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第3話:巨人の慟哭
Bパート(2)
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「一体何なんだあの人型の群れは? 突然現れやがったぞ」
「俺が知るかよ。何か格好は巨人に似て無くもないが、えらく小さいな」
「しかもこっちに向かってきやがる」
「レーザーは当たっていると思うが、ダメージが出ているかよう分からん」
「しばらく様子見するんじゃ」
「あれ、以外とかわいいかも…」
アルテローゼの左側面から向かってきていた革命軍の重機部隊は、突然現れたクレイ・ゴーレム達に驚き、しばらく様子を見ることにしたようだった。中にはコミカルな動きのゴーレムにかわいいと言う筋肉もりもりの土方のおじさんもいたが、それは見なかったことにしたい。
つまり、レイチェルの指示通り方円陣を組んでコミカルに動き回るゴーレムは、時間稼ぎという目的を果たしていた。
一方、アルテローゼが突撃している滑走路上に陣取った重機部隊の方は…
「敵が攻めてくるぞ」
「なんだあの間抜けな面のロボット兵器は?」
「いや、あんなロボット兵器見たことないぞ。もしかして新型か?」
「いや、突然現れたんだ。普通のロボット兵器じゃないぞ」
「とにかく近づけるな。撃つんだ」
クレイ・ゴーレムを不気味に思ったのか、レーザー銃による射撃を行ってきた。
『ふふふ、その程度の攻撃ならクレイ・ゴーレムには痛くもかゆくもないのじゃ』
普通のロボット兵器であればレーザーを当てれば対レーザー装甲が灼熱したり、関節やセンサーに当たればダメージを負ってしまう。しかしクレイ・ゴーレムは文字通り土塊から作り出されたゴーレムであり、その表皮は土である。土はレーザーで貫かれるが、ゴーレムの体を貫くほどではなくすぐに埋まってしまう。関節や目に当たってもそこも関節やセンサー、回路があるわけではないので、ダメージを負うこともないのだ。
手足が破壊されれば動けなくなるし、胴体の中にある核を壊されたら崩れてしまうのだが、そこまで強力な射撃兵器を革命軍の兵士達は持っていなかった。時折発射される対戦車ミサイルも、アルテローゼが盾でそらしてしまうため、ほとんど無傷でアルテローゼとクレイ・ゴーレムは重機部隊にたどり着いたのだった。
『さて、ここからはお待ちかねの格闘戦じゃ。 いーっひっひっひっ。それゴーレム部隊よ、おぬし達の力を見せてやるのじゃ』
レイフは不気味に笑うと、クレイ・ゴーレム達に重機部隊の排除を命じた。ゴーレムはその巨大な土の腕を振るって、小型重機を次々と叩きつぶしていった。レイフもサボっているわけではなく、アルテローゼのドリルで次々と重機を破壊していった。もちろん、レイチェルに怒られないように、操縦席は狙わず重機だけを破壊しておいたのは言うまでもない。
「くそっ、相手はただの土くれじゃねーか」
「俺たちゃ鉱山で堅い石を相手に戦ってるんだ。こんな土塊に負けるわけにはいかねーぞ」
「そんな愉快な顔をした奴らに負けるかよ~」
最初はクレイ・ゴーレムに怯んでいた革命軍の兵士達だったが、核を破壊されゴーレムが土に戻るのを見て、逆に負けるものかと張り切り始めた。
中型のパワーローダがゴーレムを挽きつぶし、四足歩行の削岩機がゴーレムの核を突き崩す。生身の兵士に至っては、ツルハシはシャベルでゴーレムに戦いを挑んでいた。
『ぬう、以外とやるものじゃ。一時撤退じゃ』
三分の一ほどゴーレムが倒されたところで、レイフはゴーレムを引き連れて、左方向に逃げ出した。
「よっしゃ、逃げ出したぞ」
「逃がすか。追いかけるじゃー」
「うらー、突撃じゃー」
逃げ出したアルテローゼとクレイ・ゴーレムを見て、革命軍は雄叫びを上げてその後を追いかけ始めた。
滑走路から逃げ出したアルテローゼとゴーレム達は、レイチェルが操るゴーレム部隊と合流する地点にたどり付いた。レイチェルのゴーレム部隊が合流したことで、戦力は増えたのだが、革命軍の重機部隊に前後に挟まれ、挟撃される形であり、圧倒的に不利な状況であった。正に絶体絶命の状況だったが、
『ふぅ、ここまで来れば準備完了じゃな』
「そう、もう時間稼ぎの必要はありませんわ」
レイフの言葉に、レイチェルがクスッと微笑む。
「よし、追い詰めたぞ」
「指揮官の敵をとるのじゃー」
そして、革命軍がアルテローゼを倒すべく前進を開始したとき、進路がクリアとなった滑走路にてシャトルが滑走を開始したのだった。
現在のシャトルは、燃料節約のため地上ではジェットエンジンを使用し、大気が薄くなった所からロケットエンジンを点火する。しかし今は緊急事態であり、一刻も早く離陸することが求められている。シャトルの機長はロケットエンジンを地上で点火して一気に離陸するようだった。ズゥゴゴゴゴーと轟音を立てエンジンから長大な炎が吹き出し、シャトルは滑走路を一気に加速していく。
「シャトルが離陸する!」
「あのスピード、ここからじゃ…追いつけないぞ」
