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部屋に戻ると、相部屋の3人が女子トークの真っ最中だ。

スキンケアをしながら、聞き耳を立てた。
女3人集まれば、恋の話しかない。
付き合っている彼の話やクラスの男の子の話など、若いだけに盛り上がっていた。

「八神さん、伊桜君とどういう関係ですか?」
流れ弾が飛んできた。

「奨学金授与式で、ライバル宣言をされたの。
絶対負けないって、それ以来絡まれてる」

「柚木君とも仲いいですよね?」

「男の子二人が仲いいから、自然に仲良しになった」

「あの二人がいつも一緒なので、女子が入れない」

「まだ始まったばかりじゃない。
実習が始まったら、誰とでも協力しないといけないし。
チャンスはあると思うよ」

柊木麻未は、黙って聞いていた。

翌日は学科別に分かれて、1分間スピーチがあった。
昨日の女子トークで決心がついた、全て話そう。

自分の番が来た。

「私は、去年離婚をしました。
忙しい彼を支えていく自覚が薄れて、精神的に追い込まれます。
母親になるほど大人になりきれず、夫婦生活を続けられなくなってしまいました。
彼と話し合いを続けて、離婚することになりました。
辛い決断でしたが、そんな自分を支えてくれたのがカフェを経営する夢です。
パン職人になって、自分が焼いたパンを出す店がやりたい。
もう私には戻る家は有りません、前に進むしかないんです。
これからの2年間、死に物狂いで頑張ります。
皆さん、よろしくお願いします」

きっちり、1分間で話し終えた。
バツイチの事が話せたので、心がすっきりした。

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