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番外編

番外編 バレンタイン①

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今日はバレンタインっ!
というわけで、今回はこの作品にて、番外編!です!

──────

真中千夏視点



 これは、私たちが、中学生の時の話。そして、私にとって1番楽しかったバレンタインデーの日の話。


###



 「もうっすぐっ、バレンタイン~!」

 ご機嫌そうに、歌っているのは、もちろん私。
 はなちゃんは隣で、キョトンっと私を見ている。


 「はなちゃんは誰にあげるか、もう決めた?」


 はなちゃんはこくんっと頷き、バレンタインあげるリストと書かれたそれを私に見せてくれた。


 (ふんふん。あっ、よかった。私の名前ある。やっぱり深月の名前あるかー。別にやんなくてもいいのに。あとは、はなちゃんの家族、とお兄さんの友達か。多くない?)


 「はなちゃん、多くない?作るの大変じゃない?手伝おっか?」


 そう申し出るものの、ふるふると首を振られ、断られる。


 (まあ、そうだとは思ってたけど。いつもお世話になってるから、自分で作らないと、って思ってるんだろうなぁ。はなちゃん、真面目なところあるからね)



 そう納得するものの、何となく、はなちゃんの手で作られたものを深月や他の男達にやるって言うのが、気に入らない。



 (はなちゃんが他の男に作るのを邪魔するとか、はなちゃんが作ったチョコを他の男にあげるからといって、それを捨てるだとか、壊すとか、そういうのはしたくないし。どうしよっかな~)


 ふふんっと笑いながら、深月に対するちょっとした嫌がらせを考える。


 (あっ。いいこと考えた~!)



 ニヤリと笑う私は、きっと、あくどい笑みを浮かべているのだろう。


 「千夏…?」

 困ったような表情(あまり無表情から変わってないが、私には雰囲気で分かる)をして、どうかした?と聞きたげな、私の名前を呼ぶはなちゃんに、私はにこりと笑った。


 「なんでもないよっ!」


--------------

一宮深月視点


 これは、今までで1番、不安になって仕方なかった、そして、災難だったと思えた年のバレンタインデーの話。

###


 今日はバレンタインデー。小学生のある時、具体的に言うとはなと出会った年から、俺はこの日が近くなると、ソワソワするようになった。


 この日は、はなからチョコを貰えるかどうか、気になって仕方ないのだ。
 幸い、はなと出会った時から今まで、貰えなかったことはなかったが。


 
 「おはよう。はな!千夏!」


 「おっはよ~っ!深月!」
 「…おはよ。…深月」


 挨拶をするといつも通り返ってくる返事。いや、いつも通りとは少し違う。


 「千夏、お前、朝からテンション高くね?」


 そう千夏のテンションがいつもより、少し、いや、かなり高い。


 「ふっふーん。そりゃ、高くもなるよっ!だって、朝一番に、はなちゃんからバレンタインのチョコ貰えたからねっ!」



 この時の感情を、十字以内で述べよ。と言われたら、くそ羨ましい!しかない。


 「へ~。なぁ、はな。俺にはねぇの?」


 意を決して、チョコの催促をした俺。よくやった!


 しかし、次の瞬間、はなによって、どん底に突き落とされたのだ。端的に告げられた、たった一言によって。


 「ない」


 この時、もう既に、学校に来たばかりだというのに、家に帰りたくて仕方なかった。というか、布団を頭まで被って枕を濡らしたかった。

 絶望に苛まれた当時の俺は、はなの横で口元を抑えて笑いを堪える千夏の姿なんて見えてなかった。


-------

次回、深月死す。
絶対見てくれよな!


1回やってみたかっただけです!‪w
すみません!




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