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誤射
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彼の末路。
静岡県 富士市
空の玄関口である富士国際空港にて
25日夕方 立てこもり事件が起きた。
犯人は
パイロットや
CAなど空港で働いていた職員や
空港を利用していたお客さんを人質に
空港を占拠した。
事件発生から6時間後、
静岡県警 が到着すると
犯人は県警に3日後の現時刻までに
逃走車両と10億円を要求し
用意できなければ
5分おきに1人ずつ人質を殺すと言った。
静岡県警は、
犯人をなるべく刺激しないようにしつつ
2日目の早朝 空港を見渡せる高台に
SATが到着し間も無く
犯人は射殺された。
『ふ~ん…それで、
犯人を撃ったSAT隊員が
なんで半死してんだ?』
スキンヘッドの男の人が言うと
眼鏡をかけた女の人が
『えっと、
資料によると
犯人の死亡確認と
人質解放の為 中へ突入した際に
死亡した犯人の仲間が
最後の抵抗とばかりに落とした
植木鉢に当たって…みたいです』と
言葉を返した。
『あらら…
かなり痛かったんだろうな…』
マシュマロヘアーの女の人が言うと
私の前の男の人が
『いや、
痛いじゃ普通済まないだろ』と言い
スキンヘッドの男の人が
『まぁ、
人間の頭って意外と硬いし
SATなら装備品に
暴徒鎮圧部隊専用バイザー付きヘルメットを
付けてただろうから
半死程度で済んだんだろうけど
一般人ならまず 半死 じゃなく 死 だな』と
言った。
『それで、
SATだっけ?
彼は空港で立てこもりをした犯人から
空港職員やパイロット CAやお客さんを
助けたんだから もちろん蘇りでしょ?』
アンジェラアキ風の女の人が言った。
うん、
彼は良い事をした…と思いたい。
けど、
彼が犯人とはいえ
1人の人間の命を奪ったのには代わりない。
『確かに、
悪い事した訳じゃないし
彼は結果 もしかしたら
殺されていたかもしれない
沢山の命を救ったのかもだし
蘇りで良いっしょ!!』
ギャル男が言った次の瞬間、
私は『待って』と言った。
『どうしたんですか?』
眼鏡をかけた女の人が私の方を向き言う。
『ちょっと待って。
彼は確かに悪い事はしてない。
けど、
1人は確実に犠牲になってるよね?』
私がそう言うと
スキンヘッドの男の人が
『犠牲になってるって…
犯人のことか?』と言い
私が『他に誰もいないよ』と言葉を返した。
『いや…
いやいや、
犯人だろ?
もし、
犯人が射殺されてなかったら
人質が全員殺されてたかもしれないだろ?』
ギャル男の言うことはわかる。
けど、
逆もありえる。
ふと、
資料を読んでいた
ポニーテールの少女が
『…ねぇ、
犯人は玩具の銃で
人質を殺そうとしたの?』と言った。
『はぁ?
玩具の銃って…』
ギャル男が言いかけて
私はすぐに少女の
開いていたページを開き読んだ。
そこには、
犯人の所持品の欄に
ハンドエアガンと書かれていた。
『はっ!!
こりゃたまげた。
ハンドエアガンで人は殺せねぇよ』
スキンヘッドの男の人が
笑いながら言った。
『なっ…なら、
この犯人はエアガン1丁で
立てこもり事件を起こしたって言うのか?』
ギャル男が呆れつつ言うと
私が『いや、
エアガン1丁だけじゃないよ』と言い
資料の続きを見ながら話を続けた。
『資料によると
ハンドエアガン 1丁
プラスチック爆弾に見せかけた粘土の塊 3個
クマのぬいぐるみ 1つ…』
そこまで言うと
スキンヘッドの男の人が
『クマのぬいぐるみ?
なんか違和感があるなぁ。
何の為に持ってたんだ?
そのぬいぐるみ』と言った。
『そこまではわからないけど
ぬいぐるみの中には
幼い子供の字で
「お父さん大好きだよ」と
書かれた紙が入ってたみたい』
私がそう言うと
スキンヘッドの男の人が
『「お父さん大好きだよ」…。
そもそも、
犯人は何の為に
空港に立てこもり
10億ものお金を要求したんだ?』と言った。
『う~ん、
半死が彼なので
死者である犯人の情報はわかりません』
眼鏡をかけた女の人が
資料を見つつ言うと
少女が『10億で命は助かるの?』と言った。
『人の命?』
私がそう言うと
少女が『うん。
だって、
射殺された犯人のポケットから
しんぞういしょく手術?がどうって
書かれた紙が見つかったって
書かれてたから。
犯人は身体悪そうに見えないし
他に誰か身体が悪かった人が
居るのかなって…』と言った。
心臓移植手術の事が書かれた紙?
