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番外編(幼稚園・小学生編)

たとえばこんな転生モブがいる3

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 修学旅行。それは、小学校生活の中でも、特別な意味を持つものだ。なんといっても、泊まりがけ。そう、意中の相手とひとつ屋根の下、一日中一緒にいれるのだ。こんなにテンションが上がらずにはいられないことがあろうか?いや、ないっ!
 つまり、私が言いたいのは、そう、推しと!お泊まりっっ!
 なんて、心躍る響きだろうか。素晴らしい。
 なんて言っても、お泊まり。普段は見れない、あんな姿やこんな姿が見れるのだ。なんて素晴らしい。風呂上がりの姿とか、尊いんだろうな。あ、召される。
 とはいえ、一日中一緒に、なんていうのは選ばれし一握りの人間のみ。そう、生で、07れいなな(※玲弥×璃空のこと)や夏七が見れるのなんて、限られた人間だけ。はあ、この世は無情です。
 え、選ばれし人間って?そんなの、あの三人と同じ班の子のことに決まってるじゃないですか、やだー。
 いやー、争奪戦がスゴカッタネ。まあ、推しと日向くんは、りあちゃんさえ一緒なら女子は誰でもいいって感じで、女子の班員はりあちゃんに丸投げで、男子はテキトーに選んでたけど。女子の班員?りあちゃんが、仲の良い心雪ちゃんと瑠花ちゃんを指名してそれで終わりですが?水面下で行われていた争奪戦なんてなかったんだよ、ウン。ただ、りあちゃんと同室の女子部屋の争奪戦なんて激しかったケドネ、ウン。しれっと、同室の座は保守しましたが何か?

 「クッ。同じ班、くそ羨ましいっ」
 「ああ?うっせーよ。ったく、夏目も日向もめんどーなもん、押し付けやがって…」

 今、私が恨めしい目で見ているのを、心底ウザったいっと表情を歪ませて、チラりとゲームから目線だけこちらに寄越して、こちらを見ているのは、我が幼なじみ。いや、腐れ縁と言った方がいいだろうか。この腐れ縁と言うべき幼なじみ、名前は高橋たかはしまことという。まあ、どこにでもいそうな苗字、名前のこの幼なじみだが、顔は良い方だ。というか、我が最推しや日向くんーーさすが乙女ゲーの攻略対象者や乙女ゲー産の人気のイケメンともいう彼らーーのようなイケメンを高望みをせずに、周りを見渡すと、この我が幼なじみがかっこいい、となるみたいだ。ほら、いるでしょ?クラスで三番目にかっこいいってなる男子。あれだ。やっぱり、乙女ゲーム産の男は群を抜いてイケメンではあるが。
 そう、何を隠そう。この幼なじみ、推しと日向くんと同じ班になりやがった!!そう、推したちがテキトーに選んだのが、こいつだったのだ。

 「ほんと、まじで、そこかわれ」
 「あのなあ、お前、何?夏目か日向のどっちか狙ってんの?無謀じゃね?」

 だって、あの二人、七海にゾッコンじゃん。あれ、ゾッコンって死語だっけ?と、面倒臭そうな顔でゲームをしながら、目は画面に向かったままに聞いてくる幼なじみ。

 「私と…?…推し?日向くん? それ、マジで解釈違いなんでっ!!」

 ポカンとした慎だが、その言葉は聞き捨てならない。推しだから、私とのカップリングはマジで地雷なんだよ!!

 「あのねえ、私は推しカプを眺めて、出来れば愛でて、課金したいの!!分かる!?」
 「は、はぁ」

 慎は勢いに押されてたじたじになりながら、あ、始まったって顔をしてるが仕方ない。こいつはとことん、私の地雷を踏んでくるからな、私が勢いで慎に詰寄るのはいつものことだ。最終的には呆れた顔をしてくるし、半分以上、聞き流されることもいつものことだが、まあ、布教しようとしてるわけじゃないし、それはどうでもいい。ただ、私とのカップリングがNGだってわかってくれればそれでいいのだ。

 「え?何?分からないって!?あのねえ!私はあの3人の邪魔なんて絶っ対しないし!?むしろ?3人の仲を邪魔する輩がいたら、速やかに『見守る会』並びに『天使会』に連絡してそんな気が起きないようにさせてもらうし!?」
 「あ、もう、その、夏目と日向に気がないのは十分分かったんで…」

 慎は降参した。早い。だが、モブは止まらない。

 「というか、空気になって見守りたいし、よく3人が揃うっていう、りあちゃんの家の壁になりたい…」
 「空気?壁?」

 意味分からん。慎の今の心境はそれに尽きる。前からこの幼なじみは意味わからねえことをよく口にしていたが、年々酷くなっている気がすると、慎は思わずスペースキャット顔をした。

 「あ、でも、三人の誰かの口座番号知りたい」
 「お前、それ、だいぶやばいこと言ってるぞ…?」

 え、何?通報する?仮にも幼なじみだし、捕まるところは見たくねえんだけど、と、だいぶ酷いこと、でも正論をかましてくる幼なじみの慎にモブは慌てて弁解する。もう手遅れかもだけど。

 「違う違う!むしろ振り込ませてっていう意味で、口座番号知りたいっていうことだよ!」

 慎は次はチベットスナギツネ顔をした。やっぱりこの幼なじみはよく分からねぇ。


────────
あー、作者です。
遅くなり大変申し訳ありませぬ。
なんか、書き方がいつもと違うような気が…すみません。
転生モブちゃんの方をとりあえず、進めました。
転生モブにそのうち名前つけるかも…?
できるだけ、ネームレスで出てこないようにしたいけど。
この時に名前出すって理想はあるけど、名前ないと書きづらい。モブモブ書くのもなあ…。

はい、今回はモブの幼なじみが出てきました。
高橋慎くん。
モブの幼なじみだけど、クラス内ではモブじゃない。結構陽キャ。機嫌が悪いと口が悪い。
最初のキャラ設定では口が悪いとかこんな設定なかったのに…。

うーん。3では、修学旅行の班分けの様子とか、修学旅行とか、書く予定だったんだけど…。(慎くんが予想以上に出張った)
転生モブはもうちょっと小学生しますね…。

たぶん次の更新は本編。
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