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第94話 親子丼 再び

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 学祭が終わっても、俺の生活はほとんど変わらない。
 まあ例の開発に関係して、いくつもの新会社設立案件もあり、正直かなり忙しい。
 しかし、不満など口にできようはずがない。

 なにせ、俺以上にと表現するしかないが、この表現ではあまりに緩すぎ正直なんて表現していけば良いか分からないくらいに忙しい人たちが多すぎた。
 イレーヌさんを始め、女性たち全員が本当に多忙な生活をかれこれ二か月も過ごしているのに、一向に目途が見えない。

 そうそう、パイロット養成中の女性たちも今では全員が資格を取り、飛行経験を稼ぐために定期的に茨城空港に通い習熟のための飛行をしている。
 それだけなら、彼女たちの生活は余裕が出る筈なのだが、俺の思い付きが祟って、彼女たちも絶賛デスマーチ中だ。

 流石に飛行前日には十分休ませているが、船会社の持ち株会社になる会社を作り、下部組織として飛行機輸送の会社を設立中だ。
 この会社は、東京観光の遊覧を主な目的としている。
 そのために彼女たちの上司に当たる聡子さんにも無理をさせてしまった。
 そんなこともあり、聡子さんの慰労と、彼女の娘との時間を取ってしまったお詫びも兼ねて、現在聡子さんとその娘の幸子さんと一緒にベッドの中でおもてなしの最中だ。

「直人様、こういうのを何と云うかご存じですか」

「え?
 何を言っているかよくわからないけど、幸子さんは知っているの」

「ええ、学校の友達から聞いたことがあります。
 こういうプレーを『親子丼』っていうらしいですよ。
 なんでも男性なら一度は夢見ることだとか。
 直人様もそうでしょう」

 オイオイ、何を学校で教えているんだ。
 幸子さんの通っている学校ってお嬢様学校の女子高のはずだが、かなり進んでいるのか。

「まあ、おませさんね。
 そのお友達って経験が豊富なの」

「ヤダ~、お母さん。
 そんな訳ないじゃないの。
 みんな妄想の中だけだよ。
 結構、そういうのに興味を持つ人多いのよ。
 あとBLとか、そういえば直人様はBLには興味ありますか」

 え?
 幸子さんの周りって腐っているのか?
 大丈夫なのか心配になるな。

「直人様にはそんなのには興味ありません。
 たとえご興味があったとしても、あれほど女性を囲っていればそんなの試す暇もありませんよね、直人様」

「あ、ああ。
 俺は健全だ。
 女性にしか欲情はしない、正直俺はホモは嫌いだ」

「それを聞いて安心しました……あ、お母さん、あれほど囲っている女性って何?」

「え?
 今更なの。
 ほら直人様の周りにいる女性たちよ」

「それって誰の事、今日子さんのことは知っていたけど、今日子さんの事じゃないよね」

「まあ、幸子は鈍いのね。
 イレーヌさんやかおりさん達よ」 

「やっぱり、そうだったんだ。
 だってかおりさんて、気が付くといつも直人様を心のこもった目で見ていますしね。
 直人様、かおりさん達っていうことは他にもいますよね。
 もしよかったら教えてほしいな。
 お母さんが知っていれば私に教えて」

「私だって直接聞いたわけでないので、誰がというのは知りませんが、少なくとも私が預かっているファミリアさん達のほとんどはそうですかね」

「ほとんどって、あの人たちって10人は居ましたよね。
 ということは7~8人?」

「直人様、もしよりしければ教えてくださいませんか。
 できれば同じ気持ちを持つもの通し仲良くなりたくて」

 え?
 かおりさん達から聞いていなかったの。
 俺の口から言わせるという罰ゲームじゃ無いよね。
 ………
 しかし、今ごまかしても、いずれは知れることだし、教えるしかないか。

