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30アルナンド。もぉぉ、やりすぎですよ
しおりを挟むみんな楽しそうだ。
でも、まだ本音はわからない。
このままゲームを続けるしかないとプリムローズは思う。
ぐるぐる男女に別れて回り始めてダイルがストップと号令を出す。
今度はプリムローズとカイルが向い合せになった。
チャンスとばかりにプリムローズはローリーとの事を聞く。
「カイル?ローリーと付き合ってみない?」
「はぁ?何だよそれ。俺はお前となら付き合ってもいい。だからここに来たんだからな」
「じょ、冗談でしょ。ごめんカイト。私まだそんな気にはなれないの」
「じゃあ、お前がその気になるまで待つ。そんな事より今度どこかで会えないか?」
「カイト今断ったじゃない。いい加減にしてよ!」
「……」
プリムローズはふんと頬を膨らませた。
意外と打たれ弱いカイトはそれ以上何も言えなくなった。
「いいですかみなさん。次は互いに見つめ合うです。さあ、互いに見つめ合って下さい」
ダイルさんグッドタイミング!
「な、何なんだ。これ。そんな事出来るか!」そう言ったのはアルナンドだった。
「これはゲームですよ。さあ、頑張ってみなさん」ダイルはアルナンドに笑顔で言う。
プリムローズはカイトに見つめられて赤くなる。
「カイトったら。もう、いいからゲームやって」
「だからやってる。プリムローズこそちゃんと見ろよ…会ってくれよ」
カイトがプリムローズを引き寄せたのでプリムローズの脚がふらついてよろけてカイトの胸に飛び込んでしまう。
「いいですね。見つめ合うだけでなくて、はぐもありでいいですよ」
(もぉ、ダイルさん、余計な事ですから)
そんなプリムローズを見てむっとしたのはアルナンドだった。
相手はフランソワだった。
ムカッとした気持ちのまま彼女を思いっきり見つめる。が…アルナンドがイライラした気持ちで人を見つめるとどうなるか…
紫色の瞳がキラッと光って一筋のダイアモンドのような光が輝く。
アルナンドは氷竜。ほんの少し力を使えばどうなるか…
それは相手を一瞬で凍らせるという恐ろしい必殺技なのだ。
「アルナンドやめろ!」ダイルが声を上げるがすでに遅かった。
フランソワのワンピースドレスがパキパキっと凍り付いた。さすがに早かったので身体は無事だったがフランソワの顔は凍り付く。
「きゃ~恐い。わ、わたしこんなの無理ですから」
他の女性も驚いてみんな壁際に走って行く。
「フランソワ。大丈夫だから…みなさんも心配しないで。レゴマール、ブレディ皆さんに飲み物でもお出しして」
プリムローズは急いで奥の部屋にフランソワを連れて行きながらアルナンドを睨みつける。
「アルナンド。もぉぉ、やり過ぎですよ!」
アルナンドは子犬のようにしょんぼりしょげて床に座り込んだ。
プリムローズは構わずフランソワに付き添いながら「ダイルさんピックも来てください」と声をかける。
奥の部屋にフランソワを連れて行くとダイルとピックに尋ねる。
「ふたりで温かい風作れます?」
一瞬ふたりは考え込むが…
「ああ」
ふたりで協力して指先から出た炎に風を吹きかけてドライヤーのように温かな風をフランソワの服にあてる。
「フランソワさん、どうかしら?」
「ええ、こんなの初めてですわ。でも、温かい風が気持ちいいです。あっ、服も乾いてきましたし」
フランソワは少し落ち着いたのか気持ちよさそうに風にあたる。
プリムローズはほっと胸を撫ぜ下ろす。
「ダイルさん。アルナンドには今日のイベントはやめてもらいましょう。その代りピックが代わりに入って下さい」
「そうですね。アルナンドもきっと緊張しているのでしょう。今後二度とこんなことはないようにしますから…あっ、私はブレディに頼んでアルナンドを部屋に戻らせて皆さんに説明してきますので」
「ええ、お願いします」
こうしてアルナンドは屋敷の自室に戻りみんなは落ち着きを取り戻した。
そしてゲームは続行となった。
アルナンドは部屋に戻るとベッドに突っ伏した。
脳内によぎるのはプリムローズの事ばかり。
番認識阻害薬を飲んで入るものの、彼女が番と分かってることでアルナンドの感情は激しく揺さぶられる。
(冷静沈着とうたわれた俺が…プリムローズを見るとつい…感情が掻き乱されて自分の感情がコントロールできなくなる)
アルナンドは竜人の中でもかなりの魔力を持っていて幼いころから魔力暴走を起こして何度も命の危機を起こして来た。
大抵の竜人は大人になると魔力が安定して魔力暴走は収まるのだがアルナンドは特別らしく大人になった今でも時々魔力が暴走する事があった。
そして今日は、数日間の緊張と混乱でアルナンドの体内で魔力が膨れ上がっていた。
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