少女が見ていたページに資料を開くと
そこには犯人のポケットから出てきた
海外の心臓移植手術に関する事が
書かれたクシャクシャな紙の写真が
載っていた。
何かがカチリと噛み合う気がした。
『これって…えっ…
犯人って心臓悪くないよね?
…って事は…』
マシュマロヘアーの女の人が
何かに気づいたようにそう言うと
ギャル男が『誰かのため…いや、
ぬいぐるみの持ち主の為だよな?』と
恐る恐る言った。
私もそう思う。
きっと、
犯人の持っていたぬいぐるみの持ち主は
その紙に書かれた心臓移植が必要な人で
おそらくだけど
犯人がこんな事を起こすと知らなかった人。
ぬいぐるみの中に入ってた紙の文字から
予測だけど 幼い子供かもしれない。
資料に書いてないから
読み取れるのはここまで…。
だけど、
そんな移植を必要とする子供の為に
犯人は10億のお金を要求し射殺された。
『持ち主の為か…
なんだろう…やり方は悪いかもだけど
この犯人って本当に悪い人だったのかな…』
アンジェラアキ風の女の人が言うと
スキンヘッドの男の人が
『う~ん、
憎まれる悪では無いのかもな』と言い
話を続けた。
『よくある話というか、
こんな事を言うと違うかもしれないが
協力が大切だと言う人が居れば
自分さえ助かれば良いと言う人も居る。
まぁ、
そういうのって
どちらが悪とか
どちらが正義とか無いんだよな。
困ってる人に手を差し伸べる人も居れば
自分の方が困ってるからと
見て見ぬ振りをする人が居て
それが社会というか…』
何かを思い出すように
スキンヘッドの男の人がそう言うと
『それっておかしいよ!!』と
マシュマロヘアーの女の人が言った。
けど、
マシュマロヘアーの女の人と私以外の
全員が黙り込んだ。
なんとなく、
黙り込んだ理由はわかる気がする。
けど、
マシュマロヘアーの女の人が
『それっておかしいよ!!』と言った
理由もわかる。
結局、
それって人間の弱さであり
大人に近づくたびにわかり始める
悪くも正しくもない
グレーゾーンみたいな何かなんだと思う。
犯人はぬいぐるみの持ち主を助けようとして
最終的に立てこもり事件を起こし
10億を得ようとした。
気持ちはわかるけど
社会から見たらそれは立派な悪で
犯人を射殺した彼は正義。
けど…
『わかんないよ…』
マシュマロヘアーの女の人がそう言うと
少女が見兼ねたのか
私が言葉を挟む前に
『昔々、
ある国の孤児院に
2人の少女がいました』と言い
話を続けた。
『2人の少女はとても仲が良くて
いつも一緒に孤児院のシスターが
持ってきてくれる本を読んだり
高台に上がりそこから見える風景を
一緒に見たり…とても仲良しでした。
けど、
ある時 悪い大人達が孤児院を襲って
シスターや他の子達が殺され
命からがら2人の少女は孤児院から逃げ
バラバラに…』
そこまで言うと
スキンヘッドの男の人が
『バラバラって…どうなったんだ?
その2人の少女は』と言った。
『1人の少女は
悪い大人を捕まえる為に
派遣された大人達に助けてもらって
もう1人の少女は
高台まで逃げたけど
捕まりそうになって
捕まるくらいならと
高台から飛び降りて
悪い大人じゃない大人に助けてもらったよ』
少女がそう言うと
スキンヘッドの男の人が
『悪い大人じゃない大人って…』と
複雑そうな顔をした。
『それから
悪い大人を捕まえる為に派遣された大人に
助けてもらった少女は
彼らに協力して
良い人達を処刑したりしていた
悪い大人のリーダーを殺したの』
少女がそう言うと
マシュマロヘアーの女の人が
『えっ…』と呟いた。
けど、
少女はマシュマロヘアーの女の人に構わず
話を続けた。
『それで、
悪い大人のリーダーを殺した少女は
処刑されちゃうんだ。
みんなを助けようとしただけなのに…』
俯きつつ言う少女が言うと
マシュマロヘアーの女の人が
『殺すのは良くないけど
そんな…処刑って…』と言った。
『それで、
その少女を処刑した人は
高台から飛び降りた少女を助けた
悪い大人じゃない大人で
彼は少女の手首を縄で縛る時に
こう言ったの。
「大丈夫、
私はまったく痛くないように縛ることが
出来ますから 安心してください」って…。
