上 下
88 / 112
第1章 魔王軍VS地球軍編

第八十一話 魔王様の死

しおりを挟む
「なんやなんや? やっとあの馬鹿女倒したんか? 遅かったな、もう貴様らの自慢の軍は壊滅状態やぞ? お前らが遅かったせいでな!」
「違います魔王様……俺が……俺が弱かったから!」
「ここまで良くやってくれたねテト君、後は……任せておいて」
「おねがいじまず!」


 テトさんをこんなにまで追い詰めたアルテミス、絶対許さない!


「ごめん、今ちょっと怒ってるから自制心効かないかも」
「魔王様、俺もです」
「そんなの全員同じに決まってるでしょ! さっさとあいつぶっ殺すわよ!」
「あ? 貴様ら何人おろうが妾には敵わんわ!」


 みんながアルテミスに向けて攻撃をしている隙に、俺は秘密兵器を大量に精製する。残念ながら俺はこんなことしか出来ないからな。でも、戦闘機は俺がなんとかする。みんなの後ろは俺が守る。もちろん、テトさんや、その軍の生き残りは今も戦闘機と戦っている。俺が送っていた秘密兵器は全てアルテミスにやられていたようだ。だが、今のアルテミスにそんなことは出来ないだろう。そんなことをしていたら、アルテミスはみんなにボコられるだけだ。
 魔王様は、重力を操ってアルテミスを攻撃していた。アルテミスのメイン武器は弓のはずだ。だったら重力を操られたらだいぶ困るだろう。


「ちっ、弓は使われへんか、ならこれならどうや!」


 アルテミスは弓を捨て、肉弾戦に出た。普通弓を使うようなキャラは肉弾戦は苦手なはずだが、アルテミスはシャルティアたんと渡り合う、いやそれ以上くらいに強かった。


「お前今までで一番強いのだー。これなら本気出してもよさそうなのだー」


 シャルティアたんの動きが段違いに速くなる。俺が目で追えないくらいに。俺も結構強くなったと思ってたんだけどな……まだまだってことか。だが、その速さのシャルティアたんにアルテミスもついていけている。とはいえ、先程までとは違い、圧倒的に押していた。


「あんたの相手はシャルティアと魔王様だけじゃなくってよ?」


 アスカさんはその隙を見て、的確にアルテミスの動きを先読みし、動きを制限していた。そして、ミツハたんはみんなにバフをかけていた。そのせいもあってシャルティアたんはあんなに速いのか。というかバフとか俺のセレスの特権だと思ってたのに、それすらもミツハたんは出来てしまうのかよ。
 そんな感じで、アルテミスとの戦いを見ながら秘密兵器を大量精製していたら、戦闘機は全部落とされていた。あとは魔法で敵を捕らえる作業だけだから、テトさんに任せるか。俺も少しくらいは役に立たないとな。
 ということで、俺はセレスを召喚する。ミツハたんと役割は被ってしまうが、俺が出来るのはバフをかけることぐらいだ。下手にあの戦闘に割って入ったら邪魔になりかねないからな。
 それによってかどうかはあまりわからないが、俺達は完全に押していた。もう戦況は覆らないほどに。だからこそ、俺達は気を抜いてしまっていた。アルテミスは戦いの最中に弓を拾ってこう言った。


「荒巻、ありがとうな、俺にキャラクターという力を与えてくれてよ? その点だけはお前に感謝してるんだぜ? スキル発動、最後の弓!」


 やばい、そう思った時にはもう遅かった。あれは花嫁アルテミスのスキルで、「どんな場所にいる相手でも必ず当たる弓を10発放つ」というものだ。その標的に選ばれたのは、弓の使用を制限している魔王様だった。弓さえあればなんとかなると考えたのだろう。弓を使ってもう一度スキルを溜めたらもう負けはないと。そして、魔王様はその弓を10発全部食らってしまった。そして魔王様は、血を吐いてその場に倒れてしまった。


「魔王様!」


 気がついた時には俺は魔王様に向かって走り出していた。魔王様は息をしていなかった。


「隙だらけや!」
「やらせないのじゃ!」


 怒りが俺を覆い尽くしていた。


「なら当たるまで何発でも撃つだけや!」
「撃たせないのだー!」


 殺す、絶対に、あいつを。


「次はお前だ荒巻!」
「やらせないって言ってるでしょ!」


 俺の中の何かが俺に問いかけてきていた。


「これで終わりや!」
「回復なんかしてられる場合じゃない! ご主人様をやらせてたまるか!」


「力が欲しいか?」と。
 俺は、首を縦に振った。その瞬間、俺の中の何かが解放された。


「はっはっは! なあアルテミス、お前いつからそんなに偉くなった? ああ?」
「貴様、まさか!?」
「俺を封印しておいてただで済むと思ってんじゃないだろうな?」


 俺の中の破壊神が目を覚ました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。 全力でお母さんと幸せを手に入れます ーーー カムイイムカです 今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします 少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^ 最後まで行かないシリーズですのでご了承ください 23話でおしまいになります

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

私を裏切った相手とは関わるつもりはありません

みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。 未来を変えるために行動をする 1度裏切った相手とは関わらないように過ごす

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

処理中です...