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「7月になったら、みんなで浴衣を着て浅草でも散策しましょう」

母が言うと、みんなが拍手をした。
レッスンも2日目、みんなが自分で浴衣を着た。
始めは個人差があったが、私と母で付きっきりで教えた。
アメリカ人の二人も一生懸命で、最後には自分で帯を結べた。
出来上がった時に泣き出したのは驚いたけど、彼女たちも必死だったんだろう。
エヴァリンは、着物が好きと言うだけに、もう大丈夫。
一人で着れるようになっていた。

亜紀も、通訳を頑張ってくれた。
母が私のお古の浴衣を、亜紀にプレゼントした。
綿紅梅で朝顔の柄、麻の半幅帯で、亜紀に良く似合っていた。

「こんなに立派なものを、頂いていいんですか?」

「私には、ちょっと派手なの。
母があげるって言ってるから、貰っていいよ」

「大事にします」

「仕舞わないで、着てあげて。
もう、自分一人で着れるでしょ」

「はい、大地に見せたいです」
二人は、まだ仲良くしてるんだと判った。

夕食は、佑樹さんがセッティングした。
イタリアンの居酒屋で、母と私と3人で飲んだ。
スプマンテから始まって、赤ワインに進む。
母は2日間のレッスンが、楽しかったようだ。
教わる4人が真面目に取り組んでくれたのが、嬉しかったと話している。

「浅草を散策して、日が暮れたらビアガーデンとか、いかがですか?」
佑樹さんが誘う。

「良いね、実現したいわ」

「次はお父さんも連れてきて」

「言わなくても、付いてくるわ。
今回も付いて来たいって言ってたの」

私達が結婚するって言い出したら、父はどんな顔をするだろう。
ちょっと心配になった。

翌日、母は九州に帰って行った。
空港まで、二人で見送って私は彼の部屋に戻った。


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