処刑台に固定された少女を
親友である少女は泣きながら
「殺さないで!!」って叫び続けて…けど
処刑台に固定された少女の首を
ギロチンは刎ねたの』
少女は言い終えると
私の顔を見て微笑んだ。
何故だろう…昔話なのに
何故か懐かしい気がする。
『いつの時代も同じだな。
正義とか悪とか言うけど
正義も悪も本当はわからないんだよな』
男の人がそう言うと
スキンヘッドの男の人が
『まぁな、
特撮のヒーローが
怪獣倒す為に街中で戦うけど
その街に生活していた人は
壊れた自分の家を見てどう思うんだろうとか
昔考えてたな…』と言って
ギャル男が『いや、
そう言うのは防衛軍みたいな人達が
ちゃんと建て直すんだと思うけど』と言い
眼鏡をかけた女の人が
『確かに建て直すんでしょうね。
けど、
そこに暮らしていた人の思い出は
一度確実に壊れてる訳なので
戻らないでしょうね…』と言った。
『うん…確かに戻らないね』
戻らないし、
思い出だけじゃなく
大切な人やペット…
亡くなった人は帰ってこない。
私が言うと
スキンヘッドの男の人が
『外から見ただけじゃわからないくらい
精巧に作られたハンドエアガン片手に
人質を取って立てこもりした犯人は
悪いかもしれないけど
人をエアガンで殺せる訳無いし
そんな犯人を殺した半死状態の彼は
ただの人殺しだな…』と言った。
すると、
資料を読んでいた男の人が
『なっ…これを見ろ!!』と驚きつつ
読んでいたページを見せつつ言った。
『うん?
【SAT隊員による殺人事件か?
都銀強盗立てこもり事件の裏側で
殺されたOLの真実】…なんだこれ?』
スキンヘッドの男の人が
向けられたページを読みつつ言うと
私はそのページを開き 目を通した。
それは、
都銀本店で起きた
強盗立てこもり事件の記事だった。
事件を起こした男は、
元都銀職員で
使い込みがバレ懲戒免職となり
その恨みからネットで仲間を募り
本店へ強盗に入った。
犯人の男と
集まった仲間は全員
SAT隊員により射殺され
その際、
1人のOLが
SAT隊員に殺された。
『SATって
正義の味方なんだよね?
なんで、
何の罪もないOLを殺したの…』
マシュマロヘアーの女の人がそう言うと
スキンヘッドの男の人が
『誤射って書いてあるが
眉間に正確な1発は誤射とは言えないな…』
と言葉を返した。
『…って事は、
SAT隊員がOLを
故意に射殺したって事か?』
男の人が言うと
スキンヘッドの男の人が
『理由はわからないが
特殊機動隊が誤射するとか
まずあり得ない事だ』と言った。
『なんでOLを射殺なんて…』
マシュマロヘアーの女の人がそう呟くと
少女が『正義を執行するための見せしめ…』
と言った。
『見せしめ?』
私がそう言うと
少女は『悪を罰した後で
同じような悪が生まれない為に
見せしめのようにわざと
注目を集めるの。
例えるなら…そう、
中世の処刑みたいに…』と
遠い目をしつつ言った。
『処刑って…でも、
そんな事をSAT隊員がやるわけな…』
アンジェラアキ風の女の人が言いかけて
スキンヘッドの男の人が
『ない事は無いな。
俺が刑事の頃に聞いた事がある。
犯人を捕まえるのは当たり前だが
その犯人に触発された
別の犯罪者が犯罪を犯さない為に
注目を集める必要がある。って』と言った。
『でも、
なんで罪もない人を…』
マシュマロヘアーの女の人がそう言うと
男の人が
『…OLは注目を集める為だったとしたら
OLじゃなくても良くて
わざと恐怖を振り撒く為に殺された…
なぁ、
社会的必要悪って奴なのか?
このOLを殺したSAT隊員は』と
スキンヘッドの男の人に言った。
『…わからんな。
俺も 聞いた事はあるだけで
詳しい事はさっぱりだ』
スキンヘッドの男の人がそう応えると
男の人が『沸切らねぇな…。
けど、
俺の答えは決まった。
彼は 死 だ』と言った。
『理由を聞かせてもらってもいいですか?』
眼鏡をかけた女の人が言うと
男の人は『OL事件もだが
今回の立てこもり事件も
殺す必要が無いのに彼…いや、
SAT隊員は殺してる。
それも見せしめのために。
人を殺した半死者は
問答無用で 死 に値するのが
ここのルールだろ?
