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第八章 湖の騎士
三
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だから燦々たる日の光を浴びた樹々や草花や羊歯の生命力の高まりのように、湖畔の眩しいような賑わいもまたいや増しに昂進していた夏休みのある一日、真壁の家に遊びに来てくれた紀之から剣の作り方を教わったとき、さては自分もいよいよ剣と魔法の異世界の住人になったかと、悠太郎の胸は明澄な湖水のように妖しく揺らめいた。剣といっても紀之が教えてくれたのは、木の枝で作る剣であった。悠太郎が家の裏手にあるトタン屋根の物置小屋から、鞘に入ったずしりと重い鉈を持ち出すと、それを手に取った紀之は庭から道ひとつ隔てた雑木林に潜り込み、すらりとしたヤマハンノキの若木から、手頃な枝を二本打ち落とした。「いいかユウ、これの余計な枝を払って皮を削り取れば、立派な剣ができるんだ。手で握る柄のところだけは皮を残そう。まずは俺がやって見せるからな」と紀之は、指の長い美しい手で器用に鉈を操りながら、若木の枝に細工をした。紀之から鉈を受け取った悠太郎も、おっかなびっくりそれを真似てみた。手に伝わる抵抗を打ち破って、小さな枝を払い落すのは気持ちがよかった。鉈の刃が削るように樹皮を剥ぐと、白い木肌が現れて夏の午後の太陽に眩しく光った。夏鳥の歌と蝉の声と噎せ返るような草いきれのなか、大きな少年と小さな少年は生木の剣を打ち合わせながら、聞こえない音楽の川のような木洩れ日とともに林間の道を流れた。ふと悠太郎は、学校で掃除の時間にかかる音楽のことを思い出した。全学年の児童からひとつの班が構成される縦割り掃除の時間は、通学班の登下校と同じように気が重いが、そんな時間も燦々たる光が喜戯するような、澄み渡る天空から明るい風が吹き通うようなあの音楽があればこそ耐え抜けるのだ。あの音楽の作曲者と曲名を、いつかノリくんが教えてくれたけど、ぼくは忘れてしまった。それをもう一度教えてもらおうか――。悠太郎がそんなことを考えるあいだにも、キアゲハやカラスアゲハがふたりを遠巻きにして舞い飛び、年かさの騎士と年少の騎士との影は、可憐にうつむくレンゲショウマの花を横切っていった。
鷹繋山を正面に望む急な坂道のあたりで、ふと入道雲に遮られて日が翳った。そのとき悠太郎は幼稚園に入る前の三月に、秀子と手を繋いでこの坂道を降りたことを思い出した。そうだった。あの日お母様は照月湖のほとりで、繋いだ手にぶるぶると力を込めながら、「負けては駄目よ、悠太郎」と言ったのだ。「いよいよ来月からは幼稚園が始まるわね。そうすればすぐに学校よ。これからは競争が始まるの。まわりの子たちと仲良くするのも大事だけど、いちばん大事なのは抜きん出ることよ。そうなのよ、差をつけるということ、飛び抜けているということが大事なのよ」とお母様は言ったのだ。ぼくはその期待に応えられただろうか? いや、応えられてなどいないのだ。幼稚園では御所平の大柴映二くんに「弱いくしぇに!」と嘲られてばかりだったし、映二くんがいなくなった小学校でも、中指を突き上げる中島猛夫くんをはじめ、三本辻の右手から来る開拓の粗野な上級生に怯えてばかりいる。いくらお勉強ができたって、体が弱くて足が遅ければ、お母様をがっかりさせてしまう。六里ヶ原マラソンだってビリに近い成績で、開拓の連中に遅れを取ったとお祖父様もお祖母様も不興げだった。ぼくは弱い。誰よりも弱い。とても騎士どころじゃない――。そんな物思いに襲われた悠太郎は突如として立ち止まり、睫毛の長い目を悄然と伏せてうつむいてしまった。「どうしたユウ」と気遣わしげに声をかけた紀之に、悠太郎はか細い声で問うた。「ねえ、ノリくんはどうしていつもぼくなんかと遊んでくれるの? ぼくがお祖父様の、浅間観光の永久名誉顧問の孫だから?」
