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第57話 大金ゲットだぜ

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 翌日以降も同様に、午前中は飛行学校でライセンス取得のためのレッスンを受け、その間女性陣は買い物などを楽しんでいるようで、午後には遅めの昼食を全員でとり、その後はグアムの観光やホテルのプールでまったりと過ごしていた。

 飛行学校も、今回の予約の4日を終えると、ちょうど花村さんや榊さんの休みも終わるので、彼女たちは日本へ帰ることになった。
 俺はアリアさんたちと一緒に飛行場まで見送りに行き、そこで彼女たちと別れた。
 GWは既に後半に入っており、俺の休みも残り4日となっている。
 飛行レッスンも無いので本当の意味でアリアさんの休暇をここグアムで過ごせると思っていたら、俺らも今日のうちに帰るらしい。

 午後にはボルネオから自家用機が到着するようなので、到着後すぐにボルネオに帰る。
 ホテルのチェックアウトについては一緒に来ていたタリアさんが既に済ませ、荷物なども飛行場に運ばれていた。
 そうなると2~3時間ばかりの余裕が生まれる。
 飛行場でゆっくりお茶をしていてもいいのだが、せっかくならばと、アリアさんの慰労を兼ねてのグアムなので、グアムの町を二人でデートすることにした。
 繁華街を一緒に手をつなぎながら唯々歩き回り、気になる店に入ってはショッピングを楽しんだ。
 そうなると2時間という時間はあっという間に過ぎていく。

「直人様。
 そろそろお時間になります。
 先ほど尚子から電話で飛行機が着いたとのことですので、飛行場に戻りましょう」

「楽しい時間程あっと言う間に過ぎていくね。
 アリアさんは楽しめましたか」

「充分に楽しめました。
 それに、いつまでも私が直人様を独占してますと皆から恨まれますしね。
 そろそろボルネオに戻りましょうか。
 直人様が日本に戻る前に済ませておきたいこともありますから」

 アリアさんは既に仕事モードの様だ。

「毎回毎回僕だけが楽しんでいるようで恐縮ですが、アリアさんが楽しめたのなら良しとしないとね。
 タクシーを拾って戻りましょう」

 飛行場では出国審査で時間を取られたが、それ以外は全くスムーズに進みすぐに飛行機はグアムの飛行場を離陸した。

 グアムからボルネオまでは2時間もあれば着く。

 まだ日も充分に高いうちにボルネオの拠点に着いた。

 この時間なら殿下も王子も仕事中だ。
 日本だけGWで休みなだけで世間では何ら普通と変わらない。
 俺らは帰国の挨拶のために王子の元を訪ねた。

「ただいま帰りました」

「お帰り、直人。
 アリアは充分楽しんできたようだね。
 前と見違えるように顔に生気が見えるよ」

「はい、直人様に沢山労わってもらいましたから。
 明日から仕事に掛かります。
 直人様が日本にお帰りにならないうちに、一連の処理を済ませます」

「殿下には夕食のときにでも帰国の報告をすればいいか。
 それより、直人が帰る前に俺の方からも相談したいことがあるしな。
 すぐに仕事で申し訳ないが明日から宜しく」

「こちらこそ、毎日遊んでいるばかりなので、できる事なら何なりと」 と言って帰国の挨拶を済ませ、とりあえず部屋に戻った。

 かおりさんがすぐに俺の元にやってきて、お茶を入れてくれる。
 そのまま傍にいる全員で休憩を兼ねお茶にすることになった。
 みんなからは口々に『アリアさんだけうらやましい』なんて文句を言われたが、そこは俺の方からアリアさんの慰労のためだと説明した。
 そのアリアさんは既に仕事全開モードになっており、今回のボルネオショックで暗躍したハゲタカファンド(仲間内でそう呼ばれているインサイダー取引全般)について簡単に報告された。
 明日一番で報告書を渡されるようだが、これは俺のめくら判で構わないけど、全体規模だけ把握してほしいと報告してきた。

「既にハゲタカファンドは全て手打ちが済んでおります。
 先月4月20日には入金が済んで今回の件は終わりましたので、報告だけさせてください」

「今回は色々と大変でしたね。
 お疲れ様です。
 それで報告って何ですか」

「細かな内容につきましては明日報告書を提出しますのでそちらで。
 今日はだいたいの収益の報告だけでも」

「始める前に4~5倍程度の収益を見込んでいましたが、予定通りでしたか」

「直人様が運用について私に全権をゆだねて頂きましたし、また、資金についても全額の使用を許可を頂きましたので、今回一挙に資産が増えました。
 作戦前に海賊興産側からの契約金500億円が入金されたこともあり資産600億円のうち550億円を使って仕掛けました。
 また、ボルネオやスレイマンも巻き込みましたので、そちらからも運用手数料やコンサルタントフィーの名目でかなりの金額を稼がせてもらいました。
 だいたい5倍の収益を稼ぐことに成功し、他からの手数料などを合わせますと3200億円にまで資産を増やせました。
 これは既に鉱区の権益で得られる金額を超えております」

「それは凄いことになっているね。
 俺は前に増やした100億円の4~5倍を考えていたから、正直驚いたよ。
 これは凄い。
 アリアさんすごい。
 みんなもよく頑張ったね」

「直人様。
 増えたのはあくまで偶然の産物ですし、何よりそのきっかけは直人様がお創りになったものです」

「しかし、直人様。
 喜んでばかりはいられません」

「へ?
 どうしたの。
 俺よくわからないけど、稼いだことによって何か弊害でも。
 あ、税金とかかな」

「報告したのは皆税抜きです。
 問題なのはこの後の件です」

「どういうことなのかな。
 大明に恨まれるとか。
 今さらだよね。
 となると欧州やコロンビアにでも恨まれたとかかな」

「それもあるでしょうが、欧州やコロンビアにつきましては、直前ですが事前に情報を渡しておりますので、政府やそれに近い企業などはそれほどひどい被害は出ていないでしょう。
 もっとも損は出しているので多少は恨まれるかもしれません。
 今回一番被害が出ているのはそれ以外の企業やお金持ちを中心とした一般の人たち、そして何よりターゲットとした大明共和国と高麗民国の2国でしょうね。
 そちらに対しては、いまさらなので、警戒を強めてはおりますが、これ以上の対策はありません。
 私が問題視していることは、我々の資産規模が急激に大きくなりすぎたことによる弊害です。
 既に直人様の資産規模はかつての王弟殿下に迫るものです。
 しかし、それらを扱う私たちが弱小の為、効率的な資産運用が難しくなってきております。
 今後について私たちの戦略面での見直しが急務になっております。
 明日以降時間の許す限りその対応に当たりたいと考えておりますが、戦略に関してなのでどうしても直人様を交えてとなります。
 申し訳ありませんがお付き合いください」

 お金ってあればあっただけそれなりに苦労がつきものなのね。
 今まですべてアリアさんたちに丸投げだったけど、丸投げできない、高貴なるものの責任だっけ、そんなものが俺にも降りかかる訳ね。
 俺はなんちゃってだけど貴族の様だし。
 頑張るしかないしね。

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