なら、
彼は 死 が妥当だろ』と言った。
『私も同じ意見』
私がそう言うと
少女が『うん、
なら私も同じ意見だよ。
悪はダメだけど
必要以上の正義もダメ』と言った。
『必要以上の正義もダメ…か。
なら、
俺もその意見に同意だ。
見せしめの犠牲は必要無いし
よく考えたら
精巧に作られてるとはいえ
ハンドエアガン1つ見抜けないなんて
ずさんにも程があるしな』
スキンヘッドの男の人が言うと
アンジェラアキ風の女の人が
『確かにね。
ドラマでもそんなに早く
射殺判断するかな…って思ったし
SATの上の人達はきっと犯人を
よく観察しなかったんだろうな…』と言い
スキンヘッドの男の人が
『まぁ、
発砲命令と射殺命令は
ドラマとかだけで実際には無いから
上って言うより
個人判断だろうけどな』と言った。
『えっ…そうなの?』
アンジェラアキ風の女の人がそう言うと
スキンヘッドの男の人が
『あぁ。
まぁ、
発砲するべき時に
発砲しないと警察官は罰せられるし
撃つ時は被害が
最小限になるようにしないと
いけなかったりするんだがな』と
言葉を返した。
『へぇ~、
知らなかった』
アンジェラアキ風の女の人がそう言うと
コホンと咳払いしつつ
眼鏡をかけた女の人が
『では、
採決を採ります』と言った。
しばらくして
落とされた植木鉢に当たり
その場に倒れた彼は
打ちどころが悪かったのか
病院に運ばれるもそのまま亡くなった。
『秩序を守るための必要悪に
大切な人を守ろうとした悪…か』
その様子を見ていた私がそう呟くと
スキンヘッドの男の人が
『さっきも言ったが
正義も悪も無くて
手を差し伸べられるか
手を差し伸べれないかだけなんだよな』と
言った。
『うん…わかる気がするよ。
けど、
手を差し伸べられる事が偉いわけでも
手を差し伸べれない事が
悪い事でもないんだよね』
私がそう言うと
スキンヘッドの男の人は
『あぁ。
けど、
俺も昔 戦隊モノのヒーローに
憧れた事があるように
小さい頃から
正義はこうって言われてると
その正義が必要悪としての
正しさでも誤解しちゃうんだよな』と
言った。
『なんというか難しい話だね』
私が彼を見つつ言うと
スキンヘッドの男の人は
『そうだ…なぁ、
正義の対義語って
何か知ってるか?』と言った。
『えっ?
正義の対義語?
悪とか?』
スキンヘッドの男の人を見つつそう言うと
スキンヘッドの男の人は
『そう思うだろ?
けど、
違うんだよ』と言って遠い目をしながら
『正義の対義語は別の正義さ。
虚しいだろ?
お互いの正義を悪と誤解して争うんだ。
そして、
どちらかが消えたら
また別の正義が現れて争うんだ。
ちなみに 悪の対義語もまた別の悪だ』と
言った。
その姿にどことなく悲しみが伝わってきて
私はスキンヘッドの男の人に
何も言えなかった。
それからしばらくして
ICUの一室にて
全身に管を繋がれた子供が
静かに息を引き取り
母親はICUから出てきたところで
泣き崩れた。
「なんでうちの子が…」
何度も何度も病気を恨み
代われるものなら代わってあげたいと願い
遂にその願いは叶うこともなく
母親はただ泣くことしか出来なかった。
「健一…何処にいるのよ…
なんで会いに来てくれないの…
健が…うぅ…」
母親は数日前から
何度も子供の父親である
鈴木 健一に連絡をしていたが
鈴木 健一は電話に出る事なく
行方もわからないまま
子供が亡くなってから
2週間が経ったある日
自宅に亡くなった子供が
父親にプレゼントした
クマのぬいぐるみが届いた。
「なんで…」
疑問と思い出に
涙が流れてくる。
届いたクマのぬいぐるみを抱き上げると
クマのぬいぐるみから紙が一枚落ち
拾い上げ見ると
そこには
亡くなった子供の字で
「お父さん大好きだよ」と書かれてあった。
「健…」
そう呟くと
引っかかっていたのか
もう一枚ぬいぐるみから紙が落ちた。
拾い上げ見ると
そこには
「ごめん…俺は
良い父親になれなかった…」と
亡くなった子供とは違う字で書かれていた。
「健一…」
薄々気付いていた。
いきなり出て行った事も…
何度電話しても出てくれない事も…
なんとなくわかってたけど
信じたくなかった。
母親は察して
クマのぬいぐるみをテーブルに置くと
スマホが鳴った。
「こんな時に…」
スマホの画面を見ると
非通知の着信だった。
無視をしようと思ったけど
着信はずっと鳴り響き
耐えられなくなって電話に出た。
「もしもし」
すると、
受話器の向こうから
静岡県警の田辺と名乗る男の人が
