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最終章

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エジンバラのホテルから空港に間に向かう間に、世界最古のゴルフコースの一つと言われるMusselburgマッセルバラ Links The Old Golf Courseに立ち寄った。

一見すると、競馬場だ。
競馬場のコースを超えて、グリーンを狙うホールまであるのには驚く。
コースのフェアウエイが、競馬場の直線コースと並行して走っている。
というより芝生の野原の真ん中に、競馬場の柵が真っすぐに伸びていた。

クラブハウスに挨拶をして、中の資料を見学させてもらう。
ここに来た理由の一つが、メアリー女王が1567年にプレーした記録があるからだ。
競馬場の柵の中に広がるゴルフコースを眺めながら、メアリー女王に思いを馳せる。

「いつか一ノ瀬社長と一緒に、ここをラウンドしてみたい。
日本に帰ったら、ゴルフを始めようかな?」

「いいと思うよ。
父は、子供に戻れるからゴルフをしてるって言ってる」

「一日中ボールを追いかけて歩き回るって、仕事人間には必要だね」

ゴルフに興じる地元ゴルファーの笑顔が、俺に人生を楽しむことを教えてくれる。
スコットランドまで来た甲斐があった、得たものは多い。
楽しかった4日間を終えて、俺たちはロンドンに戻った。

……

ロンドン生活も最終日、俺たちは駐在員の佐藤氏夫婦を招いてお別れ会を開いた。
場所は、高級ホテルのダイニングだ。

「佐藤さんには、色々とお世話になりました。
皆、感謝しています」

「いえいえ、普段の仕事とは違って新鮮でした。
以前は食料品や酒類が多かったんですが、今後は繊維が増えそうですね」

「上質な製品を使うことに、戸惑いはありません。
これから佐藤さんには色々とお願いをする事になるでしょう」

「それは楽しみです。
私もグループの一員ですから、貢献させていただきます」

こういう人材をロンドンに置く事が出来る、一ノ瀬流通グループの底力を見た。
食事をした後に、聖苑から奥様に贈り物が贈られた。

「まあ、素敵なドレス」

「奥様がこちらでは手に入らないとおっしゃったので、solemnityから送らせました」

国際航空貨物で届いた箱には、今年のsummerコレクションが入っている。
奥様のパーソナルカラーに合わせて、月奈が選んだものだ。

「是非、着て楽しんで下さい」

「ありがとうございます。
皆さんの心遣いに感謝します」

喜んで貰えて、こちらも嬉しくなる。
佐藤氏も奥様の喜ぶ姿に、満足そうだった。


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