「ハイ、正直に告白しますと……」

「「告白しますと??」」

「全員です」

「「全員!??」」

「はい、事務所に居る人たちのほぼ全員です。
 あ、聡子さんに預けている女性たちのメンタル面のケアのために呼んだムーアさんは別ですよ。
 あと、そうですね……ああ、外務省から来ている藤村さんも違いますけど、そのほかは全員ですね」

「す、すご~~い!
 直人様って、性豪なんですね。
 だから私たち二人や、そういえば今日子さんを交えた3人でも私たち負けてましたね。
 友達から聞いた話には、普通の男性って二人でも大変だとか。
 三人やそれ以上って物語では良くあることらしいけど実際には無理だとか。
 でも直人様は平気ですよね」

「直人様、全員って言いますと、花村さんや榊さんもですか」

「ハイ、彼女たちも……そうですね、愛人枠という感じかな」

「直人様、ちょっと待ってください。
 愛人枠って言いましたが、それじゃ~ほかの枠ってあるのですか」

「ぶっちゃけますけど、あります。
 イレーヌさん達は特別って感じかな」

「特別って?」

「女性奴隷ですか。
 多分知らないかもしれませんが、スレイマン王国には現在でも奴隷制度があります。
 しかし、私たちが知る奴隷制度とは全く違う制度なのです。
 これは機密扱いと言う訳ではないので、中東特にスレイマン王国に詳しい方なら知っていることですが、彼女たちは30歳になるまで私の奴隷となっております。
 法律で30才を過ぎれば多額の退職金を貰って奴隷から解放され、自由の身になります。
 多くの場合には、そのままの主に使えることが多いと聞いていますけど。
 正直イレーヌさん達が30になって俺から離れて行ったら、ここは立ち行かないので、そのままでいるように必死に説得しますけどね」

「彼女たちって皆そろって優秀ですものね。
 ボルネオにもたくさんいましたがあの人たち全員も奴隷ですか」

「ハイ、でも、その多くはエニス王子の奴隷です。
 私の奴隷となっているのはアリアさんが管理している女性たちだけです」

「直人様。
 何人いるのですか、直人様の奴隷って」

「聡子さんや幸子さん達と合流する時に前後して加わった女性10名を含めますと32名ですかね。
 こことボルネオに分かれて活動してますが」

「「32名……」」

「すごいですね」

「はい、ですから奴隷枠として32名、それと……」

「「え!?」」

「ひょっとしてまだいますの?」

「ハイ。
 あと、何と表現すればいいか……、恥ずかしいけどセフレとでも表現しますか」

「セフレって?」

 聡子さんはセフレを知らなかった。
 ここまで来れば隠し事はしないけど、呆れられるかも、いや、下半身のだらしなさを嫌うかもしれないな。
 正直言いたくはない。
 自分の仕出かしたことだし、成るようにしか成らないしな。

「はい、セックスだけをする関係とでも言いましょうか、いわゆるセックスフレンドっていうやつですよ。
 まあ、これには事情がありまして、公にできない人たちばかりなもので、しょうがなくって感じですか、いやはや言い訳になりましたね」

 聡子さんも幸子さんも呆然としている。
 ただ、呆れたり嫌ったりする様子はないようだ。
 なので、俺はこのまま続けた。

「聡子さんや幸子さんはグアムで生活していたから知らないかもしれませんが、日本で人気のあるアイドルグループに談合坂32というグループがあります」

「え、ひょっとして芸能人なのですか、直人様のセフレの関係者って私でも知っているあの談合坂のメンバーですか?」

「ええ、愛人にも今日子さんっていう芸能人もいますが」

「そういえばそうですね。
 彼女は毎日テレビに出ていますしね」

「直人様、そのアイドルグループの中で、誰なのですか、セフレって?」

「全員です……」

 恥ずかしい、非常に恥ずかしい、自分で言っていて自分の下半身の節操のなさについて俺は今非常に反省している。
 いくら成り行きとはいえ、関係した、いや、関係が継続中の女性だけで60名を超えている。
 目指せ100人越えってか。
 ありえないだろう。
 完全に二人は絶句していた。
 辛うじて声を出したのは聡子さんだった。
 その後談合坂とのこういう関係になったいきさつを正直に説明した。
 ボルネオの危機を救ったお礼にバニーガールズから枕営業を受けたら、全員が俺のことを気に入ってくれて、そのまま関係を続けているという話をした。

