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轟音が響きわたる
黒煙がのぼり、様々な魔術の波動が周囲を覆い尽くす
敵を誘導する為だけに、アジトを変更し、
無関係な団員を他のアジトに移し、
防御壁やら結界やらを何重にも張ったそれは
全ての攻撃から2人を守っていた
アジトの出口には金髪の少年と茶髪の幼女
全ての攻撃はその2人に向かっているのだが、
カイルとウィンはその光景を見ながらも涼しい顔をしていた
水竜が襲いかかる
火炎が迫りくる
地が姿を変える
木々が向かい来る
敵は何十いるだろうか
まさに四方八方から呪文と波動が来、既に自然は破壊しつくされていた
「すごいですわね」
「あぁ、これはもう確定だな」
そんな中、正面からの攻撃が弱まる
1人の少年が姿を現せた
少年が右手を前へあげる
指先はカイル達を指していた
「ヴァルク流術師さんのお出ましだね」
カイルが髪を後ろに括ると一歩踏み出した「ちょっと話があるんだけれど」
少年はカイルの問いかけには答えず、
ただ指先で陣を描き、その陣に手を当てた
空気が刃となってカイルに向かう
しかし、強力な防御によって、一切が当たらなかった
やや声を大きくしてカイルは言葉を放つ
「君たち、ルアド家の者だね」こんな事してて、いいのかな?
「……」
「これだけ高位の魔術師を動員できるなんて、それ以外考えられない
魔術師界の最高峰一族、ルアド家しかね」
やや魔術の波動が揺らぐ
「ヴァルクの君は違うみたいだけど……
盗賊風情にかまっていていいの?」
「いいのさ、これからルアドは生まれ変わる!!」
高らかに男性の声が響き渡った
「……そうは言ってもなぁ」
「クズ」察しろ
黒髪の2人は遠くから聞こえる轟音の中、周囲を見渡していた
「カイルさんはこの裏口にも敵が来るって言ってたけど」
何にもいねぇ…
ロウビィは今頃、カイルさん戦ってるんだろうな、と轟音のする方を見やった
横のスピリタスを見ると、何かを警戒するように構えている
「敵はこのアジトに裏口がある事を知っているはずだ
また、そこだけ警戒が薄い事もわかっているはず」ならば
普通のクズならそこを責めるだろう
腕組みをほどいたスピリタスが何かを察知する
「ふぅん、君が噂の暗殺人形スピリタス君であるか?」
その先には長い金髪の青年
マントがひらりと風に踊る「えと、君は?」
視線の先にはツインテールの少年・ロウビィ
手を顎にあて青年は考え込んだ
普段前線には一切出ないロウビィの情報を知る者はほぼいない
何て答えようかと、ロウビィは悩んだ
「俺の付き人だ」戦闘には一切関係ない
きっぱり言い放ったスピリタスに青年はうんと頷いた
「私は無関係の人間を巻き込む趣味はないのだよ
よかろう、スピリタス君、君と戦おう
私が勝ったら、君の秘密を教えて欲しい
君が勝ったら、私たちは君の要求を飲もう」
「俺がお前たちの言う事など聞くと思うか?」
「一応、言ったまでだよ
では、力ずくでいかせてもらうとしよう」
「私の名はハル 覚えておきたまえ」そこの君
私とスピリタスの名勝負を間近で見られる幸運を記憶しておくのだよ
スピリタスはロウビィが一瞬反応したのに気付いたが、
それには構わず、ハルの方に駆けだした
黒煙がのぼり、様々な魔術の波動が周囲を覆い尽くす
敵を誘導する為だけに、アジトを変更し、
無関係な団員を他のアジトに移し、
防御壁やら結界やらを何重にも張ったそれは
全ての攻撃から2人を守っていた
アジトの出口には金髪の少年と茶髪の幼女
全ての攻撃はその2人に向かっているのだが、
カイルとウィンはその光景を見ながらも涼しい顔をしていた
水竜が襲いかかる
火炎が迫りくる
地が姿を変える
木々が向かい来る
敵は何十いるだろうか
まさに四方八方から呪文と波動が来、既に自然は破壊しつくされていた
「すごいですわね」
「あぁ、これはもう確定だな」
そんな中、正面からの攻撃が弱まる
1人の少年が姿を現せた
少年が右手を前へあげる
指先はカイル達を指していた
「ヴァルク流術師さんのお出ましだね」
カイルが髪を後ろに括ると一歩踏み出した「ちょっと話があるんだけれど」
少年はカイルの問いかけには答えず、
ただ指先で陣を描き、その陣に手を当てた
空気が刃となってカイルに向かう
しかし、強力な防御によって、一切が当たらなかった
やや声を大きくしてカイルは言葉を放つ
「君たち、ルアド家の者だね」こんな事してて、いいのかな?
「……」
「これだけ高位の魔術師を動員できるなんて、それ以外考えられない
魔術師界の最高峰一族、ルアド家しかね」
やや魔術の波動が揺らぐ
「ヴァルクの君は違うみたいだけど……
盗賊風情にかまっていていいの?」
「いいのさ、これからルアドは生まれ変わる!!」
高らかに男性の声が響き渡った
「……そうは言ってもなぁ」
「クズ」察しろ
黒髪の2人は遠くから聞こえる轟音の中、周囲を見渡していた
「カイルさんはこの裏口にも敵が来るって言ってたけど」
何にもいねぇ…
ロウビィは今頃、カイルさん戦ってるんだろうな、と轟音のする方を見やった
横のスピリタスを見ると、何かを警戒するように構えている
「敵はこのアジトに裏口がある事を知っているはずだ
また、そこだけ警戒が薄い事もわかっているはず」ならば
普通のクズならそこを責めるだろう
腕組みをほどいたスピリタスが何かを察知する
「ふぅん、君が噂の暗殺人形スピリタス君であるか?」
その先には長い金髪の青年
マントがひらりと風に踊る「えと、君は?」
視線の先にはツインテールの少年・ロウビィ
手を顎にあて青年は考え込んだ
普段前線には一切出ないロウビィの情報を知る者はほぼいない
何て答えようかと、ロウビィは悩んだ
「俺の付き人だ」戦闘には一切関係ない
きっぱり言い放ったスピリタスに青年はうんと頷いた
「私は無関係の人間を巻き込む趣味はないのだよ
よかろう、スピリタス君、君と戦おう
私が勝ったら、君の秘密を教えて欲しい
君が勝ったら、私たちは君の要求を飲もう」
「俺がお前たちの言う事など聞くと思うか?」
「一応、言ったまでだよ
では、力ずくでいかせてもらうとしよう」
「私の名はハル 覚えておきたまえ」そこの君
私とスピリタスの名勝負を間近で見られる幸運を記憶しておくのだよ
スピリタスはロウビィが一瞬反応したのに気付いたが、
それには構わず、ハルの方に駆けだした
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