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第十三章 変革

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「わが社の製品は、いかがでしたか?」
社長室で対面した、50代半ばの社長に聞かれた。

「着け心地がいいんですが、特にこのパッドが素晴らしいです。
ドレスを着ても、自然なラインが出来ました」

「実は、このパッドには我が社の社会貢献が詰まっています」

「と言いますと?」

「乳癌で不幸にも乳房の全摘出手術を受けた女性は、かなりのショックを受けています。
当社では、極限まで以前と同じ体系で過ごせるパッドの開発に力を入れてきました。
その研究の成果が、真凛さんに提供したパッドです」

「それを聞いて、見た目のことだけを考えた自分が恥ずかしいです」

「真凛さんには実際に使っていただいて、不満や改善点を出していただきたい。
それを元に、さらに開発を進めます」

「必ず、フィードバックします」

「よろしくお願いしますね。
貴方がラジオで会社訪問したいって表明した時に、女子社員から立候補しろって突き上げられたんです。
実に素敵な方だった、会えてよかったです。
社員に感謝ですね」

「ここで聞くのも心苦しいんですが、この番組のお約束の質問をします」
『私が就職試験に来たら、最終面接に残れるでしょうか?』

「yesです。
真凛さんはどのプロジェクトに入れても、自分の感性を失わない。
そんな素直さを感じます」

「ありがとうございました」無事に収録が終わった。

……

翌週の日曜日、放送を聖苑と一緒に観る。
番組の後半、15分くらいにまとめられていた。

「さすがに、ドレスを着ると様になりますね」
林キャスターが褒めてくれる。

「何度も見ても、男性と思えない」
解説者のおじさんが言ってた。

「真凛さんは、春のJapan Ladys Fashion Weekで実際にあのパッドを使用するそうです。
その結果をレポートにして、社長に報告するとのことでした」
アナウンサーが報告して、コーナーが終った。

「真凛ちゃん、真面目にやってもいける」
「優遇されてる、なかなか社長になんか会えないよ」
「内定確実だ」
SNSの評判は悪くない。

意外なほど、真面目な番組でも見てくれていた。

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