紀之は弓なりのしなやかな眉を痛ましそうに一瞬ひそめたが、すぐさま爽やかに破顔一笑すると清々しい声で「何を言う」と答えた。「ユウは小さいのに物事を難しく考えるんだな。俺には別段難しい事情はないぞ。ユウのお祖父様やお母様から頼まれているわけじゃないしな。俺がユウと遊ぶのは、一緒にいて楽しいからだ」と紀之が、彼方でボートを浮かべてきらめく照月湖を背景にきっぱりと言ってのけたので、悠太郎の心は驚きに揺らめいた。「楽しいの? こんなに弱いぼくといるのが楽しいの?」と目を見開いて潤ませる悠太郎の顔をのぞき込むように、紀之は言い聞かせた。「ああ、楽しいぞ。同い年の奴といるよりも、よほど楽しいかもしれない。いいかユウ、自分ではまだ気がついていないかもしれないが、おまえはただの子供ではない。俺もおまえくらいの頃はそんなだったから、よく分かるんだ。ユウを見ていると、昔の俺を見ているようでな。何と言ったらいいのかな」と紀之は顔を上げて目を閉じ、緑輝く樹々の葉叢をそよがせて渡る風の音を聞いた。「ユウはきっと、白樺の枝がふるえ始める前から、風の思いを知るような子供だ。そんな気持ちになったことがあるんじゃないのか? そういう子供が腕力に物を言わせて、乱暴を働いたりできるものか。ユウはその弱さを大事にしなければいけないんだ。ユウにはその弱さこそが必要なんだ。今はまだつらいかもしれない。だがもう少し大きくなれば、今日俺の言ったことが分かるだろう」と静かに言った紀之は、改めて悠太郎に向き直ると、持っていた剣の柄を悠太郎に差し出した。「俺の言葉を忘れないために、この剣を受け取れ。弱くあれ悠太郎。弱く優しくあれ。その弱さを守り抜くためにだけ、強くなれ……」揺らめくような夢心地で悠太郎がその剣を受け取りながら、一緒にいて楽しいと初めて言われた喜びに浸り切っているあいだに、はや紀之は別れを告げて大股に坂道を降り、レストラン照月湖ガーデンへと帰っていった。
「なんという今の美しさだろう」と、ふた振りの剣を手にしながら陶然と悠太郎は思った。「今このときの賑わいと、それを包んでいる深い静けさはどうだろう。強くて優しくて何でもできるノリくんと会えることが、ぼくにはなんという嬉しさだろう。こんな時間がいつまでも続いてゆくような気がする。ぼくはこんな時間が、いつまでもいつまでも続いてほしいと思う。こんな今が過ぎ去るなんて、ほとんど考えられない。いったい今は過ぎ去るのだろうか。来年になればノリくんが中学校へ行ってしまうなんて、本当にあり得ることなのだろうか。だがぼくはいつかもやっぱり同じことを思ったし、そのときの今だってやっぱり過ぎていった。これまでに終わらなかった一日はなかったし、終わらなかった一年もなかった。だからこうしてノリくんと遊べる時間も、きっと過ぎ去ってしまうのだ。それはなんという悲しいことであろう……」と悠太郎はレストラン照月湖ガーデンや、ボートを浮かべてきらめく湖を見つめながら考えたが、果たしてその通りになった。
やがて湖畔の賑わいがキャンプファイアーのように燃え尽きて夏休みが終わると、悠太郎を苦しめた運動会の掉尾を飾る鼓笛隊で紀之は、鉄琴の音板を竪琴の形に組み合わせたベルリラを捧げ持って、秋の青空から降る澄んだ日の光のなかで、銀色の音を打ち鳴らしていた。二本の黄色い房飾りのついた輝くベルリラと、ベレー帽を被ってそれを奏でる紀之の勇姿を、悠太郎は二重瞼の大きな目を黒々と見開いて、留夏子は眩しいものでも見るように切れ長の目を細めて、うっとりと見守っていた。きらきらしい鼓笛隊が通り過ぎるように、悠太郎が紀之と遊べる時間も過ぎ去っていった。紅葉が燃えるようなある日曜日には、気怠そうな瞼をしたいづみとも一緒に手漕ぎボートに乗り込んで、悠太郎は紀之からオールの漕ぎ方を教わったし、また枯葉が舞い散るある日曜日には、紀之とふたりでレストラン脇のプレハブ小屋に身を潜め、紙と鉛筆だけで遊べる潜水艦ゲームに興じた。紀之が教えてくれたところによれば、各々が紙に縦横それぞれ七つずつの升目を作り、縦軸には1から7までの番号を、横軸にはAからGまでのアルファベットを割り振る。互いには知らせないその海域に、それぞれ升目五つからなる大型戦艦と、升目四つからなる戦艦二隻と、升目三つからなる空母と、升目ふたつからなる巡洋艦を浮かべる。悠太郎が「Aの4」と言えば、紀之は「外れだ」と答えた。紀之が「Cの5」と言えば悠太郎は「あっ! やられた! 