「確認してもらいたい事があるから
警察署へ来てほしい」と言い
母親は「どのようなご用件で?」と
言うと言葉を濁すように
「お宅のご主人の事で」とだけ言って
電話を切った。
~~~誤射~~~
END
静岡県 富士市
空の玄関口である富士国際空港にて
25日夕方 立てこもり事件が起きた。
犯人は
パイロットや
CAなど空港で働いていた職員や
空港を利用していたお客さんを人質に
空港を占拠した。
事件発生から6時間後、
静岡県警 が到着すると
犯人は県警に3日後の現時刻までに
逃走車両と10億円を要求し
用意できなければ
5分おきに1人ずつ人質を殺すと言った。
静岡県警は、
犯人をなるべく刺激しないようにしつつ
2日目の早朝 空港を見渡せる高台に
SATが到着し間も無く
犯人は射殺された。
『ふ~ん…それで、
犯人を撃ったSAT隊員が
なんで半死してんだ?』
スキンヘッドの男の人が言うと
眼鏡をかけた女の人が
『えっと、
資料によると
犯人の死亡確認と
人質解放の為 中へ突入した際に
死亡した犯人の仲間が
最後の抵抗とばかりに落とした
植木鉢に当たって…みたいです』と
言葉を返した。
『あらら…
かなり痛かったんだろうな…』
マシュマロヘアーの女の人が言うと
私の前の男の人が
『いや、
痛いじゃ普通済まないだろ』と言い
スキンヘッドの男の人が
『まぁ、
人間の頭って意外と硬いし
SATなら装備品に
暴徒鎮圧部隊専用バイザー付きヘルメットを
付けてただろうから
半死程度で済んだんだろうけど
一般人ならまず 半死 じゃなく 死 だな』と
言った。
『それで、
SATだっけ?
彼は空港で立てこもりをした犯人から
空港職員やパイロット CAやお客さんを
助けたんだから もちろん蘇りでしょ?』
アンジェラアキ風の女の人が言った。
うん、
彼は良い事をした…と思いたい。
けど、
彼が犯人とはいえ
1人の人間の命を奪ったのには代わりない。
『確かに、
悪い事した訳じゃないし
彼は結果 もしかしたら
殺されていたかもしれない
沢山の命を救ったのかもだし
蘇りで良いっしょ!!』
ギャル男が言った次の瞬間、
私は『待って』と言った。
『どうしたんですか?』
眼鏡をかけた女の人が私の方を向き言う。
『ちょっと待って。
彼は確かに悪い事はしてない。
けど、
1人は確実に犠牲になってるよね?』
私がそう言うと
スキンヘッドの男の人が
『犠牲になってるって…
犯人のことか?』と言い
私が『他に誰もいないよ』と言葉を返した。
『いや…
いやいや、
犯人だろ?
もし、
犯人が射殺されてなかったら
人質が全員殺されてたかもしれないだろ?』
ギャル男の言うことはわかる。
けど、
逆もありえる。
ふと、
資料を読んでいた
ポニーテールの少女が
『…ねぇ、
犯人は玩具の銃で
人質を殺そうとしたの?』と言った。
『はぁ?
玩具の銃って…』
ギャル男が言いかけて
私はすぐに少女の
開いていたページを開き読んだ。
そこには、
犯人の所持品の欄に
ハンドエアガンと書かれていた。
『はっ!!
こりゃたまげた。
ハンドエアガンで人は殺せねぇよ』
スキンヘッドの男の人が
笑いながら言った。
『なっ…なら、
この犯人はエアガン1丁で
立てこもり事件を起こしたって言うのか?』
ギャル男が呆れつつ言うと
私が『いや、
エアガン1丁だけじゃないよ』と言い
資料の続きを見ながら話を続けた。
『資料によると
ハンドエアガン 1丁
プラスチック爆弾に見せかけた粘土の塊 3個
クマのぬいぐるみ 1つ…』
そこまで言うと
スキンヘッドの男の人が
『クマのぬいぐるみ?
なんか違和感があるなぁ。
何の為に持ってたんだ?
そのぬいぐるみ』と言った。
『そこまではわからないけど
ぬいぐるみの中には
幼い子供の字で
「お父さん大好きだよ」と
書かれた紙が入ってたみたい』
私がそう言うと
スキンヘッドの男の人が
『「お父さん大好きだよ」…。
そもそも、
犯人は何の為に
空港に立てこもり
10億ものお金を要求したんだ?』と言った。
『う~ん、
半死が彼なので
死者である犯人の情報はわかりません』
眼鏡をかけた女の人が
資料を見つつ言うと
少女が『10億で命は助かるの?』と言った。
『人の命?』
私がそう言うと
少女が『うん。
だって、
射殺された犯人のポケットから
しんぞういしょく手術?がどうって
書かれた紙が見つかったって
書かれてたから。
犯人は身体悪そうに見えないし
他に誰か身体が悪かった人が
居るのかなって…』と言った。
心臓移植手術の事が書かれた紙?