「まさか、このために俺達をここに誘い出したのか」
革命軍の兵士達は、離陸していくシャトルを呆然と見上げるのだった。
「俺が知るかよ。何か格好は巨人に似て無くもないが、えらく小さいな」
「しかもこっちに向かってきやがる」
「レーザーは当たっていると思うが、ダメージが出ているかよう分からん」
「しばらく様子見するんじゃ」
「あれ、以外とかわいいかも…」
アルテローゼの左側面から向かってきていた革命軍の重機部隊は、突然現れたクレイ・ゴーレム達に驚き、しばらく様子を見ることにしたようだった。中にはコミカルな動きのゴーレムにかわいいと言う筋肉もりもりの土方のおじさんもいたが、それは見なかったことにしたい。
つまり、レイチェルの指示通り方円陣を組んでコミカルに動き回るゴーレムは、時間稼ぎという目的を果たしていた。
一方、アルテローゼが突撃している滑走路上に陣取った重機部隊の方は…
「敵が攻めてくるぞ」
「なんだあの間抜けな面のロボット兵器は?」
「いや、あんなロボット兵器見たことないぞ。もしかして新型か?」
「いや、突然現れたんだ。普通のロボット兵器じゃないぞ」
「とにかく近づけるな。撃つんだ」
クレイ・ゴーレムを不気味に思ったのか、レーザー銃による射撃を行ってきた。
『ふふふ、その程度の攻撃ならクレイ・ゴーレムには痛くもかゆくもないのじゃ』
普通のロボット兵器であればレーザーを当てれば対レーザー装甲が灼熱したり、関節やセンサーに当たればダメージを負ってしまう。しかしクレイ・ゴーレムは文字通り土塊から作り出されたゴーレムであり、その表皮は土である。土はレーザーで貫かれるが、ゴーレムの体を貫くほどではなくすぐに埋まってしまう。関節や目に当たってもそこも関節やセンサー、回路があるわけではないので、ダメージを負うこともないのだ。
手足が破壊されれば動けなくなるし、胴体の中にある核を壊されたら崩れてしまうのだが、そこまで強力な射撃兵器を革命軍の兵士達は持っていなかった。時折発射される対戦車ミサイルも、アルテローゼが盾でそらしてしまうため、ほとんど無傷でアルテローゼとクレイ・ゴーレムは重機部隊にたどり着いたのだった。
『さて、ここからはお待ちかねの格闘戦じゃ。 いーっひっひっひっ。それゴーレム部隊よ、おぬし達の力を見せてやるのじゃ』
レイフは不気味に笑うと、クレイ・ゴーレム達に重機部隊の排除を命じた。ゴーレムはその巨大な土の腕を振るって、小型重機を次々と叩きつぶしていった。レイフもサボっているわけではなく、アルテローゼのドリルで次々と重機を破壊していった。もちろん、レイチェルに怒られないように、操縦席は狙わず重機だけを破壊しておいたのは言うまでもない。
「くそっ、相手はただの土くれじゃねーか」
「俺たちゃ鉱山で堅い石を相手に戦ってるんだ。こんな土塊に負けるわけにはいかねーぞ」
「そんな愉快な顔をした奴らに負けるかよ~」
最初はクレイ・ゴーレムに怯んでいた革命軍の兵士達だったが、核を破壊されゴーレムが土に戻るのを見て、逆に負けるものかと張り切り始めた。
中型のパワーローダがゴーレムを挽きつぶし、四足歩行の削岩機がゴーレムの核を突き崩す。生身の兵士に至っては、ツルハシはシャベルでゴーレムに戦いを挑んでいた。
『ぬう、以外とやるものじゃ。一時撤退じゃ』
三分の一ほどゴーレムが倒されたところで、レイフはゴーレムを引き連れて、左方向に逃げ出した。
「よっしゃ、逃げ出したぞ」
「逃がすか。追いかけるじゃー」
「うらー、突撃じゃー」
逃げ出したアルテローゼとクレイ・ゴーレムを見て、革命軍は雄叫びを上げてその後を追いかけ始めた。
滑走路から逃げ出したアルテローゼとゴーレム達は、レイチェルが操るゴーレム部隊と合流する地点にたどり付いた。レイチェルのゴーレム部隊が合流したことで、戦力は増えたのだが、革命軍の重機部隊に前後に挟まれ、挟撃される形であり、圧倒的に不利な状況であった。正に絶体絶命の状況だったが、
『ふぅ、ここまで来れば準備完了じゃな』
「そう、もう時間稼ぎの必要はありませんわ」
レイフの言葉に、レイチェルがクスッと微笑む。
「よし、追い詰めたぞ」
「指揮官の敵をとるのじゃー」
そして、革命軍がアルテローゼを倒すべく前進を開始したとき、進路がクリアとなった滑走路にてシャトルが滑走を開始したのだった。
現在のシャトルは、燃料節約のため地上ではジェットエンジンを使用し、大気が薄くなった所からロケットエンジンを点火する。しかし今は緊急事態であり、一刻も早く離陸することが求められている。シャトルの機長はロケットエンジンを地上で点火して一気に離陸するようだった。ズゥゴゴゴゴーと轟音を立てエンジンから長大な炎が吹き出し、シャトルは滑走路を一気に加速していく。
「シャトルが離陸する!」
「あのスピード、ここからじゃ…追いつけないぞ」
「まさか、このために俺達をここに誘い出したのか」
革命軍の兵士達は、離陸していくシャトルを呆然と見上げるのだった。
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