当たりだ!」と叫んで、爆撃を受けた升目にバツ印をつけた。しかし興奮のうちにも悠太郎は声を抑えなければならなかった。狭いプレハブ小屋ではすぐ近くのベッドに、紀之の母親が病臥していたからである。パーマをかけたミディアムショートの髪を茶色に染めた小柄なその婦人は、瞑った両目のあいだの眉間に苦しそうな立皺を刻みながら、蝋のように白い顔色でベッドに眠っていた。入江美和さんはあまり体が丈夫でないと、悠太郎は母の秀子から聞かされていたし、またその夫でやさぐれた風貌の入江信次郎シェフは、料理の腕は確かだが時々パチンコで浪費することがあると聞かされていた。ともあれ病臥する美和さんの傍らで紀之と興ずる潜水艦ゲームは、悠太郎の胸を不思議と甘美に高鳴らせた。だがそんな日々もやがて過ぎていった。
六里ヶ原の厳寒の冬も終わりが見えない三月の初めに、軒先に氷柱の垂れ下がる小学校の体育館で、学習発表会が開かれた。そのとき見られた紀之の英姿もまた、悠太郎にとって忘れ難いものとなった。その年の六年生の出し物は、宮沢賢治の「よだかの星」の劇であった。醜いよだか役をいじめる色とりどりの鳥たちの衣装は、青や緑や黄色といったカラフルなスピードスケートウェアをもとに作られていた。よだかの家を訪れて改名を迫る鷹を演じていたのは、ハイロン通学班を率いるあの大柄な女子であった。こんなことならもう虫を食べないで飢えて死のう、遠くの空の向こうへ行ってしまおうと決意して旅立ったよだかは、何度目かの飛翔の末にとうとう願いを叶えられ、星になって燃えた。その劇の幕切れに、紀之はヴァイオリンを携えて颯爽と登場すると、担任教諭のピアノ伴奏で、観客の胸も裂けよとばかりに哀切なメロディーを奏でたのである。嘆き訴えるようなその旋律は、低く沈み込んでは浮かび上がりまた沈み、あたかも苦しみに満ちたこの地上から、よだかが上げられた星の世界の輝きを仰ぎ見るかのようであった。紀之の左手は、ヴァイオリンのネックの上で確実に音を捉え、聴く者の心を揺さぶるヴィブラートをかけ、右腕は伸びやかに弓を操り、明澄な光を湛えた円かな目は、この世ならぬ世界へと見開かれていた。やがてテンポが上がった。カシオペア座のすぐ隣で今なお燃え続けるよだかの星を、きらびやかに光る星々が取り巻く。あたかもその星々の光のような華麗で激しい楽句の連続となり、そして最初の主題が高音部でいっそう哀切に再現する頃には、多くの児童や教諭や父兄が感涙を禁じ得なかった。とりわけ留夏子は細められた目を赤く泣き腫らしながら、演奏を終えた紀之を食い入るように見つめ、熱烈な拍手を送っていた。悠太郎もまた黒々と見開かれた大きな目に涙を溜めながら、湖の騎士の真骨頂をここに見たと思った。体育館の中央に燃える石油ストーブの音と温もりを感じながら、悠太郎が初めて宮沢賢治の名を意識したのは、実にこのときであった。ちなみに梅子が後で教えてくれたところによれば、紀之が弾いたその曲は「ウッフフ、フォーレさんの〈エレジー〉だね。普通はチェロでやるもんだが、ヴァイオリンとは珍しいね」ということであった。
そんなふうに紀之と過ごした日々のことをひとつひとつ思い出しながら、雨の降りしきる緑濃い通学路を下校して家に帰り着いた悠太郎は、宿題を片づけようと蓋に反射テープの貼られたランドセルを開けたが、そのとき漢字練習帳を学校に忘れてきたことに気がついた。そのことを恐る恐る祖父の千代次に打ち明けると、悠太郎はいま来たばかりの通学路を急いで取って返したが、いつもの倍も歩いて漢字練習帳を持ち帰り、ページいっぱいに「死」の字を書き取りしただけでは、嫌なことは終わらなかった。腐り切ったように顔を歪めた千代次の怒りを、悠太郎はまたもその身に受けなければならなかったのである。「おいユウ、宿題を学校に忘れてくるとは、なんちゅうことだ。このあいだ買ったあの人形のせいで、注意力が散漫になってるじゃあねえのか?」と千代次は孫を問い詰めた。「あの人形」というのは騎士ガンダムのプラモデルのことだと、悠太郎にはすぐに分かった。二頭身にデフォルメされて西洋の騎士の鎧兜に身を固め、剣と盾を手にしたガンダムのプラモデルを、悠太郎はせめて湖の騎士たる紀之の思い出にと、北軽井沢駅前の玩具店で買い求め、組み立てたばかりだったのである。