隠れて伺っていたようだ。

「直人様。
 私に提案があります」

「提案。
 今更、何を」

「そろそろ直人様の伴侶をお決めになりませんと、他からの圧力を防ぎきれません」

 この席で、それを言うのか。
 俺は驚き、アリアさんを睨んでしまった。

「直人様。アリアさんの話を聞いてください。
 私もその意見には賛成ですし、一番日本にとってもいい結果になるかと思います」

「日本?
 何でここで国が出るのか」

「直人様。
 直人様は日本国の国籍があり、かなり特殊な状況でスレイマンの貴族となりました。
 そのために王族から伴侶を貰うこともできますが、今の状況ではかなり無理がございます。
 かといって、他からとなりますとそれぞれの思惑もあり、今の状況ではコロンビアもペトロも黙ってはおりませんでしょう」

「だから、なぜ今それを」

「せっかく、梓様が御決心してくれたことでもありますので、直人様が梓様を受け入れてはいかがでしょうか」

「受け入れる?」

「ハイ、卒業後に直人様の伴侶として」

「え?
 俺と梓との結婚っていうこと」

「ハイ、そうです。
 その組み合わせなら、どこからも手は入りませんし、何より直人様の幼馴染ですので、他の勢力は反対も出来ません」

 それを聞いた俺は思わず梓の顔を見た。
 梓は下を向いて顔を真っ赤にしている。

「お、俺で良いのか」

「へ?
 私と結婚してくれるの」

「え?
 梓は俺のこと聞いたよな。
 俺の女性関係のことを」

「ハイ……」

「全員の名前と、その理由も聞きました」

「それでも良いのか?」

「私は、かおりさんのように奴隷でも構いません。
 直人君の傍にいれるのなら。
 だって、今の私には……」

 そこまで言って泣き出してしまった。

「あとは私たちにお任せください」

「同じ女性の方がこの後は良いから、直人様はあちらに」

 泣き出した梓を俺は構うこともできずにこの場から追い出されてしまった。
 しかしとんでもないことになっていた。
 確かに俺の結婚って、かなり微妙なことになっていることは流石に俺でもここまで来ればよく分かる。

 スレイマンから貴族の女性を連れてくるわけには行かないし、他国からとなると日本も含め各国との利害があるからその調整も難しくなる。
 一生未婚でも良いかとも思ったのだが、それもそれで、この後色々と女性を伴侶として送り込もうとする勢力が出てきそうで怖かった。

 確かに梓なら、日本からになるが、俺の幼馴染であることもあるので、言い訳が立つ。
 梓を便利に使い潰しそうで心苦しいのだが、確かにアリアさんの言うようにこれ以上に無い組み合わせだということは冷静になった今の俺では良く分かるが……

 良いのか。

 結局、その後は日本に着いても梓とは話す機会も無く、時間だけが過ぎて行った。
 大学も無事に卒業して、梓はそのまま大学の修士課程に進むようだ。

 俺はというと、今の職に専念することにした。
 卒業から半年が過ぎ、俺の婚約が世界各国に発表された。
 この発表に先立ち、俺はかなり大変な思いをする。
 当然、梓の唯一の肉親である彼女の父親への挨拶を済ませた。

 彼は、既に俺に助けられた時にこのことを悟っていたのか、問題無く挨拶は済んだが、それでも何か言いたそうにしていたのが俺にはストレスとなった。

 その後すったもんだがあって、卒業から一年後に、できたばかりのコロンビアのホテルのオープンのイベントに続き俺の挙式をそこで上げる運びになった。
 俺の結婚を祝って、併設されるアイドル劇場も含めミュージカル劇場やペトロとのオペラ劇場でも結婚を祝う演目が上演されたのだ。

 俺は相当恥ずかしい思いをしながら各種イベントに呼ばれて、挨拶をしている。
 俺の女性関係はというと、梓公認で、前と一切変わらなかった。
 いや、ブリテンからも受け入れ、しかも、その後に談合坂を引退するメンバーのほぼ全員を愛人として迎え、その代わりのメンバーもセフレ枠として受け入れている。

 既にバニーガールズ内では、このようなコースができていたので、俺にはどうしようもなくなっていた。
 梓は面白くは無いだろうが、それでもすべてを受け入れてくれる。

 女性たちは女性たちで、頻繁に話し合いがもたれており、この前聞いた話では梓の子供が生まれたら、愛人たちの妊娠も解禁とすることが決まったと言っていた。

 前々から明日香さんや、花村さん達は早々に結婚を諦めていたのか、子供だけは欲しかったようで、この話を喜んで俺にしてきた。

 もう女性に関しては俺には一切の発言権が無くなっている。
 全ては彼女たちの自治に任せっきりになっている。
 あ、まともな仕事の方も、日本でも活動が順調で、エニス王子もこの結果のおかげかスレイマン王国内での発言力も増してきており、何よりコロンビア、ペトロ両国からのコネクションもあることから、今では安全に帰国できる環境が整ってきたのだ。

 俺の本来の目的は、これにより果たしたことになるが、今ではスレイマン、ボルネオ両国内において資源に頼らない外貨獲得に向け活動を始めている。
 これには梓も大きく関わっており、スレイマンの俺の持つ工区に、工科大学を作ることになった。

 梓は自身の研究によって知見を得た優秀な学者たちを俺に紹介してくる。
 また、ボルネオとスレイマン共同で宇宙開発にも乗り出す運びになり、その中心に新たに作られる工科大学とボルネオ大学の研究者が全面的に協力する運びになっている。

 今の俺の仕事はその調整が主な仕事だ。
 いや、増えすぎた女性たちの対応が一番の仕事で、その合間に上記の仕事をしているのが現状になっている。

 今の俺の状況は、俺自身が振り返ってはいけない。
 でないと二度と俺は立ち上がれない位に落ち込みそうだ。

 今の俺は種馬でしかないような……

 どこで間違えたのか俺の人生は………

 今日も女性たちは元気だ。

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