少女が見ていたページに資料を開くと
そこには犯人のポケットから出てきた
海外の心臓移植手術に関する事が
書かれたクシャクシャな紙の写真が
載っていた。
何かがカチリと噛み合う気がした。
『これって…えっ…
犯人って心臓悪くないよね?
…って事は…』
マシュマロヘアーの女の人が
何かに気づいたようにそう言うと
ギャル男が『誰かのため…いや、
ぬいぐるみの持ち主の為だよな?』と
恐る恐る言った。
私もそう思う。
きっと、
犯人の持っていたぬいぐるみの持ち主は
その紙に書かれた心臓移植が必要な人で
おそらくだけど
犯人がこんな事を起こすと知らなかった人。
ぬいぐるみの中に入ってた紙の文字から
予測だけど 幼い子供かもしれない。
資料に書いてないから
読み取れるのはここまで…。
だけど、
そんな移植を必要とする子供の為に
犯人は10億のお金を要求し射殺された。
『持ち主の為か…
なんだろう…やり方は悪いかもだけど
この犯人って本当に悪い人だったのかな…』
アンジェラアキ風の女の人が言うと
スキンヘッドの男の人が
『う~ん、
憎まれる悪では無いのかもな』と言い
話を続けた。
『よくある話というか、
こんな事を言うと違うかもしれないが
協力が大切だと言う人が居れば
自分さえ助かれば良いと言う人も居る。
まぁ、
そういうのって
どちらが悪とか
どちらが正義とか無いんだよな。
困ってる人に手を差し伸べる人も居れば
自分の方が困ってるからと
見て見ぬ振りをする人が居て
それが社会というか…』
何かを思い出すように
スキンヘッドの男の人がそう言うと
『それっておかしいよ!!』と
マシュマロヘアーの女の人が言った。
けど、
マシュマロヘアーの女の人と私以外の
全員が黙り込んだ。
なんとなく、
黙り込んだ理由はわかる気がする。
けど、
マシュマロヘアーの女の人が
『それっておかしいよ!!』と言った
理由もわかる。
結局、
それって人間の弱さであり
大人に近づくたびにわかり始める
悪くも正しくもない
グレーゾーンみたいな何かなんだと思う。
犯人はぬいぐるみの持ち主を助けようとして
最終的に立てこもり事件を起こし
10億を得ようとした。
気持ちはわかるけど
社会から見たらそれは立派な悪で
犯人を射殺した彼は正義。
けど…
『わかんないよ…』
マシュマロヘアーの女の人がそう言うと
少女が見兼ねたのか
私が言葉を挟む前に
『昔々、
ある国の孤児院に
2人の少女がいました』と言い
話を続けた。
『2人の少女はとても仲が良くて
いつも一緒に孤児院のシスターが
持ってきてくれる本を読んだり
高台に上がりそこから見える風景を
一緒に見たり…とても仲良しでした。
けど、
ある時 悪い大人達が孤児院を襲って
シスターや他の子達が殺され
命からがら2人の少女は孤児院から逃げ
バラバラに…』
そこまで言うと
スキンヘッドの男の人が
『バラバラって…どうなったんだ?
その2人の少女は』と言った。
『1人の少女は
悪い大人を捕まえる為に
派遣された大人達に助けてもらって
もう1人の少女は
高台まで逃げたけど
捕まりそうになって
捕まるくらいならと
高台から飛び降りて
悪い大人じゃない大人に助けてもらったよ』
少女がそう言うと
スキンヘッドの男の人が
『悪い大人じゃない大人って…』と
複雑そうな顔をした。
『それから
悪い大人を捕まえる為に派遣された大人に
助けてもらった少女は
彼らに協力して
良い人達を処刑したりしていた
悪い大人のリーダーを殺したの』
少女がそう言うと
マシュマロヘアーの女の人が
『えっ…』と呟いた。
けど、
少女はマシュマロヘアーの女の人に構わず
話を続けた。
『それで、
悪い大人のリーダーを殺した少女は
処刑されちゃうんだ。
みんなを助けようとしただけなのに…』
俯きつつ言う少女が言うと
マシュマロヘアーの女の人が
『殺すのは良くないけど
そんな…処刑って…』と言った。
『それで、
その少女を処刑した人は
高台から飛び降りた少女を助けた
悪い大人じゃない大人で
彼は少女の手首を縄で縛る時に
こう言ったの。
「大丈夫、
私はまったく痛くないように縛ることが
出来ますから 安心してください」って…。