その兜の目庇の陰にきらめく凛々しい目を、悠太郎はどれほど愛したか知れなかった。だが千代次の言う「散漫」という語をまだ知らなかった悠太郎は、二重瞼の物問いたげな大きな目を恐る恐る祖父に向けると、「散漫とはどういう意味でしょう?」と問うた。これが千代次の逆鱗に触れた。「何だと! おめえは散漫という言葉も知らねえのか! それとも知っていて俺に口答えしようちゅうんか!」と怒鳴った千代次は、ふと思いついて「よし、分かった」と怒りにふるえる声で続けた。「ユウ、おめえあの人形をここへ持ってこお」と千代次が命じたので、悠太郎はそれに従って、学習机から騎士ガンダムを居間へ持ってきた。すると千代次は残忍な喜びに口許を歪めて宣告した。「いいかユウ、もう二度と学校の宿題を忘れることがねえように、俺の見ている前でその人形の首を折れ。そうしてこのゴミ箱へ捨てろ」
理不尽な圧迫を受ける屈辱と、愛するものを失う悲嘆のあまり気が遠くなった悠太郎が思い出したのは、小学校で初めての卒業式を控えた三月のある日曜日のことであった。煙草の煙が充満する観光ホテル明鏡閣の社員食堂を、悠太郎は紀之と訪れていた。燃えるストーブの石油臭さが、いつにも増して悠太郎の鼻を突いた。その日は眠たげに気怠そうな瞼をした、耳を垂らした子ウサギのような髪型のいづみも一緒で、ギョロ目を見開いた桜井謙助さんが「おめえはいづみか? それともネズミか?」とからかったので、「うおっほ、うおっほ、うおっほ」と咳払いする南塚支配人や、ひょろりと背の高い撫で肩の三池光子さんや、煙草の煙を口から輪っかの形にして連続で吐き出す黒岩栄作さんや、ゲジゲジ眉毛の橋爪進吉さんや、平たい顔の林浩一さんや、下膨れの顔の秀子は笑っていた。「まあず子供の成長は早えのう。ネズミは四月から幼稚園の年長さんで、ユウは小学校二年か。するとノリ、今度おめえは中学校へ行くのか?」と問うライサクさんに、紀之は屈託のない清々しい声で「はい!」と答えた。壁に飾られた増田ケンポウの写真が、片えくぼを浮かべた豪快な恵比寿顔で、子供たちの成長を見守っているかのようであった。
思い出のなかで響いたその返事の声に、騎士ガンダムの首が折れる鈍い音が重なった。とうとうやってしまった。ぼくはお祖父様に強いられて、ぼくの大切な思い出の証を、ぼく自身の手で処刑してしまった。あんなに凛々しかった騎士ガンダムは無残にもふたつに折れて、いまゴミ箱の底へと落ちた。ではあの優しかったノリくんとも、これで本当にお別れなのだろうか。あの慕わしく懐かしい湖の騎士のことを、もう思い出してはいけないのだろうか。そうだった。おロク婆さんからもらった紙にノリくんが描いてくれた水中花も、ノリくんが手ずから作って授けてくれた若木の剣も、みんなお祖母様がパンチパーマの頭をゆらゆらと揺らしながら、裏庭のゴミ燃し場の灰にしてしまった。そうなのだ。ぼくにとって大切なものは、何ひとつぼくの手には残らないのだ――。睫毛の長い目を悄然と伏せて物思いに沈む悠太郎の胸のなかを、灰色の虚しい風が吹き過ぎた。ふと悠太郎は縦割り掃除の時間に流れる音楽について、紀之に訊きそびれていたことを思い出した。しかしもはや後の祭りであった。燦々たる光が喜戯するような、澄み渡る天空から明るい風が吹き通うようなあの音楽は、悠太郎が二年生になった今年度からは、別の曲に取り換えられていたし、記憶していた楽句のいくつかも、紀之の思い出とともに遠のいてゆくかのようであった。そしていま騎士ガンダムの首を折った瞬間に、悠太郎はその音楽を決定的に忘却してしまった。いかに思い起こそうとしてみても、紀之と剣を打ち合わせながら林間を歩んだあの日の木洩れ日が、無音で目に浮かぶばかりとなった。「それにしても」と悠太郎は縁側に置かれた学習机の椅子に座って、遠くでレンゲツツジの花を濡らす雨の音を聞きながら、漢字練習帳のページいっぱいに書かれた「死」の字を眺めて考えた。「ぼくもまた中学校へ入る日が来るのだろうか。六年生まではまだまだ遠くて、小学校はいつまで経っても終わらないような気がする。