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挨拶 Ⅱ 1
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「俺は独立した世帯だから、親の許可なんかいらない。
ただ、報告に行くだけだ。
君は何にも、心配はいらない」
翌週の土曜日、今度は高代祐樹さんの実家で挨拶をすることになった。
彼のリクエストで、訪問着を着る。
「着物を着た君は、優雅さがある」
彼に乗せられてる気がするが、褒められると期待に応えてしまう。
彼の実家に到着して、応接室に通された。
両親が入室して、彼が要件を話し出す。
「俺は、彼女と結婚することになった。
来週入籍して、8月にアメリカで結婚式をする予定だ」
「それは、おめでとう。
家を出た30男の結婚に、反対する理由なんて一つもない」
父親は淡々と答えたが、顔には笑みがこぼれていた。
「ありがとう、これが八神紗栄子さんの身上書だ。
後で目を通してくれればいい」
私が書いた身上書を、彼が渡した。
両親が目を通しながら、父親が彼に聞いた。
「指輪は、渡したのか?」
「まだだ。結婚指輪は買う予定だ」
「祐樹、これを使え」
父親が、リングケースを出した。
彼がケースを開けると、ピンクダイアモンドの指輪だった。
「俺が、お前の母親に送ったものだ。
彼女が亡くなる前に、祐樹が結婚する時にお嫁さんに渡して欲しいと約束した。
やっとこの日が来たんだ」
話を聞いている間に涙が出てきた。
彼がケースから出して、私の薬指につけてくれるがちょっと小さい。
ただ綺麗なピンクカラー、そのうえ結構な大きさだ。
相当なお値段だと言うことは、素人の私でも判る。
「義母にも話してある、心配しなくていい」
隣の義母様も笑顔で頷いていた。
「ありがとうございます。大事にします」
「結婚式がアメリカなら参加出来るかは判らないが、これからはもっと頻繁に足を運んで来い」
「分かった。
そのうち孫を連れてくるから、抱かせてやるよ」
「それは楽しみだな。
紗栄子さん、祐樹を頼みます」
そう言われて、私は頷くしかなかった。
ただ、報告に行くだけだ。
君は何にも、心配はいらない」
翌週の土曜日、今度は高代祐樹さんの実家で挨拶をすることになった。
彼のリクエストで、訪問着を着る。
「着物を着た君は、優雅さがある」
彼に乗せられてる気がするが、褒められると期待に応えてしまう。
彼の実家に到着して、応接室に通された。
両親が入室して、彼が要件を話し出す。
「俺は、彼女と結婚することになった。
来週入籍して、8月にアメリカで結婚式をする予定だ」
「それは、おめでとう。
家を出た30男の結婚に、反対する理由なんて一つもない」
父親は淡々と答えたが、顔には笑みがこぼれていた。
「ありがとう、これが八神紗栄子さんの身上書だ。
後で目を通してくれればいい」
私が書いた身上書を、彼が渡した。
両親が目を通しながら、父親が彼に聞いた。
「指輪は、渡したのか?」
「まだだ。結婚指輪は買う予定だ」
「祐樹、これを使え」
父親が、リングケースを出した。
彼がケースを開けると、ピンクダイアモンドの指輪だった。
「俺が、お前の母親に送ったものだ。
彼女が亡くなる前に、祐樹が結婚する時にお嫁さんに渡して欲しいと約束した。
やっとこの日が来たんだ」
話を聞いている間に涙が出てきた。
彼がケースから出して、私の薬指につけてくれるがちょっと小さい。
ただ綺麗なピンクカラー、そのうえ結構な大きさだ。
相当なお値段だと言うことは、素人の私でも判る。
「義母にも話してある、心配しなくていい」
隣の義母様も笑顔で頷いていた。
「ありがとうございます。大事にします」
「結婚式がアメリカなら参加出来るかは判らないが、これからはもっと頻繁に足を運んで来い」
「分かった。
そのうち孫を連れてくるから、抱かせてやるよ」
「それは楽しみだな。
紗栄子さん、祐樹を頼みます」
そう言われて、私は頷くしかなかった。
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