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第十七章 決断

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1月の第2週、土日に恒例のfortuna new year consentが開催される。

東京トレードセンターの楽屋裏には、軽井沢スペキアーリスホテルのチョコレートショップ銀座店から冷蔵ショーケースが設置されていた。
中には、ザッハトルテ(チョコレートケーキ)、チーズケーキ、苺のショートケーキなどが並んでいる。
ドリンクのコーナーも用意されて、紅茶やコーヒー、緑茶などが用意されていた。

「田中社長もメンバーの好みが判って来たようですね」
聖苑が田中氏をからかう。

「アイドル界のトップチームだ、貧相なものは出せないだろう。
メンバーのSNSで拡散されるから、一ノ瀬グループの力を見せつけるんだ」

田中氏が社長になって、ガーデンズオフィスの売り上げは右肩上がりだ。
一ノ瀬流通グループの広告塔の役目を、十分に果たしていた。

リハーサルを終えたメンバーが入って来た。
さっそくショーケースの前に集まって、ケーキを頼んでいる列が出来ている。
沙織が苺のショートケーキとザッハトルテを載せた皿と紅茶を運んでいた。
俺が声を掛けると、沙織が笑顔で返してくる。
頑張れとエールを送るように拳を出すと、グータッチで答えた。

俺たちのやり取りをforutunaTVのカメラが撮影していた。
どうやら、沙織に密着のカメラがついているようだ。
沙織はスマホで撮影してから、食べ始める。
隣に月城美雪が来て、並んで食べていた。

土曜日のコンサートは、大盛り上がりで無事に終わった。
沙織は、植木遥が残していったダンスチームの正式メンバーになっている。
fortunaのダンスメンバーとして認められて、楽しそうに踊ってた。

日曜日のコンサート、最後の最後で激震が走った。
春に発売する新曲のスケジュールが発表される。
モニターに映し出された新センターは、来栖千鶴と月城美雪だった。

その後に何の発表も無く、最終曲が歌われてコンサートは終わった。
さっそくSNS上は、大騒ぎだ。
人気No1だが一度もセンターを務めてない、来栖千鶴がセンターになる。
そのうえ序列6番手から、月城美雪がツインセンターに選ばれていた。

「千鶴が卒業する?」
「美雪にセンターを継承する気なのかな」
「fortunaに何があった?」

突然の発表に、ファンは騒然となっていた。

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