だがぼくが一年生だった時間は終わってしまったではないか。だから同じように一年また一年が終わってゆくに違いない。そうしてやっぱりぼくも中学校へ入る日が来るのだ。だがそのときノリくんはどこにいるのか。ぼくと遊ぶのが楽しいと言ってくれたノリくんは、ぼくに弱さを大切にしろと言ってくれた湖の騎士はどこにいるのか。もう会えないのだと思うと、胸が張り裂けそうに切ない。なぜ出会った人と別れなければならないのか。なぜ与えられたものを奪われなければならないのか。そしてなぜ素晴らしい時間は留まることなく過ぎ去って、ぼくたちは死んでゆかなければならないのか……」
悪夢が記された教科書のような小学校最初の一年のなかに、美しい挿絵のように描かれた紀之とのいくつもの日曜日が、今こそ本当に終わったのだと悠太郎は思った。思い出のなかの紀之は、ライサクさんの問いに屈託のない清々しい声で「はい!」と答えると、ベルリラを銀色に打ち鳴らしながら、ベレー帽を被ったきらびやかな鼓笛隊とともに中学校のほうへ、悠太郎には手の届かない時の彼方へ進み去ってしまった。
鷹繋山を正面に望む急な坂道のあたりで、ふと入道雲に遮られて日が翳った。そのとき悠太郎は幼稚園に入る前の三月に、秀子と手を繋いでこの坂道を降りたことを思い出した。そうだった。あの日お母様は照月湖のほとりで、繋いだ手にぶるぶると力を込めながら、「負けては駄目よ、悠太郎」と言ったのだ。「いよいよ来月からは幼稚園が始まるわね。そうすればすぐに学校よ。これからは競争が始まるの。まわりの子たちと仲良くするのも大事だけど、いちばん大事なのは抜きん出ることよ。そうなのよ、差をつけるということ、飛び抜けているということが大事なのよ」とお母様は言ったのだ。ぼくはその期待に応えられただろうか? いや、応えられてなどいないのだ。幼稚園では御所平の大柴映二くんに「弱いくしぇに!」と嘲られてばかりだったし、映二くんがいなくなった小学校でも、中指を突き上げる中島猛夫くんをはじめ、三本辻の右手から来る開拓の粗野な上級生に怯えてばかりいる。いくらお勉強ができたって、体が弱くて足が遅ければ、お母様をがっかりさせてしまう。六里ヶ原マラソンだってビリに近い成績で、開拓の連中に遅れを取ったとお祖父様もお祖母様も不興げだった。ぼくは弱い。誰よりも弱い。とても騎士どころじゃない――。そんな物思いに襲われた悠太郎は突如として立ち止まり、睫毛の長い目を悄然と伏せてうつむいてしまった。「どうしたユウ」と気遣わしげに声をかけた紀之に、悠太郎はか細い声で問うた。「ねえ、ノリくんはどうしていつもぼくなんかと遊んでくれるの? ぼくがお祖父様の、浅間観光の永久名誉顧問の孫だから?」
紀之は弓なりのしなやかな眉を痛ましそうに一瞬ひそめたが、すぐさま爽やかに破顔一笑すると清々しい声で「何を言う」と答えた。「ユウは小さいのに物事を難しく考えるんだな。俺には別段難しい事情はないぞ。ユウのお祖父様やお母様から頼まれているわけじゃないしな。俺がユウと遊ぶのは、一緒にいて楽しいからだ」と紀之が、彼方でボートを浮かべてきらめく照月湖を背景にきっぱりと言ってのけたので、悠太郎の心は驚きに揺らめいた。「楽しいの? こんなに弱いぼくといるのが楽しいの?」と目を見開いて潤ませる悠太郎の顔をのぞき込むように、紀之は言い聞かせた。「ああ、楽しいぞ。同い年の奴といるよりも、よほど楽しいかもしれない。いいかユウ、自分ではまだ気がついていないかもしれないが、おまえはただの子供ではない。俺もおまえくらいの頃はそんなだったから、よく分かるんだ。ユウを見ていると、昔の俺を見ているようでな。何と言ったらいいのかな」と紀之は顔を上げて目を閉じ、緑輝く樹々の葉叢をそよがせて渡る風の音を聞いた。「ユウはきっと、白樺の枝がふるえ始める前から、風の思いを知るような子供だ。そんな気持ちになったことがあるんじゃないのか? そういう子供が腕力に物を言わせて、乱暴を働いたりできるものか。ユウはその弱さを大事にしなければいけないんだ。ユウにはその弱さこそが必要なんだ。今はまだつらいかもしれない。だがもう少し大きくなれば、今日俺の言ったことが分かるだろう」と静かに言った紀之は、改めて悠太郎に向き直ると、持っていた剣の柄を悠太郎に差し出した。「俺の言葉を忘れないために、この剣を受け取れ。弱くあれ悠太郎。弱く優しくあれ。その弱さを守り抜くためにだけ、強くなれ……」揺らめくような夢心地で悠太郎がその剣を受け取りながら、一緒にいて楽しいと初めて言われた喜びに浸り切っているあいだに、はや紀之は別れを告げて大股に坂道を降り、レストラン照月湖ガーデンへと帰っていった。