処刑台に固定された少女を
親友である少女は泣きながら
「殺さないで!!」って叫び続けて…けど
処刑台に固定された少女の首を
ギロチンは刎ねたの』
少女は言い終えると
私の顔を見て微笑んだ。
何故だろう…昔話なのに
何故か懐かしい気がする。
『いつの時代も同じだな。
正義とか悪とか言うけど
正義も悪も本当はわからないんだよな』
男の人がそう言うと
スキンヘッドの男の人が
『まぁな、
特撮のヒーローが
怪獣倒す為に街中で戦うけど
その街に生活していた人は
壊れた自分の家を見てどう思うんだろうとか
昔考えてたな…』と言って
ギャル男が『いや、
そう言うのは防衛軍みたいな人達が
ちゃんと建て直すんだと思うけど』と言い
眼鏡をかけた女の人が
『確かに建て直すんでしょうね。
けど、
そこに暮らしていた人の思い出は
一度確実に壊れてる訳なので
戻らないでしょうね…』と言った。
『うん…確かに戻らないね』
戻らないし、
思い出だけじゃなく
大切な人やペット…
亡くなった人は帰ってこない。
私が言うと
スキンヘッドの男の人が
『外から見ただけじゃわからないくらい
精巧に作られたハンドエアガン片手に
人質を取って立てこもりした犯人は
悪いかもしれないけど
人をエアガンで殺せる訳無いし
そんな犯人を殺した半死状態の彼は
ただの人殺しだな…』と言った。
すると、
資料を読んでいた男の人が
『なっ…これを見ろ!!』と驚きつつ
読んでいたページを見せつつ言った。
『うん?
【SAT隊員による殺人事件か?
都銀強盗立てこもり事件の裏側で
殺されたOLの真実】…なんだこれ?』
スキンヘッドの男の人が
向けられたページを読みつつ言うと
私はそのページを開き 目を通した。
それは、
都銀本店で起きた
強盗立てこもり事件の記事だった。
事件を起こした男は、
元都銀職員で
使い込みがバレ懲戒免職となり
その恨みからネットで仲間を募り
本店へ強盗に入った。
犯人の男と
集まった仲間は全員
SAT隊員により射殺され
その際、
1人のOLが
SAT隊員に殺された。
『SATって
正義の味方なんだよね?
なんで、
何の罪もないOLを殺したの…』
マシュマロヘアーの女の人がそう言うと
スキンヘッドの男の人が
『誤射って書いてあるが
眉間に正確な1発は誤射とは言えないな…』
と言葉を返した。
『…って事は、
SAT隊員がOLを
故意に射殺したって事か?』
男の人が言うと
スキンヘッドの男の人が
『理由はわからないが
特殊機動隊が誤射するとか
まずあり得ない事だ』と言った。
『なんでOLを射殺なんて…』
マシュマロヘアーの女の人がそう呟くと
少女が『正義を執行するための見せしめ…』
と言った。
『見せしめ?』
私がそう言うと
少女は『悪を罰した後で
同じような悪が生まれない為に
見せしめのようにわざと
注目を集めるの。
例えるなら…そう、
中世の処刑みたいに…』と
遠い目をしつつ言った。
『処刑って…でも、
そんな事をSAT隊員がやるわけな…』
アンジェラアキ風の女の人が言いかけて
スキンヘッドの男の人が
『ない事は無いな。
俺が刑事の頃に聞いた事がある。
犯人を捕まえるのは当たり前だが
その犯人に触発された
別の犯罪者が犯罪を犯さない為に
注目を集める必要がある。って』と言った。
『でも、
なんで罪もない人を…』
マシュマロヘアーの女の人がそう言うと
男の人が
『…OLは注目を集める為だったとしたら
OLじゃなくても良くて
わざと恐怖を振り撒く為に殺された…
なぁ、
社会的必要悪って奴なのか?
このOLを殺したSAT隊員は』と
スキンヘッドの男の人に言った。
『…わからんな。
俺も 聞いた事はあるだけで
詳しい事はさっぱりだ』
スキンヘッドの男の人がそう応えると
男の人が『沸切らねぇな…。
けど、
俺の答えは決まった。
彼は 死 だ』と言った。
『理由を聞かせてもらってもいいですか?』
眼鏡をかけた女の人が言うと
男の人は『OL事件もだが
今回の立てこもり事件も
殺す必要が無いのに彼…いや、
SAT隊員は殺してる。
それも見せしめのために。
人を殺した半死者は
問答無用で 死 に値するのが
ここのルールだろ?
