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バックヤードとは、裏庭に作られる小屋の事だ。

車の整備をする道具が置いてある趣味の部屋という位置付けで、欧米ではそこから世界に羽ばたく企業が出来たりしている。

柊木邸は、道路に面している間口が広い。
自由が丘で、テナントを借りるとなると、坪単価は跳ね上がる。
それなら間口を活かして、5坪程度の小屋風の店舗を建てる。
建築費が内外装費用も含めて、坪当たり100万円掛かっても500万円で出来上がる。

自宅の1階にある納戸にオーブンを設置して、作業スペースにする。
ここの改造費と設備工事、厨房機器で500万円かかっても、総額1,000万円で店が出来上がる。
賃貸物件と違って、建ててしまえば家賃は不要だ。
勿論、維持管理費は発生するが、リスクは相当に低い。
最悪、店を貸し出せば、家賃収入は確実に望める。

私は実際に営業している、自宅の庭先カフェやパン屋の画像をスマホで見せた。

「素晴らしいアイデアだ。
全部、八神さんが考えたんですか?」

「昔、母親とよくカフェ巡りをしました。
その中に数件、自宅の庭先で営業している店に行きました。
初めてここに招待された時に、この場所なら素晴らしく可愛いお店が作れるなあって思ったんです。
玄関横のピロティに、テーブルと椅子を置くとオープンスペースとしても使えます」

「お姉様、素晴らしいです」
麻未の瞳が輝いている。

「麻未さんが卒業して、修行する時間もあります。
その間にお店を探して見て回れば、もっといいアイデアも生まれると思います」

「素晴らしい考え方だ。
お着物といい、貴女の多才さに驚かされました」

その後、ダイニングに案内されて、夕食をご馳走になる。

「今日は、素晴らしいお話をありがとうございます。
自宅までタクシーで送りますので、安心して飲んで下さい」


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