上 下
165 / 275

しおりを挟む
大柄な男性で、ツイードのジャケットが似合う。
彼と同い年だが、エネルギッシュな印象を受ける。
赤い髪に、薄いブラウンの瞳だった。

奥様は、ブロンドのミディアムヘアで、顔が小さい。
背格好は私と変わらないが、腰の位置が高い。
ブルーの瞳が大きくて、鼻も高いので、バービー人形のようだった。

彼女が私の着物を見て、早口で何か言ってる。
早すぎて聞き取れない。

「そういう着物を、初めて見たって言ってる。
着物って、ゴージャスなものだと思っていたらしい」

「これは仕事着で、洗えるように綿で出来ています。
もう一枚あるから、着てみますか?」
私の言葉を彼が通訳すると、私の手を持って興奮状態だ。
青い瞳が潤んでいる、可愛い女性だった。

ベッドルームで、着付けをする。
この後食事もするので、締め付けないように気をつけた。
ブロンドの髪を少し編んで、髪飾りで上に留めた。

姿見で見せると、Fantastic、Coolとか言ってた。
部屋を出たら、旦那さんが満面の笑みだ。
スマホを出して、バチバチ撮っていた。
彼がスマホを受け取り、二人一緒に撮影している。
二人の笑顔を見れば、今日の招待は成功したのも同然だった。

テーブルに、ゲストの二人が座ってる。
二人の前に佑樹さんに座って貰い、料理の説明を頼む事にする。
発泡する日本酒を、シャンパングラスに注いで乾杯した。

最初に、湯葉刺しと刺し身こんにゃくを出す。
普通のお刺身が食べられない奥様のために、用意したものだ。
大豆から出来ているので、安心して食べて欲しい。

わさび醤油で、食べてもらう。
お醤油は、京都のもので当たりが柔らかい。

「旨い。初めて食べたけど、甘みがあってとろっとしてる」
佑樹さんは、外人と思った方が良さそうだ。
こんにゃくもふぐ刺しのようだと、褒めてくれた。
ゲストの二人が、笑顔で話している。
口に合わない事は無さそうで、安心した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

拝啓、婚約者さま

松本雀
恋愛
――静かな藤棚の令嬢ウィステリア。 婚約破棄を告げられた令嬢は、静かに「そう」と答えるだけだった。その冷静な一言が、後に彼の心を深く抉ることになるとも知らずに。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】婚約者が好きなのです

maruko
恋愛
リリーベルの婚約者は誰にでも優しいオーラン・ドートル侯爵令息様。 でもそんな優しい婚約者がたった一人に対してだけ何故か冷たい。 冷たくされてるのはアリー・メーキリー侯爵令嬢。 彼の幼馴染だ。 そんなある日。偶然アリー様がこらえきれない涙を流すのを見てしまった。見つめる先には婚約者の姿。 私はどうすればいいのだろうか。 全34話(番外編含む) ※他サイトにも投稿しております ※1話〜4話までは文字数多めです 注)感想欄は全話読んでから閲覧ください(汗)

わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑

岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。 もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。 本編終了しました。

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

聖女様の生き残り術

毛蟹葵葉
恋愛
「お前なんか生まれてこなければ良かった」 母親に罵倒されたショックで、アイオラに前世の記憶が蘇った。 「愛され聖女の物語」という物語の悪役聖女アイオラに生まれて変わったことに気がつく。 アイオラは、物語の中で悪事の限りを尽くし、死刑される寸前にまで追い込まれるが、家族の嘆願によって死刑は免れる。 しかし、ヒロインに執着する黒幕によって殺害されるという役どころだった。 このままだったら確実に殺されてしまう! 幸い。アイオラが聖女になってから、ヒロインが現れるまでには時間があった。 アイオラは、未来のヒロインの功績を奪い生き残るために奮闘する。

嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな
恋愛
 伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。  そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。  その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。  そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。  ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。  堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・

処理中です...