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第二章 転機
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一ノ瀬聖苑が連絡をして、青山のオフィスに行くことになった。
土曜日だというのに、父親の会社から女性スタッフが同伴してくれる。
ビルの一階で、マネージャーの田中氏が出迎えてくれた。
「よく来てくれた、社長が待ってる」
エレベーターで5階に上がると、社長室に通された。
まず付き添いのスタッフが、社長秘書、田中氏と名刺交換をしている。
「君は、本物のお嬢さんなんだな」
田中氏が交換した名刺を見ながら、聖苑に向かって言った。
「親が金持ちなだけだわ」
そっけない返事をする。
隣で女性スタッフが、苦笑していた。
ドアが開いて、派手なスーツを着たおっさんが入ってきた。
「よく来てくれました。私が、社長の佐藤です」
握手を求めてきたので、仕方なく応じる。
「素晴らしい、貴方のような人を探してたんだ。
田中、詳しい話を頼む」
世界のトップアパレル企業が、アジアで新展開するカジュアルブランドのモデルを探している。
メインのモデルは決まっているが、日本、中国、ASEAN、オセアニアから相手役のモデルが選ばれる。
その日本側のモデルが、まだ決まってない。
各社がトップモデルを売り込んだが、本社から却下されて暗礁に乗り上げていた。
「相手役のモデルがこの子だ」
田中氏が資料のグラビア写真を見せた。
プラチナブロンドのショートカット、ブルーの瞳でクールな顔立ちだ。
背が高くて、手足が長い。
両親が、日本、中国、タイ、オーストラリアの血を引く多国籍少女だった。
「スタイルが良すぎない?」聖苑が言う。
「185㎝だからな」
「まさか相手役に?」
「そういうことだ」社長が口を開いた。
「晒し者になる、嫌だ」
「この業界で生きてきた、俺の読みを信じてくれ。
このプロジェクトは、普通のモデルじゃダメなんだ。」
「俺って、普通じゃないんだ」言葉には出さなかった。
「スタイルがいい子なら、山ほどいる。
日本でトップのモデルたちでも、駄目だった。
そうなると、どこにもいない個性の女じゃないといけないんだ」
そんなに力説されても、それが俺とは思えない。
「まず、テスト撮影をしよう。その結果を見て、考えてくれ」
田中氏が、提案をした。
「真凛、まずはやってみよう。お願いします」
俺より先に聖苑が答えた。
土曜日だというのに、父親の会社から女性スタッフが同伴してくれる。
ビルの一階で、マネージャーの田中氏が出迎えてくれた。
「よく来てくれた、社長が待ってる」
エレベーターで5階に上がると、社長室に通された。
まず付き添いのスタッフが、社長秘書、田中氏と名刺交換をしている。
「君は、本物のお嬢さんなんだな」
田中氏が交換した名刺を見ながら、聖苑に向かって言った。
「親が金持ちなだけだわ」
そっけない返事をする。
隣で女性スタッフが、苦笑していた。
ドアが開いて、派手なスーツを着たおっさんが入ってきた。
「よく来てくれました。私が、社長の佐藤です」
握手を求めてきたので、仕方なく応じる。
「素晴らしい、貴方のような人を探してたんだ。
田中、詳しい話を頼む」
世界のトップアパレル企業が、アジアで新展開するカジュアルブランドのモデルを探している。
メインのモデルは決まっているが、日本、中国、ASEAN、オセアニアから相手役のモデルが選ばれる。
その日本側のモデルが、まだ決まってない。
各社がトップモデルを売り込んだが、本社から却下されて暗礁に乗り上げていた。
「相手役のモデルがこの子だ」
田中氏が資料のグラビア写真を見せた。
プラチナブロンドのショートカット、ブルーの瞳でクールな顔立ちだ。
背が高くて、手足が長い。
両親が、日本、中国、タイ、オーストラリアの血を引く多国籍少女だった。
「スタイルが良すぎない?」聖苑が言う。
「185㎝だからな」
「まさか相手役に?」
「そういうことだ」社長が口を開いた。
「晒し者になる、嫌だ」
「この業界で生きてきた、俺の読みを信じてくれ。
このプロジェクトは、普通のモデルじゃダメなんだ。」
「俺って、普通じゃないんだ」言葉には出さなかった。
「スタイルがいい子なら、山ほどいる。
日本でトップのモデルたちでも、駄目だった。
そうなると、どこにもいない個性の女じゃないといけないんだ」
そんなに力説されても、それが俺とは思えない。
「まず、テスト撮影をしよう。その結果を見て、考えてくれ」
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