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第1部
GW 2
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駅を出て繁華街に向かうとすぐに、お目当てのカラオケボックスがあった。
受付で部屋を確認してパーティールームに入ると、もう歌が始まっている。
見回すと粟田 璃乃と下村 若葉が手招きしている。
隣に座って部屋を見廻すと、クラスメイトが10人ほど集まっていた。
「この前は怒鳴って悪かった。ちょっとイライラしてて」
誰かが絶叫して歌う中、隣の粟田に謝った。
「童貞を拗らせてるから、イライラするのよ。今から抜け出して、私とホテルに行く?」
顔を近づけて耳元で囁く。
まったく想像してなかった返しに、一瞬、理解出来なかった。
必死に、童貞、ホテルとワードをつなぎ合わせる。
確認するように粟田の顔を見ると、ニコニコしている。
こっちは頭の中が真っ白で、返事が出てこない。
下村が歌うバラ―ドの間に、少し冷静になる。
粟田璃乃は、「今のは冗談よ」とかは絶対に言わない。
クラスの女子で一番性格が大人で、同級生から魔女とか呼ばれてる。
そんな彼女がホテルに行くということは、SEXをするということだ。
どうする、どうする、いくら考えても答えが出ない。
「即答しないってことは行かないってことね。弱虫」
「ごめん」それしか言えない。
「まだ、織田 沙也加のこと、引きずってる?」
粟田が思ってもみない名前を出したので、怒りが沸き上がる。
「織田先輩の名前を出すな。」
つぶやくように答える。
「怒るってことは、図星?」
彼女の一言一言がナイフのように心を傷つける。
「何故、そう思う?」俺が聞く。
「二年も貴方に片思いしてるのよ。それくらいわかるわ」
もう何も言葉が出てこなかった。
盛り上がる会場の中、一人殻に閉じこもる。
それでも順番が回って来たので、1曲歌う。
歌は得意じゃないけど、モジモジするのが一番ダサいのでさっさと終わらせる。
「私のためにラブソングぐらい歌って欲しかったなあ」
最後にトドメを刺された。
カラオケ大会もお開きになり、いつもの連中と駅に向かう。
鈴木が下村を無理やりデートに誘って、俺たちと別れた。
二人になって俺が切り出した。
「2年も片思いって、気がつかないでゴメン」
「ホテルに行こうって誘いはまだ生きてるわ。私じゃだめ?」
「嫌じゃない、嬉しかった。ただ今のままの俺じゃお前に失礼だ。」
自分なりに出した答えを話す。
「わかったわ。今日はキスで許してあげる」
俺は、唇にチュっと中学生みたいなキスをした。
「いつまでも待てないから、夏休みに入るまでに結論を出してね」
彼女は期限を切って、俺とは別方向のホームに消えて行った。
受付で部屋を確認してパーティールームに入ると、もう歌が始まっている。
見回すと粟田 璃乃と下村 若葉が手招きしている。
隣に座って部屋を見廻すと、クラスメイトが10人ほど集まっていた。
「この前は怒鳴って悪かった。ちょっとイライラしてて」
誰かが絶叫して歌う中、隣の粟田に謝った。
「童貞を拗らせてるから、イライラするのよ。今から抜け出して、私とホテルに行く?」
顔を近づけて耳元で囁く。
まったく想像してなかった返しに、一瞬、理解出来なかった。
必死に、童貞、ホテルとワードをつなぎ合わせる。
確認するように粟田の顔を見ると、ニコニコしている。
こっちは頭の中が真っ白で、返事が出てこない。
下村が歌うバラ―ドの間に、少し冷静になる。
粟田璃乃は、「今のは冗談よ」とかは絶対に言わない。
クラスの女子で一番性格が大人で、同級生から魔女とか呼ばれてる。
そんな彼女がホテルに行くということは、SEXをするということだ。
どうする、どうする、いくら考えても答えが出ない。
「即答しないってことは行かないってことね。弱虫」
「ごめん」それしか言えない。
「まだ、織田 沙也加のこと、引きずってる?」
粟田が思ってもみない名前を出したので、怒りが沸き上がる。
「織田先輩の名前を出すな。」
つぶやくように答える。
「怒るってことは、図星?」
彼女の一言一言がナイフのように心を傷つける。
「何故、そう思う?」俺が聞く。
「二年も貴方に片思いしてるのよ。それくらいわかるわ」
もう何も言葉が出てこなかった。
盛り上がる会場の中、一人殻に閉じこもる。
それでも順番が回って来たので、1曲歌う。
歌は得意じゃないけど、モジモジするのが一番ダサいのでさっさと終わらせる。
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最後にトドメを刺された。
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自分なりに出した答えを話す。
「わかったわ。今日はキスで許してあげる」
俺は、唇にチュっと中学生みたいなキスをした。
「いつまでも待てないから、夏休みに入るまでに結論を出してね」
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