「すごいですね。
 でも、直人様のやさしさなら納得です。
 私たちもそれで救われましたしね」

 良かった、嫌われなかった。

「ですが、今の話を聞いてやっと納得できました」

「納得ですか??」

「はい、今日直人様を独占できることは貴重だという話をかおりさんから聞かされておりましたから。
 はじめは、かおりさんとの時間を割いてもらったために言われた話かとも思いましたが、部下の女性たちの漏れ聞こえてくる話もありましたし、直人様の時間は貴重だという話にどうも納得がいかなかったもので。
 あ、いや、直人様が暇だという意味じゃないですけど」

「大丈夫ですよ、分かっていますから。
 それに自分の蒔いた種ですから」

「そんなに多くの女性が、直人様を待っているのですね。
 だから、なかなか私を相手してくれなかったんだ。 
 ピチピチのJKとできるのに、それにいつでも男のロマンである親子丼もできるのになかなか相手してくれなかった理由を納得できました。
 なら、いっそ外務省の藤村さんも仲間にしてしまえばどうですか」

「いやいや、それはまずいでしょ。
 そんなつもりはありませんよ。
 ……、あ、決して藤村さんに魅力が無いと言う訳じゃないですから誤解しないでくださいね。
 むしろ非常に魅力的な女性だとは思いますけど」

「それなら……
 それよりも、直人様の性豪ぶりなら何度も2Pや3Pをしているのでしょ。
 それに時々ですが親子丼も」

「はい」

「もお直人様には男のロマンを全て制覇したと言えるかも。
 あ、いやもう一つあった」

「学校でどんな情報を仕入れているかわかりませんが、BLは決して男のロマンじゃありませんよ。
 断じてやるつもりはありませんからね、幸子さん」

「違いますよ。 
 でも姉妹丼というのもあるのでしょ。
 これも友達から聞いた話ですけど、姉妹丼も男のロマンだとか。
 私は一人っ子のため、姉妹丼をしてあげれませんが、やりたいででしょ。
 かおりさん達の中に姉妹は居ないのですか」

「残念ながら、エニス王子の女性と姉妹の女性はおりますが、私たちには姉妹は居ませんね。
 確かにここまでくると、興味が無いと言えばうそになりますけど、無理にしようとは思いませんよ」

「直人様。
 あの~多少薹が立ったとしてもしてみたいですか、姉妹丼?」

「薹が立つ?」

「私くらいの年令では……」

「聡子さん。
 俺は決して聡子さんの年令なんか気にしませんよ。
 それにまだ十分に若いじゃないですか。
 むしろ、幸子さんという娘がいる方が驚きですよ。
 お二人の組み合わせは奇跡とすら思います」

「え?
 お母さん、ひょっとして涼子おばさんのことを考えているの。
 そういえば、おばさん美人だものね。
 それでいてなぜか男っ気がないしね。
 ひょっとしてあいつの影響かな。
 お母さんが散々苦労していたのを見ていたしね」

「涼子おばさん、いや失礼、涼子さん?
 誰ですか」

「ウフフ、気になさらないでください。
 もしもの話ですから」

「気にはしませんが、むしろ増やす必要はありませんよ。
 いいですね。
 無理して姉妹丼をしようとは思っておりませんからね」

 なんだかフラグでも立てたかな。
 いったいどうなるんだ。
 まあ、エニス王子に会ってから全て成り行き任せだが、俺には成り行きに任せるしか手は無いしな。

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