「なんという今の美しさだろう」と、ふた振りの剣を手にしながら陶然と悠太郎は思った。「今このときの賑わいと、それを包んでいる深い静けさはどうだろう。強くて優しくて何でもできるノリくんと会えることが、ぼくにはなんという嬉しさだろう。こんな時間がいつまでも続いてゆくような気がする。ぼくはこんな時間が、いつまでもいつまでも続いてほしいと思う。こんな今が過ぎ去るなんて、ほとんど考えられない。いったい今は過ぎ去るのだろうか。来年になればノリくんが中学校へ行ってしまうなんて、本当にあり得ることなのだろうか。だがぼくはいつかもやっぱり同じことを思ったし、そのときの今だってやっぱり過ぎていった。これまでに終わらなかった一日はなかったし、終わらなかった一年もなかった。だからこうしてノリくんと遊べる時間も、きっと過ぎ去ってしまうのだ。それはなんという悲しいことであろう……」と悠太郎はレストラン照月湖ガーデンや、ボートを浮かべてきらめく湖を見つめながら考えたが、果たしてその通りになった。
やがて湖畔の賑わいがキャンプファイアーのように燃え尽きて夏休みが終わると、悠太郎を苦しめた運動会の掉尾を飾る鼓笛隊で紀之は、鉄琴の音板を竪琴の形に組み合わせたベルリラを捧げ持って、秋の青空から降る澄んだ日の光のなかで、銀色の音を打ち鳴らしていた。二本の黄色い房飾りのついた輝くベルリラと、ベレー帽を被ってそれを奏でる紀之の勇姿を、悠太郎は二重瞼の大きな目を黒々と見開いて、留夏子は眩しいものでも見るように切れ長の目を細めて、うっとりと見守っていた。きらきらしい鼓笛隊が通り過ぎるように、悠太郎が紀之と遊べる時間も過ぎ去っていった。紅葉が燃えるようなある日曜日には、気怠そうな瞼をしたいづみとも一緒に手漕ぎボートに乗り込んで、悠太郎は紀之からオールの漕ぎ方を教わったし、また枯葉が舞い散るある日曜日には、紀之とふたりでレストラン脇のプレハブ小屋に身を潜め、紙と鉛筆だけで遊べる潜水艦ゲームに興じた。紀之が教えてくれたところによれば、各々が紙に縦横それぞれ七つずつの升目を作り、縦軸には1から7までの番号を、横軸にはAからGまでのアルファベットを割り振る。互いには知らせないその海域に、それぞれ升目五つからなる大型戦艦と、升目四つからなる戦艦二隻と、升目三つからなる空母と、升目ふたつからなる巡洋艦を浮かべる。悠太郎が「Aの4」と言えば、紀之は「外れだ」と答えた。紀之が「Cの5」と言えば悠太郎は「あっ! やられた! 当たりだ!」と叫んで、爆撃を受けた升目にバツ印をつけた。しかし興奮のうちにも悠太郎は声を抑えなければならなかった。狭いプレハブ小屋ではすぐ近くのベッドに、紀之の母親が病臥していたからである。パーマをかけたミディアムショートの髪を茶色に染めた小柄なその婦人は、瞑った両目のあいだの眉間に苦しそうな立皺を刻みながら、蝋のように白い顔色でベッドに眠っていた。入江美和さんはあまり体が丈夫でないと、悠太郎は母の秀子から聞かされていたし、またその夫でやさぐれた風貌の入江信次郎シェフは、料理の腕は確かだが時々パチンコで浪費することがあると聞かされていた。ともあれ病臥する美和さんの傍らで紀之と興ずる潜水艦ゲームは、悠太郎の胸を不思議と甘美に高鳴らせた。だがそんな日々もやがて過ぎていった。