なら、
彼は 死 が妥当だろ』と言った。
『私も同じ意見』
私がそう言うと
少女が『うん、
なら私も同じ意見だよ。
悪はダメだけど
必要以上の正義もダメ』と言った。
『必要以上の正義もダメ…か。
なら、
俺もその意見に同意だ。
見せしめの犠牲は必要無いし
よく考えたら
精巧に作られてるとはいえ
ハンドエアガン1つ見抜けないなんて
ずさんにも程があるしな』
スキンヘッドの男の人が言うと
アンジェラアキ風の女の人が
『確かにね。
ドラマでもそんなに早く
射殺判断するかな…って思ったし
SATの上の人達はきっと犯人を
よく観察しなかったんだろうな…』と言い
スキンヘッドの男の人が
『まぁ、
発砲命令と射殺命令は
ドラマとかだけで実際には無いから
上って言うより
個人判断だろうけどな』と言った。
『えっ…そうなの?』
アンジェラアキ風の女の人がそう言うと
スキンヘッドの男の人が
『あぁ。
まぁ、
発砲するべき時に
発砲しないと警察官は罰せられるし
撃つ時は被害が
最小限になるようにしないと
いけなかったりするんだがな』と
言葉を返した。
『へぇ~、
知らなかった』
アンジェラアキ風の女の人がそう言うと
コホンと咳払いしつつ
眼鏡をかけた女の人が
『では、
採決を採ります』と言った。
しばらくして
落とされた植木鉢に当たり
その場に倒れた彼は
打ちどころが悪かったのか
病院に運ばれるもそのまま亡くなった。
『秩序を守るための必要悪に
大切な人を守ろうとした悪…か』
その様子を見ていた私がそう呟くと
スキンヘッドの男の人が
『さっきも言ったが
正義も悪も無くて
手を差し伸べられるか
手を差し伸べれないかだけなんだよな』と
言った。
『うん…わかる気がするよ。
けど、
手を差し伸べられる事が偉いわけでも
手を差し伸べれない事が
悪い事でもないんだよね』
私がそう言うと
スキンヘッドの男の人は
『あぁ。
けど、
俺も昔 戦隊モノのヒーローに
憧れた事があるように
小さい頃から
正義はこうって言われてると
その正義が必要悪としての
正しさでも誤解しちゃうんだよな』と
言った。
『なんというか難しい話だね』
私が彼を見つつ言うと
スキンヘッドの男の人は
『そうだ…なぁ、
正義の対義語って
何か知ってるか?』と言った。
『えっ?
正義の対義語?
悪とか?』
スキンヘッドの男の人を見つつそう言うと
スキンヘッドの男の人は
『そう思うだろ?
けど、
違うんだよ』と言って遠い目をしながら
『正義の対義語は別の正義さ。
虚しいだろ?
お互いの正義を悪と誤解して争うんだ。
そして、
どちらかが消えたら
また別の正義が現れて争うんだ。
ちなみに 悪の対義語もまた別の悪だ』と
言った。
その姿にどことなく悲しみが伝わってきて
私はスキンヘッドの男の人に
何も言えなかった。
それからしばらくして
ICUの一室にて
全身に管を繋がれた子供が
静かに息を引き取り
母親はICUから出てきたところで
泣き崩れた。
「なんでうちの子が…」
何度も何度も病気を恨み
代われるものなら代わってあげたいと願い
遂にその願いは叶うこともなく
母親はただ泣くことしか出来なかった。
「健一…何処にいるのよ…
なんで会いに来てくれないの…
健が…うぅ…」
母親は数日前から
何度も子供の父親である
鈴木 健一に連絡をしていたが
鈴木 健一は電話に出る事なく
行方もわからないまま
子供が亡くなってから
2週間が経ったある日
自宅に亡くなった子供が
父親にプレゼントした
クマのぬいぐるみが届いた。
「なんで…」
疑問と思い出に
涙が流れてくる。
届いたクマのぬいぐるみを抱き上げると
クマのぬいぐるみから紙が一枚落ち
拾い上げ見ると
そこには
亡くなった子供の字で
「お父さん大好きだよ」と書かれてあった。
「健…」
そう呟くと
引っかかっていたのか
もう一枚ぬいぐるみから紙が落ちた。
拾い上げ見ると
そこには
「ごめん…俺は
良い父親になれなかった…」と
亡くなった子供とは違う字で書かれていた。
「健一…」
薄々気付いていた。
いきなり出て行った事も…
何度電話しても出てくれない事も…
なんとなくわかってたけど
信じたくなかった。
母親は察して
クマのぬいぐるみをテーブルに置くと
スマホが鳴った。
「こんな時に…」
スマホの画面を見ると
非通知の着信だった。
無視をしようと思ったけど
着信はずっと鳴り響き
耐えられなくなって電話に出た。
「もしもし」
すると、
受話器の向こうから
静岡県警の田辺と名乗る男の人が
「確認してもらいたい事があるから
警察署へ来てほしい」と言い
母親は「どのようなご用件で?」と
言うと言葉を濁すように
「お宅のご主人の事で」とだけ言って
電話を切った。
~~~誤射~~~
END
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