【完結】 悪女は今日もパンを焼く 【R18】

２

金曜日に学校が終わったら、真っすぐ高代佑樹のところに行った。
ダイニングの椅子に座って、八神智貴の事を洗いざらい話す。

「話さなければ、ずっと俺をヤキモキさせられるのに」

「私は今までも、駆け引きするつもりは無かった。
元夫との事は、最初に話してるよ。
関係が終わったから、佑樹さんに話しただけ」

「それで、俺たちの関係は変わるのか？」

「卒業するまでは、今のままがいい」

「君が望む通りでいいよ」

「一つ、お願いがある」

「何？」

「一緒に、性感染症検査を受けて欲しいの」

「何で？　俺が病気だと思ってる？」

「違うの、私はピルを飲んでる。
私達が一緒の検査を受けてOKが出たら、コンドームはいらない」

「何方かどちらが浮気でもしない限り、安全って事か」

「元夫が、最後に言ったの。
簡単な検査でもっと深く愛し合えるから、二人で一緒に受けろって」

「俺のことを、話したの？」

「一言も話してない。
ただ、急に私が綺麗になったって言ってた」

「俺が世話になってる医者がいる。
明日、大丈夫か聞いてみる」
そう話して連絡すると、土曜日午前中にクリニックの予約が取れた。

「君が隠さずに話してくれたから、嬉しかった。
この前、嫉妬したことが恥ずかしいよ」

「佑樹さんも、素直に謝れるって素敵だわ」
そう言うと、目が合った。
吸い寄せられるように、テーブルを挟んでキスをした。

「スッキリしたら、お腹が空いた。
何処か、食べに行く？」

「作りたい鍋があるの。
スーパーに行こう」

「ホント、君は自然体だね」

二人で手を繋いで、地元のスーパーに行く。
鮮魚売場で、鍋用の魚を見ると鯛が有る。
冷凍イカと剥き牡蠣、ブラックタイガーも、一緒に買った。
料理に使う一番安い白ワインと、トマトの水煮パックも買った。