六里ヶ原の厳寒の冬も終わりが見えない三月の初めに、軒先に氷柱の垂れ下がる小学校の体育館で、学習発表会が開かれた。そのとき見られた紀之の英姿もまた、悠太郎にとって忘れ難いものとなった。その年の六年生の出し物は、宮沢賢治の「よだかの星」の劇であった。醜いよだか役をいじめる色とりどりの鳥たちの衣装は、青や緑や黄色といったカラフルなスピードスケートウェアをもとに作られていた。よだかの家を訪れて改名を迫る鷹を演じていたのは、ハイロン通学班を率いるあの大柄な女子であった。こんなことならもう虫を食べないで飢えて死のう、遠くの空の向こうへ行ってしまおうと決意して旅立ったよだかは、何度目かの飛翔の末にとうとう願いを叶えられ、星になって燃えた。その劇の幕切れに、紀之はヴァイオリンを携えて颯爽と登場すると、担任教諭のピアノ伴奏で、観客の胸も裂けよとばかりに哀切なメロディーを奏でたのである。嘆き訴えるようなその旋律は、低く沈み込んでは浮かび上がりまた沈み、あたかも苦しみに満ちたこの地上から、よだかが上げられた星の世界の輝きを仰ぎ見るかのようであった。紀之の左手は、ヴァイオリンのネックの上で確実に音を捉え、聴く者の心を揺さぶるヴィブラートをかけ、右腕は伸びやかに弓を操り、明澄な光を湛えた円かな目は、この世ならぬ世界へと見開かれていた。やがてテンポが上がった。カシオペア座のすぐ隣で今なお燃え続けるよだかの星を、きらびやかに光る星々が取り巻く。あたかもその星々の光のような華麗で激しい楽句の連続となり、そして最初の主題が高音部でいっそう哀切に再現する頃には、多くの児童や教諭や父兄が感涙を禁じ得なかった。とりわけ留夏子は細められた目を赤く泣き腫らしながら、演奏を終えた紀之を食い入るように見つめ、熱烈な拍手を送っていた。悠太郎もまた黒々と見開かれた大きな目に涙を溜めながら、湖の騎士の真骨頂をここに見たと思った。体育館の中央に燃える石油ストーブの音と温もりを感じながら、悠太郎が初めて宮沢賢治の名を意識したのは、実にこのときであった。ちなみに梅子が後で教えてくれたところによれば、紀之が弾いたその曲は「ウッフフ、フォーレさんの〈エレジー〉だね。普通はチェロでやるもんだが、ヴァイオリンとは珍しいね」ということであった。
そんなふうに紀之と過ごした日々のことをひとつひとつ思い出しながら、雨の降りしきる緑濃い通学路を下校して家に帰り着いた悠太郎は、宿題を片づけようと蓋に反射テープの貼られたランドセルを開けたが、そのとき漢字練習帳を学校に忘れてきたことに気がついた。そのことを恐る恐る祖父の千代次に打ち明けると、悠太郎はいま来たばかりの通学路を急いで取って返したが、いつもの倍も歩いて漢字練習帳を持ち帰り、ページいっぱいに「死」の字を書き取りしただけでは、嫌なことは終わらなかった。腐り切ったように顔を歪めた千代次の怒りを、悠太郎はまたもその身に受けなければならなかったのである。「おいユウ、宿題を学校に忘れてくるとは、なんちゅうことだ。このあいだ買ったあの人形のせいで、注意力が散漫になってるじゃあねえのか?」と千代次は孫を問い詰めた。「あの人形」というのは騎士ガンダムのプラモデルのことだと、悠太郎にはすぐに分かった。二頭身にデフォルメされて西洋の騎士の鎧兜に身を固め、剣と盾を手にしたガンダムのプラモデルを、悠太郎はせめて湖の騎士たる紀之の思い出にと、北軽井沢駅前の玩具店で買い求め、組み立てたばかりだったのである。その兜の目庇の陰にきらめく凛々しい目を、悠太郎はどれほど愛したか知れなかった。だが千代次の言う「散漫」という語をまだ知らなかった悠太郎は、二重瞼の物問いたげな大きな目を恐る恐る祖父に向けると、「散漫とはどういう意味でしょう?」と問うた。これが千代次の逆鱗に触れた。「何だと! おめえは散漫という言葉も知らねえのか! それとも知っていて俺に口答えしようちゅうんか!」と怒鳴った千代次は、ふと思いついて「よし、分かった」と怒りにふるえる声で続けた。「ユウ、おめえあの人形をここへ持ってこお」と千代次が命じたので、悠太郎はそれに従って、学習机から騎士ガンダムを居間へ持ってきた。すると千代次は残忍な喜びに口許を歪めて宣告した。「いいかユウ、もう二度と学校の宿題を忘れることがねえように、俺の見ている前でその人形の首を折れ。そうしてこのゴミ箱へ捨てろ」
