女難の男、アメリカを行く

灰色 猫

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第1章 Start

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「日本茶の中で最高級と言われている、玉露を楽しんで貰う。
難しく考えないで、楽しんで欲しい」

俺は持って来た湯呑み、急須、湯冷ましを、水ですすぐ。
布巾で拭きあげて、テーブルに並べた。
Aurelijaアウレリアの友達は、リトアニアから来たRennaレンナ Ylvisイルヴァスという女性だった。
ケトルのお湯が沸いたので、急須に入れて、湯呑み、湯冷ましと順番に移していく。

「沸騰した湯が茶器を温めて、その分だけ温度が下がる。
一つ移すたびに、10度ずつ下がっていく。
最後に急須に戻る時に、適温になるんだ」

「合理的なのね」 「一つ一つの動きが美しいわ」
二人は喜んでくれているようだ。
急須に玉露を入れてから、湯冷ましから湯を戻す。
2分ほど蒸らしてから、3つの湯呑みに少しずつ注いでいく。
最後の1滴まで絞り切ったら、二人にお茶を飲みように勧めた。

「まずは何も考えず、お茶の味を楽しんでくれ」

「甘い。これって、お茶だけだよね」
「爽やかな香りが素晴らしいわ」

「湯呑みが小さいのは、3回に分けて楽しんでもらう為だ」
そう言って、湯冷ましに入れていた湯を急須に入れた。
今度は少し熱めして、注いでいく。

「さっきと味が変わった。さっぱりしてる」
「少し、苦みを感じるわ」
お茶請けのパウンドケーキを食べるように勧める。
アメリカのケーキは甘すぎるけど、仕方がない。
最後の3杯目まで楽しんで、二人は満足してくれたようだ。

「3回飲んで、ちょうどティーカップくらいなのね」
「東洋の神秘を味わったわ、ありがとう」

「大げさだろう、でも喜んでくれて嬉しかったよ」
俺が茶道具を洗って片付けていると、Aurelijaが近づいて囁いた。

「今度は、本当のデートがしたいわ」

「俺に心の余裕が出来たら、誘うかもな」

「Amatoのファーストデートは、私のものでしょ?」
美人の本気は怖い。
俺は、曖昧あいまいな笑みを浮かべるしかなかった。

部屋に戻り、一番大きいリュックを背負ってWalmartに向かう。
俺の愛車は、マウンテンバイクだ。
大学内のリサイクルセンターで手に入れたもので、タダ同然だった。
工具キットを買って、納得いくまで自分で整備してある。

20分ほど走って、スーパーセンターに到着した。
パスタやシリアルなど保存が効くものを、カートに放り込んでいく。
バッグに入る量を考えながら店内を歩き回っていると、見慣れた連中がいた。

「Amato、買い物に来ていたんだ?」

「ああ、来週に食べる分がいるからな。君たちは、どうやって来たんだ?」
Cynthia、Minju、Marikaが一緒に来ていた。

「頼んでいた車が届いた。彼女たちをドライブに誘って、買い物に来たんだ」
連れて来たのは、Faruqだった。


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