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同棲 1

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「食費がどれくらい掛かるか判らないから、無くなったら教えて」

彼は、私に10万円の現金を渡してきた。
支払いのデータを残すために、電子決済アプリを入れてコンビニで入金した。

一緒にスーパーで、買い物をする。
彼がいるから、野菜や果物、飲料など重いものも十分なくらい買うつもりだ。
今日は、ずっと彼を待たせていた餃子を作る。
バレンタインデーの時に約束をしたから、ざっくり50日も待たせていた。

買い込んだ食料を、冷蔵庫や収納庫に片付ける。
二人分になると量も多いし、料理をする回数も増える分、物が増えていく。
家から持って来たパン捏ね台で、餃子の皮を作る。
普段から小麦粉を扱ってるので、皮作りは私にとって簡単な作業だった。
皮を手作りする理由は、中国では餃子は皮を食べる、シュウマイは具を食べると言われている。
皮を食べる以上、手作りするのは母の教えだった。

すき焼き用の鉄鍋に、餃子を並べて焼く。
焦げ目がついたら、熱湯を入れて蓋をして蒸し焼きにする。
煮えたら、蓋を開けて水分を飛ばす。
胡麻油を回しかけて、出来上がり。
鉄鍋ごとテーブルに運んで、IH調理器で保温する。

「お好みのタレで食べて、お勧めは中国のお酢かな」
ポン酢や柚子胡椒、ラー油、鎮江香酢を並べた。

「皮がパリッとしてるのに、中はもちもちだ。
冷凍食品の餃子とは、別の料理だな」

「褒めてる?」

「お店出すなら、出資したいレベルだ」
どっかで聞いたことがある、返事だった。

始めに20個焼いたが、彼がほとんど食べた。
まだ食べると言うので、追加で10個焼いたがまた半分食べていた。

「美味かった、またいつか作って欲しい」

「餃子鍋用に、20個冷凍しておいた」

「鍋にも入れるんだ、楽しみだなあ」

母直伝の餃子は、男の胃袋を掴む最高の武器だった。
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