理不尽な圧迫を受ける屈辱と、愛するものを失う悲嘆のあまり気が遠くなった悠太郎が思い出したのは、小学校で初めての卒業式を控えた三月のある日曜日のことであった。煙草の煙が充満する観光ホテル明鏡閣の社員食堂を、悠太郎は紀之と訪れていた。燃えるストーブの石油臭さが、いつにも増して悠太郎の鼻を突いた。その日は眠たげに気怠そうな瞼をした、耳を垂らした子ウサギのような髪型のいづみも一緒で、ギョロ目を見開いた桜井謙助さんが「おめえはいづみか? それともネズミか?」とからかったので、「うおっほ、うおっほ、うおっほ」と咳払いする南塚支配人や、ひょろりと背の高い撫で肩の三池光子さんや、煙草の煙を口から輪っかの形にして連続で吐き出す黒岩栄作さんや、ゲジゲジ眉毛の橋爪進吉さんや、平たい顔の林浩一さんや、下膨れの顔の秀子は笑っていた。「まあず子供の成長は早えのう。ネズミは四月から幼稚園の年長さんで、ユウは小学校二年か。するとノリ、今度おめえは中学校へ行くのか?」と問うライサクさんに、紀之は屈託のない清々しい声で「はい!」と答えた。壁に飾られた増田ケンポウの写真が、片えくぼを浮かべた豪快な恵比寿顔で、子供たちの成長を見守っているかのようであった。
思い出のなかで響いたその返事の声に、騎士ガンダムの首が折れる鈍い音が重なった。とうとうやってしまった。ぼくはお祖父様に強いられて、ぼくの大切な思い出の証を、ぼく自身の手で処刑してしまった。あんなに凛々しかった騎士ガンダムは無残にもふたつに折れて、いまゴミ箱の底へと落ちた。ではあの優しかったノリくんとも、これで本当にお別れなのだろうか。あの慕わしく懐かしい湖の騎士のことを、もう思い出してはいけないのだろうか。そうだった。おロク婆さんからもらった紙にノリくんが描いてくれた水中花も、ノリくんが手ずから作って授けてくれた若木の剣も、みんなお祖母様がパンチパーマの頭をゆらゆらと揺らしながら、裏庭のゴミ燃し場の灰にしてしまった。そうなのだ。ぼくにとって大切なものは、何ひとつぼくの手には残らないのだ――。睫毛の長い目を悄然と伏せて物思いに沈む悠太郎の胸のなかを、灰色の虚しい風が吹き過ぎた。ふと悠太郎は縦割り掃除の時間に流れる音楽について、紀之に訊きそびれていたことを思い出した。しかしもはや後の祭りであった。燦々たる光が喜戯するような、澄み渡る天空から明るい風が吹き通うようなあの音楽は、悠太郎が二年生になった今年度からは、別の曲に取り換えられていたし、記憶していた楽句のいくつかも、紀之の思い出とともに遠のいてゆくかのようであった。そしていま騎士ガンダムの首を折った瞬間に、悠太郎はその音楽を決定的に忘却してしまった。いかに思い起こそうとしてみても、紀之と剣を打ち合わせながら林間を歩んだあの日の木洩れ日が、無音で目に浮かぶばかりとなった。「それにしても」と悠太郎は縁側に置かれた学習机の椅子に座って、遠くでレンゲツツジの花を濡らす雨の音を聞きながら、漢字練習帳のページいっぱいに書かれた「死」の字を眺めて考えた。「ぼくもまた中学校へ入る日が来るのだろうか。六年生まではまだまだ遠くて、小学校はいつまで経っても終わらないような気がする。だがぼくが一年生だった時間は終わってしまったではないか。だから同じように一年また一年が終わってゆくに違いない。そうしてやっぱりぼくも中学校へ入る日が来るのだ。だがそのときノリくんはどこにいるのか。ぼくと遊ぶのが楽しいと言ってくれたノリくんは、ぼくに弱さを大切にしろと言ってくれた湖の騎士はどこにいるのか。もう会えないのだと思うと、胸が張り裂けそうに切ない。なぜ出会った人と別れなければならないのか。なぜ与えられたものを奪われなければならないのか。そしてなぜ素晴らしい時間は留まることなく過ぎ去って、ぼくたちは死んでゆかなければならないのか……」
悪夢が記された教科書のような小学校最初の一年のなかに、美しい挿絵のように描かれた紀之とのいくつもの日曜日が、今こそ本当に終わったのだと悠太郎は思った。思い出のなかの紀之は、ライサクさんの問いに屈託のない清々しい声で「はい!」と答えると、ベルリラを銀色に打ち鳴らしながら、ベレー帽を被ったきらびやかな鼓笛隊とともに中学校のほうへ、悠太郎には手の届かない時の彼方へ進み去ってしまった。
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