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24ローリーの好きな人
しおりを挟む「プリムローズ。遅くなってごめん」
カイトはプリムローズを見つけると近づいてきた。
「ううん、来てくれたんだ。ありがとう」
「こっちこそ、話したら皆行きたいって言うから遅くなった。ローリーも一緒だし他にも友達が来たんだ」
カイトの友達が3人とローリーがいた。
ローリーと同じ機織り工房には仲のいい幼なじみのマリーンと言う子がいるのだが今日は他に用があるらしい。
プリムローズはカイトたちが来てくれてすごくうれしかった。
満面の笑みとはこの事かと言わんばかりの顔で弾けたようにみんなを出迎える。
「うわっ、みんなありがとう。今日は楽しんで行ってね。早速お化け屋敷から…そうだ。ローリー良かったらアルナンドと一緒にどうかな?」
プリムローズはローリーにゆっくり話しかける。
「あるなんど、さん?」
ローリーは誰かわかったらしくすぐにうなずいた。
「良かった。アルナンドとは話が出来るみたいだったから、楽しいかなって思ったの」
「話が出来るってどういうことだよ?」カイトが不思議そうに聞く。
「頭の中で考えてることが通じるみたいって事かな?」
プリムローズもどう説明していいかわからない。
「ちょっと待っててアルナンド呼んでくる。彼、アイスキャンディーの担当なの」
プリムローズは急いでアルナンドを呼びに行く。
「アルナンドさん。ローリーが来たの。一緒にお化け屋敷。お願いね」
「あっ、でも、こっちも大忙しなんだ。俺でなくてもいいだろう?きっとレゴマールとかブレディでも同じだろう」
「でも、一度会ってるあなたの方がいいと思うから…ここは私が何とかするからお願い」
アルナンドは一瞬嫌な顔をしたが、仕方がないと肩を落とした。
「まあ、そこまで言うなら…行って来る」
アルナンドは渋々腰を上げる。その顔ははっきり言わなくてもあまりうれしそうではない。
(なに?せっかくチャンス作ったのに…もしアルナンドとローリーがカップルになればすごくいいと思うんだけど…ローリーは可愛いしスタイルだっていいし…)
そしてプリムローズはしばらくアイスキャンディーや果実水の販売で忙しくしているとカイトやローリーたちがお化け屋敷の出口から出て来た。
ローリーはさすがに恐かったのか、アルナンドの腕にしがみついていた。
アルナンドもそんなローリーを気遣うように彼女を優しい目で見つめていた。
ふたりは見つめ合って息もぴったりとまるで恋人同士みたいに見えた。
いきなり胸がズクンと痛んだ。
(なに?私どうしてふたりを見てこんなに胸が痛むの?あれ?おかしい。アルナンドとローリーならお似合いだってあんなに思ってたのに…)
いざ、ふたりを見た途端、なんだか胸の奥が痛んで、それにローリーが羨ましいなどと思ってしまった。
(そんなのおかしい。私きっと疲れてるんだ)
プリムローズはおかしな考えを無理に抑え込んだ。
そして何度も深呼吸をして落ち着くとやっとカイトたちに近づく。
「カイト、ローリー楽しんでくれた?」
「ああ、あの目玉がポトリって落ちるのめちゃくちゃ恐かったよ。何だかこんなの初めてだけどすげぇ楽しかった。なぁ、ローリーも楽しそうだったよな?」
カイトはローリーの方を見てゆっくり話をする。
ローリーはゆっくり頷いて話をする。
「ええ、たのしくなんか…こわかったよ」
「でも、良かったじゃないか、一緒の人が優しくてさぁ」
「そんなの…」
ローリーはカイトにそう言われて黙った。
プリムローズは気まずい雰囲気を和ませようと声をかける。
「さあさあ、ここでゆっくりしてね。飲み物なんかもあるし花火もあるの。それにもし良かったら真剣交際希望だったら申し込むも受け付けてるの。どうお友達も?」
ここは商売っけを出して思い切って話をする。
これが目的なんだもの。割り切っていかなきゃね。
「プリムローズ。俺は戻るぞ。せっかく友達が来たんだろう。お前はここで少し休んでいいぞ」
アルナンドは急いでアイスキャンディーの方に走って行く。
「アルナンド。でも、せっかくだからローリーともっと一緒にいてくれたらいいのに…」
そんな言葉は聞こえないとでも言いたげにアルナンドはすでにアイスキャンディー作りに取り掛かっている。
プリムローズは諦めてカイトたちに飲み物を進めローリーに話しかけた。
「どうだったローリー?」
ローリーは椅子に腰かけてにこにこしている。
大きく頷くとゆっくり話をし始めた。
「たのしかったよ。とっても、でも目玉がこわかった…」
ローリーは微笑みながら話をする。
「あの…それであるなんどはどうだった?」
「あっ、かれ。やさしかった。でも…」
ローリーは申し訳なさそうにうつむく。
プリムローズはローリーの手を取って言う。
「いいの。ごめんね。よけいなことだった?」
「ぷりむろーず。ううん、ちがう。ありがとう。すごくたのしかったよ」
「良かった。もしかしてローリー好きな人いるの?」
ローリーは恥ずかしそうにカイトを見つめた。それで気づいた。ローリーはカイトが好きなことを。
「あっ!か…」
そう言いかけるとローリーは慌てて人差し指を唇に当てた。
ないしょにしてと。私は急いで口を閉じた。
ローリーの気持ちが痛いほどわかった。自分はふさわしくないと思ってるのだろう。
「そんな事ない。ローリー応援するから」とプリムローズが唇を動かすとローリーはさっきよりもっと嬉しそうにほほ笑んだ。
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